皆様ごきげんよう。昼からワインを飲んで、日が沈んだ頃嫌々ながらジムに行って運動してきました黒猫でございます。ふう・・・。
今日はジムで読んだ本の感想を。
『百瀬、こっちを向いて。』(中田永一著、祥伝社)
「人間レベル(外見と精神の良し悪しを総合したレベル)2」を自称する相原ノボルはひたすら地味な存在。入学した高校でも、とにかく目立たないよう教室の隅で息を潜めている日々だった。
ある日、ノボルは幼なじみで兄のような存在、いまや校内の人気者になってしまった分近寄りがたい存在となった宮崎が、同じ高校の制服を着た少女と駅の近くを歩いているのを目撃する。しかし宮崎には髪の長い綺麗な彼女がいたはず。しかし目撃した少女の髪は肩あたりまでしかなかった。そのことを宮崎に指摘すると、「お前、今彼女がいないならこいつと付き合ってることにしてほしい」と頼まれる。
肩までの髪の少女は百瀬と名乗り、野良猫のような目でこちらを見返してきて・・・?
というようなお話が表題作。
表題作を入れて4編が収録された短編集です。
白地に銀色の文字でタイトルだけが配されたシンプル表紙デザインがとても綺麗ですが、汚れそうだなあ。ま、わたしは図書館で借りたのでラミネート加工済みのものでしたが(笑)。
主人公はすべて高校生で、なんというか、クラスで目立つタイプではない、教室の隅にいるタイプの子ばかりです。みんなその歳にして既にちょっと卑屈で、恋愛なんて都市伝説か、あるとしても自分には縁がないと思っている感じな人たちなんですが、全編恋愛もの、と思っていいと思います。
主人公たちの老成したというか諦めきった卑屈で自虐的なモノローグとか、舞台は違えど共通して田舎町が舞台であるところとか、それでいて妙に胸ときめかす描写とか。
アレ、この既視感・・・
※以下、内容ではないですがネタバレ要素が入ります。イヤな方はここで終了して下さい。
多めに改行して続きます。
これ作者乙一じゃね?
作者名は「中田永一」。プロフィールによると恋愛アンソロジーでデビューして、単行本はこれが初とのこと。
でも乙一じゃね?
検索してみようと「百瀬、こっちを向いて。」と入力したら、変換候補に「乙一」と出ました(笑)。
そういうことなの?
とりあえず検索結果から2、3拾って読んでみましたが、皆さんそう思っているようですね。文体似過ぎ。
まあ、最近あんま活動してないもんな乙一。なんか映画のほうに興味が行ってるとか聞きましたが、どうしてるの。わたしは多分単行本は全部読んでると思うんですが、初期(ジャンプノベルズ時代)~中期(角川スニーカー文庫時代)くらいの作風が好きで、「GOTH」以降はあまり評価していません。でも一番有名なのは「GOTH」なのかなあもしかして。
まあ、中田永一さんの正体が乙一かどうかはともかく、さらっと読めてそこそこ面白かったです。結末をぼかした風の話が多かったけど。わたしはこの中では「なみうちぎわ」が一番好きです。ありそうにもない話だけど、だがそこがいい、みたいな。
ええ、なんだかんだ言って結局乙一好きですが何か?(何ギレ?)