日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

金滿里さんのソロ公演「ウリ・オモニ」、来月東京で

2019-01-21 09:55:32 | (K)のブログ


 大阪で劇団態変を主宰する金滿里さん。自身もポリオの重度身体障害を抱えながら障害者にしかできない身体表現を提示してきました。今日は、金さんのソロ公演のお知らせと、金さんとの思い出を少し書きたいと思います。

 金さんと初めてお会いしたのは2012年の末。取材のために大阪のオフィスを訪ねました。取材のためにこれまで何百人の人たちに会ってきましたが、金さんとの出会いは非常に思い出深く今も鮮明に記憶に残っています。その記事は、13年1月号の月刊イオに掲載されました。
 その記事の一部を紹介します。

 「金は在日2世。母は朝鮮古典芸能の名手であった金紅珠で、10人きょうだいの末っ子として生まれた。「母にとってはやっと生まれた芸の後継者だったのに、3歳で障害者となってしまった。民族も家庭の中で育まれるものだが、同時にそこからも引き離された」と回想する。入院と施設での生活が17歳まで続いた。「人間が人間として扱われない」施設での生活の中で、人間の心にあるエゴ、価値観について考えるようになったという。
 その後、健常者が支配する世の中の価値観が変わらない限り障害者の解放はないという障害者運動にのめりこむが、「論理で世の中が変わるのか?」という思いが態変の旗揚げへと向かわせる。「障害を一番如実に語っている自分たちの身体や言語障害の言葉を使い表現することで、価値観そのものを吹き飛ばせるくらいの芸術を生み出せる」。2本足で立ってからの人類の価値観を覆すのが金の、態変の芸術性だ。」

 障害や劇団についての話はもちろん、オモニ(母)についてやソウルでの公演の思い出など朝鮮人としての自身のルーツについて、さまざまに語っておられたのが印象に残っています。金さんにはその後、月刊イオに15年、16年と巻末エッセイを連載していただきました。
 金滿里さんのソロ公演が来月、東京で開催されます。そのタイトルが「ウリ・オモニ」。母親のことをテーマにしたもので、たいへん興味深いものです。(k)
以下、劇団態変のHPから公演情報をお知らせします。http://taihen.o.oo7.jp/upcoming.html

第29回下北沢演劇祭参加 金滿里ソロ『ウリ・オモニ』
[日時]2月 8日(金) 19:00★/2月 9日(土) 14:00/2月10日(日) 14:00/2月11日(月祝) 14:00★
※受付は開演の1時間前から 開場は30分前 ★金滿里との、8日アフタートーク保坂展人氏(世田谷区長) 11日アフタートーク姜信子氏(小説家)
[会場] ザ・スズナリ
東京都世田谷区北沢1-45-15 TEL:03-3469-0511
小田急線・京王井の頭線「下北沢駅」北口改札より徒歩5分
[チケット]
〔前売〕一般: 4000円/障碍者・介助者: 3000円 ※ザ・スズナリのみ取り扱い/U22・シルバー: 3000円 ※劇団態変のみ取り扱い
下北沢演劇祭ザ・スズナリ参加3団体通し券 7000円 ※ザ・スズナリのみ取り扱い〔当日〕4500円(各種割引なし)
★予約なしでの車イスの入場はお断りさせていただきます。
[お問合せ]
劇団態変officeイマージュ 06-6320-0344 taihen.japan@gmail.com