日々の恐怖 1月8日 七五三の約束
大学生のSさんの話です。
五歳の時、姉の七五三の打ち合わせに母と祖母の家に行きました。
その帰り道、私がしきりに、
「 私も着物が着たい。」
と言い始めたそうです。
その理由が、
「 チヨちゃんが、かわいそうだから。」
とのこと。
驚いて詳しく聞くと、
「 蔵をのぞきにいったら、着物を着た女の子がいて遊んでくれた。
お手玉や紙人形を貸してくれた。
でも鬼ごっこしようっていったら、お着物が重いから走れないと断られた。
誰かが代わりに着てくれないと脱げないというので、私が代わりに着てあげる約束をした。」
とのことでした。
つくり話かと母は思ったそうですが、私が、
「 チヨちゃん、ずっとおきもの着てるんだって!」
と言うので、
「 ひゃくまんねんぐらい?」
って聞いたら、
「 ひゃくまんねんは着てない、60年ぐらいって言ってた。」
と妙にリアリティのある話をするので怖くなり、
「 私ちゃんは、もうお着物あるから、それは着てあげられないよ。」
と説得し、急遽着物をあつらえ私も七五三のお祝いをしたそうです。
最近アルバムを見ていて、
“ 何故私だけ五歳の七五三写真があるのか・・?”
と不思議に思って聞いたらこんな話を聞かされ、今更ビビリまくっています。
ちなみに当時、祖母の家から半径数キロ以内に小さな女の子がいる家はなかったそうです。
そんな怖い約束は、無効になっていますように切にお願いします。
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