大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 5月3日 白狐(11)

2023-05-03 20:58:01 | B,日々の恐怖



 日々の恐怖 5月3日 白狐(11)






 開場時間が差し迫ってきたので、小豆さんとはその辺りで別れた。
別れ際、

「 あんま深く考えずに普通に過ごすといいよ。」

と言われた。
 正直この時点で、小豆さんの話は全く信じていなかった。
神様が付いていると言っても、特に良い事があるわけでもなし。
生活は底辺だ。
でもよくよく考えると、再び神田神社に行ってから地元に戻るようになった。
 犬猫には嫌われるようになった。
そして極め付けは実家のぴーちゃんだ。
ぴーちゃんは私の首と髪の間に入って寝るのが好きだったのに、実家に戻って以降近寄ってさえくれなくなった。
 愛鳥に明確に避けられている。
本当に一緒にいるのかもしれない。
信じきるわけではないけれど、極力地元を歩くようになった。
 地方に行く時は初めて行く場所を回るよう心掛けた。
一度は行ったことある観光名所なんかももう一度足を運ぶようにした。
季節の花や綺麗な庭園を、色々なものを見せたいと思った。
 翌年の節句祭り後、神社は修復された。
昔以上に白く綺麗な外壁に、剥き出しだった白い世界はまた隠された。
 私は完全な零感だ。
祖父が亡くなった時も、みんな何かしら虫の知らせを感じて真夜中に起きたというのに私だけスルーされた。
何もなく一人爆睡していた。
 実の祖父にすらスルーされた私に神田様との遭遇フラグが立つはずもない。
姿を垣間見たとか感じたとか何かしらあればこの覚書も盛り上がるのだろうけど、悲しいことに何もない。
神田様が一緒にいる事を意識して清く正しい生活を送るようになったとか、そんなことも欠片もない。
やはり私は底辺だった。










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