日々の恐怖 10月14日 辞めた理由(1)
ちょっと長くなってもいいなら、俺が前の仕事を半年で辞めた理由を話す。
途中、精神的に参っていたかも、と見える部分はあるが、今も前も仕事内容は同じだし、人間関係だって、そんなに悪くは無かったので、何がどう影響していたのかは分からない。
そこには大学出て新卒として入社した。
隣県だったけど給料も結構高い、アパートで一人暮らしになるけど会社指定のアパートなら部屋代の一部は会社が負担してくれる、とかなりの高待遇だった。
もちろん応募者は多かっただろうけど、奇跡的に潜り抜けて入社できた。
アパートはまあ新しくもなければ古くもない1Kだけど、安く住めるからそこにした。
ただ、駐車スペースが少なくて空いてなかったから、免許とって車欲しいって言ってた弟に車譲って、自転車通勤にした。
結構入社日ギリギリだったけど引越しも終わり、無事に社会人生活がスタートしてから2週間くらいたった頃かな。
やっと落ち着いてきたから、近くに何があるか探索しようと、休日俺は自転車に跨った。
出てすぐのところにちょっと広い道路(片側1車線だけどね)があって、そこを左折した。
その道路は左折すると南に向かうことになる。
会社もそっち方向にある。
それで、今日は会社がある十字路を越えて更に先に行った。
先に読書好きな俺にとって書店を発見できたのは嬉しかった。
“ まあ、自転車の移動範囲からしてこれ以上は南下したくないな。”
と思って、近くの十字路で右折した。
狭い道で興味を引くものがなかったから、戻ろうと思ってもう一回右折した。
ここで、ちょっと記憶が曖昧っていうか、怪しい。
しばらく走って、気付いたらもとの道路に出る十字路だった。
問題は、東側から道路に出たってことだ。
南に進んでる状態から右折、右折だ。
斜めに行ったとしても、西から道路に出なければおかしい。
知らない土地だから、勘違いしたと言われればそれまでだが、それほどの方向音痴ではないと思っている。
なんかもう不思議な気持ちのまま、その日は帰宅した。
次の休みにも同じルートを通ってみたけど、いつの間にか東に渡ってるなんてことはなかった。
当然なんだけど。
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