日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

広島「無償化」裁判第6回口頭弁論

2015-02-27 09:21:00 | (淑)のブログ
 広島朝鮮学園と広島朝鮮初中高級学校生徒・卒業生たちが「高校無償化」法に基づく指定の義務付けと、「無償化」制度から排除された生徒への国家賠償を求めた裁判の第6回口頭弁論が25日、広島地裁第302号法廷で行われた。朝鮮学校保護者や関係者、日本市民、そして卒業式を数日後に控えた高校3年生の生徒らで傍聴席は埋まった。

 今回被告側は準備書面5を提出。前回も裁判官から指摘された、朝鮮民主主義人民共和国や朝鮮総聯による朝鮮学校への「不当な支配」の問題に関して、一般的に私立学校や外国人学校が特定の団体や本国等から支援を受けるなどして一定の影響を受け、関係性を有することはありえるが、その自主性を歪めるようなものであれば、それが「不当な支配」に当たるとして、法令に基づく適性な学校運営が行われているとする原告らの主張が失当であることを主張した。
 これについて裁判官からは、「被告が主張する『支配』の内容が『不当である』と指摘できる根拠はあるのか」と指摘された。
 原告代理人弁護士の平田かおり弁護士は、イ、ロ、ハの中でハ号にのみ「債権の弁済への確実な充当を求める」という規定が求められる点で、その違いについての釈明は、被告の準備書面では明確にされていないが、被告側の主張はそれに尽きるのか?と糾した。また原告は、今回提出した証拠について説明。朝鮮学校の「高校無償化」除外に関する内容の朝鮮学校生徒らの作文を読み上げ、日本の社会的環境を背景にした、朝鮮学校生徒たちの悲痛な声があらわれていると主張した。最後に足立修一弁護団長が、昨年の国連人種差別撤廃条約審査における日本政府への質問について説明した。





 裁判終了後、広島弁護士会館で報告集会が行われた。足立弁護士は、裁判官が「不当な支配」の根拠について求釈明を行ったのはまっとうで、これに関して国はまったく議論できていないと指摘。裁判所が原告側の主張を理解した上での質問であったと評価した。
 松岡幸輝弁護士は、法廷で裁判官が、ハ号を削除した違法性と、違法とした場合、朝鮮学校を不指定とした違法性についての分析を明らかにするよう求めた点について、「論点を焦点化してほしいということで、今後は細かい論点からより大きな論点で争われていくだろう」と見解をのべた。
 最後に質疑応答が行われ、会場からは「国連勧告をもって被告に揺さぶりをかけることはできるのか」「日本市民が裁判を支援していることを裁判所にどう示せるか」といった質問がなされた。

 この春広島初中高を卒業する原告生徒は、「高校3年間『無償化』適用を求めてたくさんの運動に取り組んできたが、状況は変わらず、私たちの存在が認められないまま卒業することが腹立たしいし、悲しい。卒業しても裁判の原告として、広島朝高の卒業生として、勝利までたたかっていきたい。卒業後は朝鮮大学校に進学するが、金曜行動などにも積極的に参加し、裁判運動に取り組んでいきたい」と話した。

 次回、広島での口頭弁論は5月13日、13時30分から行われる。(淑)
 

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。