Gabbie's Cafe

 天使のカフェへようこそ

Tokyo Tower

2008年09月11日 | Cafe Gallery

            川崎滞在中に、夫が私たちを夜の六本木に連れて行ってくれました。

日夜仕事に追われている夫。せっかく子供たちが来ているというのに、お盆休みもろくに取れない情況でした。
まぁ、今回は私たちが勝手に来てしまったのだから…と、不満タラタラのTをなだめていたら…毎日夜半までやっても終わらないという仕事を、どんなにか無理して切り上げてくれ、夜でも楽しめることを探してくれました。

小学生になったTが少年野球を始めたと知ってか、夫がその晩選んだスポットは地元のバッティングセンター。中学でサッカーを始めるまでは、パパも野球をやっていたんだよと、息子の前で少し得意顔。かっこいいところを見せようと(?)やる気満々です。でも左利きの彼は、たった一つしかない左利き用のボックスに入るしかなく、そこはボールの速度設定がなんと120km!!みるところ最速です。
35才、大いなるブランクの後にいきなり120kmは…やはり酷でした。四苦八苦しながらも持ち前のセンスで少しずつボールにミートしていく夫。結局何本かのセンターオーバーを披露して見せ、父の威厳をキープ(笑)。
マシンのスピードにおののいてボックスに入りたがらないTの為に、いくつもトスを投げてあげる。あっちこっち歩き回って落ち着かないRを追いかけながら、そんな父子の姿をほほえましく眺める私でした。

バッティングセンターを後にして、おもむろに高速に乗る夫。大好きな湘南に下るのかと思いきや、彼のアルファードは一路首都へと進路をとります。渋谷の上を飛び越えながら、きらびやかな都会の夜に感嘆の声を上げるT。『そうだ!東京タワーが見たい!まだテレビでしか見たことないけん!』…そうか、そういえばそうだったね。
                              

六本木ヒルズの前をかすめて、金色に輝くタワーを目指す。夜の闇の中にそびえる幻想的な塔。ライトアップされた東京タワーのあんなに近くに行ったのは、これが初めてでした。

夫にはじめてであった頃、仕事が終わった夜遅くに、車で地元・川崎の高台に連れて行ってもらったことがありました。
川向こうの東京の夜景が広がります。あそこに東京タワーが見える、と夫の指差した先には、ほんの爪の先ほどの小さなオレンジ色の点。ああ~。小さいんだね~…と心の中では思いつつ(笑)、『俺の一番好きな場所』に連れて行ってくれたというその好意が嬉しくて、言葉にはせずにおきました。

あれから、ちょうど10年経ちました。いろんなことがあったけれど、あの時見たのと同じ東京タワーを、またこの人と一緒に、こんなに間近で見ている。しかもあの時には形もなかったはずの、二人のニューフェイスと共に。

どんな嵐の中を通ったとしても、その嵐が去った時、神のみこころにかなったものはそこに残る。ちょうど空襲のあとに萌え出でる新芽のように、洪水が去った後、ノアが放った鳩がくちばしにくわえてきたオリーブの枝のように、私たちの希望は、決して失望に終わることがない。
タワーを見上げる父子の後ろ姿を車の中から眺めつつ、この希望に根を張っていこう、と、心静かに思うのでした。

眠ってしまったRと私をハードロックカフェ裏の駐車場に停めた車に残して、ヤロウ二人は夜のロッポンギに繰り出していきました。走る車の中から眺めた時、六本木の街角には沢山の外国人たちが見えました。中には見るからに怪しそうなヤカラの姿も…。
若い頃出入りしたこういう場所に、今は出て行きたいと思わない。守られた空間ですごすことに満足している自分がいて少しビックリ。

そして近い将来、大きな、危険いっぱいの世の中に出て行く息子の横には、強くて大きなパパがいてくれる。私が守っていかなくても、彼には強いパパがいる。
そしてそのパパをも大きく見守る、目に見えないもう一人のパパがいる。

2人のパパにありがとう。あなたたちのおかげで、私にはなにひとつ、欠けるものがない。