日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

政治家の相次ぐ暴言

2013-05-31 09:40:16 | (相)のブログ
 「日本軍慰安婦」問題など日本の戦争犯罪に関する政治家の暴言が相次いでいる。
 昨日のエントリで(瑛)さんが書いていたので橋下大阪市長(日本維新の会共同代表)の発言については繰り返さないが、日本維新の会では石原慎太郎氏をはじめ西村眞悟、平沼赳夫、中山成彬氏などが「慰安婦」制度を正当化し、被害者を貶める発言を次々と行った。
 維新の会だけではない。今回の橋下氏の発言の発端となった安倍晋三首相の「(村山談話を)内閣としてそのまま継承しているというわけではない」「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない」という発言をはじめ、稲田朋美行革担当相や高市早苗自民党政調会長など政権の閣僚や与党自民党の幹部からも暴言が飛び出した。
 昨年11月には米ニュージャージー州の地元紙に、日本軍による「従軍慰安婦の強制連行はなかった」という意見広告が載ったが、同広告の賛同人にはあろうことか現首相である安倍氏(当時は自民党総裁)、下村博文文科相、前述の稲田氏、高市氏らも名を連ねている。

 このような発言には戦前の日本の国家体制とアジア諸国に対する植民地支配、侵略戦争を正当化したい意識が見て取れる。そしてこれらの発言は今回突然出てきたものではなく、脈々と受け継がれてきたものであり、日本の政治家の歴史認識が表出したものだといえる。
 歴史修正主義の台頭は日本の過去の戦争と植民地支配を美化し、多くの被害者たちの尊厳を繰り返し傷つけてきた。一方、在日朝鮮人に対する悪意ある発言がネット上で日常茶飯事となって久しい。近年、排外主義者は街頭に躍り出て、彼らの罵詈雑言と攻撃は過激さを増している。
 そしてこれらのヘイトスピーチにある種のお墨付きを与え、煽っているのが上に挙げた政治家、公人による歴史修正主義的、差別的発言なのだと思う。彼らの発言の持つ影響力はネット言論よりはるかに大きいのだ。
 暴言を吐く政治家がそのままのさばっている現状、このような発言が「本音」ともてはやされる風潮が存在することにも恐ろしさを感じる。(相)
コメント (2)
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする