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日々の恐怖 1月14日 黒電話

2015-01-14 19:12:38 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 1月14日 黒電話



 入院していた義母が他界したので、夫と弟夫婦の四人で夫の実家の整理に行った。
隣の家まで歩いて10分と言うど田舎だった。
 電気も水道も止めて貰っていたので、色々手続きが面倒だった。
私と義妹で家の片付け、夫と弟がご近所さんへの挨拶回りをした。
 昔、庄屋規模だった実家は、戦前は何人も奉公人が住み込んでいただけあり、部屋数も多く、とにかく広い。

「 うちでは管理しきれないわ。」
「 うちも無理だわ、遠いし。」
「 処分するしかないわね。」
「 でも主人達にとっては生家だし、なんて言うかしら。」
「 そうね~。」

と言いながら、とにかく家中の雨戸と窓を開けていると、奥の部屋にあった電話が鳴った。
昔ながらの黒電話の音だ。
 出てみると聞き覚えの無い男の声で、

「 お戻りだったのですね。
お待ちしておりました。
これから伺います。」

と言われた。

「 どなた様でしょう?」

と聞いたが、相手は答えず電話を切ってしまった。
 夜には帰るつもりだったので、義妹と慌てていると夫達が帰ってきた。
玄関で電話のことを話して、心当たりを尋ねると弟が笑って言った。

「 姉さん、真面目な顔で何言ってるの?
奥にある電話はどこにも繋がってないよ。
10年前に子機付きの新しい電話機に換えた時に、線も引き直したんだよ。
居間にあるほうが繋がっている電話だよ。
もっとも、今は電気が止まっているから、どちらの電話も繋がらないけど・・・・。」
「 えっ!?
でも、確かに奥の電話が・・・・?」

凍り付く義妹と私。
 そのとき、奥の黒電話がまた鳴り出した。
今度は四人とも凍り付く。

「 来るって言ったのか・・・?」

と夫が言った。
黙り込む四人。
 黒電話の音が鳴り止んだ。
ついに義妹が泣き出した。
それで、四人で戸締まりもそこそこに車に飛び乗った。
 それ以来、私は夫の実家に行ってない。
実家の処分は業者に頼んだ。










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