日々の恐怖 12月29日 霊界に繋がる電話
俺が小学校の頃の話だ。
夏休みはいつも5人で仲良く遊んでいた。
その中の一人が、ある霊園の電話ボックスで深夜2時に電話すると霊界に繋がるという噂があると言い出したので、試しに行くことになった。
夜中にそれぞれの家を抜け出して近所の公園に集合し、霊園に向かった。
霊園は地元から離れており、自転車でも1時間かかる距離だったが、小学生パワーでなんとか到着した。
着いたのは、夜中の2時少し前だった。
2時になるまでの間、誰が電話をかけるか揉めたが、時間が迫っていたので、結局言い出しっぺの友人が電話ボックスに入った。
いつもやかましい俺たちだったが、このときはみんな緊張して静かだった。
電話ボックスに入った友人が、受話器を取って固まった。
そしてなんとも言えない怖い顔をして出てきて、恐ろしいことを言い出した。
「 おい、誰か10円持ってるか?」
誰も持ってなかった。
完全なバカだった。
“ 俺たちは、一体、何をしに来たのだろうか?”
そう絶望していたとき、突然赤い光が俺たちを包み込んだ。
パトカーだった。
パトカー3台が俺たちの前に現れてたくさんの警察官が降りてきて、俺たちを怒鳴り散らした。
どうやら、小学生集団が夜中に霊園に向かってると通報があったらしい。
“ 誰が通報したのだ?”
行く途中、誰かに見られたのか?
集合した近所の公園で見られたのか?
学校で話しているのを誰かが聞いてチクったのか?
それとも、霊界からの苦情が警察にあったのか?
それは、今でも分からない。
俺たちは警察署に連れて行かれて、すぐに親を呼ばれ、全員ボコボコにされた。
しかも夏休み中だったにもかかわらず、俺たちのせいで全校集会となり、ステージに上げられて全校生徒に謝罪した。
休みなのに登校させられたせいで、小学校の間、俺たちはズッと後ろ指を指され続けた。
中学校も、それが尾を引いた。
そして、高校になって、ようやく後ろ指から解放された。
霊園に行ったときから、俺たちは肝試しによく行くようになったが、このとき以上の恐怖体験は未だに遭遇していない。
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