日曜日の22時過ぎ、電話がかかってきた。
母の妹からで、
祖母が亡くなったとのこと。
もう何年も持病を抱えていて、今年の4月から認知症などもあり介護施設に入所していた。
その日、朝から祖母の調子が急に悪くなり、「もうそれほど長く持たないかも」という連絡は来ていて、母親とも
「出来ることなら、早い時分に一度会っておいたほうがいいかもね」などと話もしていた。
死に目に会うことも出来なかったどころか、自分が祖母に最後に会ったのは、10年前の7月だった。
母親の実家というか祖母が住んでいるのは山口県のとある田舎の漁師町。
祖父は早くに他界しており、母親の姉妹も皆家を出て、軒並み遠くに住んでいたため、祖母は一人暮らしを余儀なくされていた。
自分がまだ小学生くらいの頃は、夏休み、冬休みと毎年長い休みの時はほぼ全部の期間滞在していて、それこそ長い休みの思い出は
祖母の家の周りであり、自分が日頃生活している静岡にいることもなければ当然思い出もまるでなかった。
中学生、高校生ともなると部活やなんやでなかなか行く回数も激減し、それこそ祖父の法事くらいでしか行くことがなかった。
(中高6年間で2、3回くらいは行ったのだろうか?ほとんど記憶がない。)
そのあとは社会人になって初めの頃の正月くらいに1度そして
10年前にもう1度。
母親の姉妹の子たち(いわゆる孫)もほとんど年齢が変わらなかったので、同じように小学生の頃はよく集まって遊んでいたが
次第に足が遠のいた感じだった。
みんなそれぞれ同じように年を重ね、祖母も段々体に悪いところも出てくれば、(一人暮らしなので)生活していくのに
大変なところもある一方で、母親の姉妹は、その子供達(いわゆる孫)が大きくなり手がかからなくなり、
時間もできたことから祖母の家に交代で何週間ずつ滞在して面倒を見るような生活を送っていた。
そんな中、ある日、自分の母親が祖母の家に行った際、母親が畑の草刈りをしていたら、畑の斜面を頭から滑り落ち、
腕の骨を折るという大きな怪我を負うことになった。
手術が必要なくらいの重傷で、マイカーで行っていた母親はとてもじゃないけど車に乗って帰ることは出来ないので
「新幹線で帰ってくるので、車を取りに来てくれ」とのこと。
え・・・
「そんな無茶苦茶な」と思った。
土曜日朝から新幹線に乗って行き、夕方祖母の家に着き一泊して、日曜日車で約740km走行して帰宅。
翌日から仕事というかなりハードな日程だった記憶がある。
しかし、この時、祖父の墓参りも十数年ぶりにできたこともあり、体はキツかったが、心のどこかで墓参りに行きたいなと
ずっと引っかかっていたところもあるので、なんか晴れ晴れした感じでもあった。
「出来ることなら早い時分に会っておいた方が・・・」などと、具体的な予定など何も立っていない状況で、
果たしてこれはいつ実現するものなのだろうかといったところなのだが、亡くなったとなると一転、
通夜だの葬式だの日取りが即強制的に確定するので、それに間に合うように一気に物事は動き出した。
その日、夜中まで何度も電話が掛かってきて、簡単ではあるが通夜と葬儀の日にちが伝えられた。
8日(火)通夜、9日(水)葬式
何やかんや日頃から動いているのは母親並びにその姉妹なので、今回も通夜、葬儀には母親姉妹だけが集まる感じを
匂わしていたが、自分自身幼い頃から可愛がってくれた祖母なだけに、やはり見送りたい、葬儀に参加したいと
真っ先に思った。
職場でも同僚関係の訃報はよく流れるが、祖母が亡くなった場合の忌引き休暇って何日まで許されるんだろうか?
山口なだけに移動だけで往復で2日、そして通夜、葬儀で2日、最低4日は休まないとならない。
親が亡くなった場合だと1週間くらいは問題ないのだろうけど、祖母となるとどうなのだろうか?
(あまりよく知らない。)
一応頭の中でのシミュレートとしては、月曜日、朝通常通り出勤してとりあえず引き継ぎして、まぁ10時台には終えて
昼前には帰宅、それから行く準備をして遅くとも14時には出発出来るのではという算段になった。
家族みんなで行くとなるとどうしても車を使っての高速道路を走っての移動となる。
(田舎で駅から20km離れていて、バスも本数が非常に少なく、また最終便も早めになくなってしまうとうこともある。)
車での移動のメリットは時間の制約を受けない点、大勢で行く場合安く行ける点、荷物を沢山乗せられる点だろう、
しかし、車での移動は特に今回は深夜の走行でもあるので休憩を入れると12時間近くかかる。
(制約を受けない分、正直な所、出発時間はかなりアバウトな感じでも大丈夫だった。)
最近では、ぶらり旅も電車での移動が大半なので、睡魔と闘いながらの運転はしんどいし、出来れば寝ている間に目的地に
到着してくれていると非常にありがたいところなのだが、自分が大半を運転せざるをえない感じだろうし。
月曜日職場に行って上司にその旨を伝え、引き継ぎと最低限片付けられるものを片付けておかないと急に長い期間
休むのもみんなに迷惑がかかるしなぁと、当初頭でシミュレートしていた10時過ぎを目指して取り掛かった。
しかし、予想に反して非常に忙しく、また「金曜日まで休みます」と申告した手前、金曜日までに分かっている事務処理に関しては
片付けておく必要も出てきて、本当に何から手をつけていいのか分からない感じにまで陥った。
結局、てんやわんやで実際に事務所を後にしたのは14時半。家に着いたのは15時過ぎ。
そこから昼飯を食べながら、急ピッチで支度をして出発したのは
16時半。
ここから12時間の長い旅が始まるのか・・・
体感としては、通常勤務の8割型の時間での仕事をこなした上での、深夜の長距離ドライブ。
超過酷・・・
今回の長距離ドライブは「遊びに行く」とはちょっと異なるし、行ったら行ったであれこれバタバタあるだろうし、
1週間の休暇は、骨休めではない。
本当に運転しながら、ただただひたすら
「目的地へ向かう」だけしかない感じだった。