日々の恐怖 12月25日 祖母の家
オカルト雑誌なんかが良く出てた頃、呪いの家だとして祖母の家が載ったことがある。
祖母の家系は代々墓守なので、墓のド真ん中に平屋がある。
築3桁リーチの木造平屋建てで、トイレはボットンだし風呂は別棟。
上下水道の普及で使わなくなった枯れ井戸まであるもんだから、呪いの廃屋に見えたんだろう。
そんな記事を従兄弟が爆笑しながら見せてくれた。
詳しくはおぼえてない。
ただ、
「 これ、ばあちゃんちじゃね!」
って腹が引き攣るほどに笑ったのを覚えている。
それで、記事はと言えばありきたりな話だ。
幽霊が出るとか、呪われてるとか。
まぁ、そうなった裏話っていうのがある。
祖母宅は元々そんな立地から、近所に住む悪ガキ共の肝試しとか何とかで夏場は結構荒らされる。
それで、毎年荒らされちゃたまったもんじゃねえと、祖母と自治会の大人達が一計を案じた。
当時15歳の姉に、真っ白なワンピースと黒髪ロングのウィッグを被せて、夜の墓場で好きにしろと。
この姉ってのがまた悪ふざけ大好きなもんだから、埋め立てた井戸の中から貞子のように這い出たり、墓石に縋って泣き真似したり、ゾンビのような足取りで墓場を徘徊しながら、
「 かごめ、かごめ~♪」
を歌ったりと、マジ好き勝手に近所の悪ガキ共を脅かしていた。
そしたら、そのガキ共を発端に、
「 あの墓場には女の幽霊が出る。」
「 顔を見たら呪われる、殺される。」
「 あれは、とんでもないレベルの怨霊らしい。」
とまあ効果は覿面だった。
それで、五年もすれば静かな墓場に戻った。
それが記事になって、もちろん姉のことも書かれていた。
その時にはもう老朽化が酷くて祖母は引っ越したあとで、ガチの廃屋になってたんだけど、姉はその記事を読んで、
「 どうやら姉ちゃんは、とんでもない怨みを残して死んだ怨霊らしいわァ~。」
と大爆笑した。
俺はネタを知ってるから怖くもなんともなかったけど、正直、特殊メイクして幽霊に扮した当時の姉を夜中の墓場で見たら失禁する自信がある。
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