日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

ビビンバに入れたい劇団May

2010-11-18 09:16:25 | (K)のブログ

 さほど、演劇をたくさん観るほうではないが、それでも年に4~5作品ほどは劇場に足を運んでいる。全部、同胞演劇人による作品だ。

 2007年3月号の月刊イオで、同胞演劇について特集した。そのときの取材で出会ったのが大阪で活躍する劇団Mayの金哲義座長である。07年1月のことだから、もう4年ほど前になる。
 お酒を飲みながら取材でいろいろと話をしたのだが、在日同胞社会には、いろいろと人材がいるものだと思ったものである。

 そのとき金さんが「秋に大阪で『チャンソ』という芝居をやるんで観に来てください」と言ってくれた。その場では、まあ半年以上先のことだからと、気軽に「いいよ。観にいくよ」と答えたのである。そして半年後、私は、律儀にというか、編集部内の立場を利用し関西に出張を作って、演劇「チャンソ」を大阪まで観にいったのであった。

 その「チャンソ」は、びっくりするほど素晴らしい作品だった。「チャンソ」以降、劇団Mayの大ファンとなり、東京で行う公演はもちろん、大阪で行われているものも可能な限り観るようにしてきた。そして、期待を裏切られたことは一度もなかった。

 Mayが現在上演する作品は、みんな「在日」に関するものである。オブラートに包むことなく、グイグイと言いたいことを言ってくる。そこが素敵だ(何が言いたいのか、わけのわからない演劇を観て、わかったような振りをし、これまで何度、自己嫌悪におちいったことか)。
 一番最初に「全部、同胞演劇人による作品」と書いたけれど、Mayは、金座長は同胞だがそれ以外のメンバーは日本人。日本人だが演じる役のほとんどが朝鮮人だという面白い劇団である。


 さて、そのMayの公演が11月19日から大阪で行われる。
 作品名は「晴天長短」ーセイテンチャンダンー。2009年に東京で初演された作品である(写真)。詳しい内容はMayの公式HP(http://may1993.syncl.jp/)を観ていただきたい。

 私は東京での初演も観たのだが、たまたま大阪に出張ができたため、今回の大阪での公演も観にいきたいと思っている。東京での公演からどのように進化しているのか楽しみにしている。
 うわさによると、東京のときよりも、ものすごく面白くなっているらしい。出演者のひとりが「面白くなかったらお金を返す」とつぶやいているほどである。

 この機会にぜひ、Mayの公演に足を運んでいただきたい。
 Mayの作品を観ないまま人生を送るのは、ビビンバにコチュジャンを入れずに食べ続けるようなものだ。(k)


以下、公演の情報です。

May's frontview Vol.27
「晴天長短」ーセイテンチャンダンー
作・演出/金哲義

秋空の下、けたたましいひとつの長短(チャンダン)が響くー
ある晴れた日。舞台は朝鮮高級学校の運動場。
息子の運動会を酒の肴に繰り広げられる、
家族・親族、それぞれの自分勝手な短い物語。

◆日時
2010年11月
19日(金)19:00
20日(土)15:00/19:00
21日(日)14:00/18:00

◆会場 in→dependent theatre 2nd
http://west-power.co.jp/theatre/