Gabbie's Cafe

 天使のカフェへようこそ

nest

2006年10月14日 | Cozy Booth

我が家のお向かいは、なんとも由緒正しい風格の漂うお宅。お客さんをお迎えする時、車で到着するなり母はいつも“あっちのお宅だったらいいなぁ、とお思いかもしれませんが、残念ながらうちはこっちです”と、笑いながら言うのがお決まりになっているほどです。

この素敵な純日本風の旧家のあるじは、Y村先生ご夫妻。ゲートボールをするのも、町に出かけるのもいつも一緒の仲良しなご夫婦です。

Y村先生は、何を隠そう私の父の高校の時の先生だった方。八十を越えてもいまだに全ての木に登り、自ら剪定なさっています。そしてそのお庭は、四季の花々が趣深く咲くところ。“歳をとったら、来てくれるモンがあったら、嬉しいんじゃ”と、入り口には門もありません。

夏が終わって伸び放題になった木々を、今年も先生が整え始めました。松の木に登って切り始めた先生を、落ちた枝を拾いながら見上げる奥様。“そろそろお茶にしよう”という先生の声が、奥様には聞こえない様子…。
“そういえば、いただいたきんつばがまだあったっけ”と思い立ち、二人分のお茶を入れて、先生のちょうど降りてこられたところを見計らって持って行きました。金沢の、お砂糖を使わないやさしい甘さのきんつばは、なんだか先生ご夫妻のお口に合う気がしました。


…そしてその午後、Tのお迎えにと外に出ると、玄関先にちいさな鳥の巣が…。
“木の上にできちょったから…Tくんにみせてあげちょくれ。”一仕事終えた先生が笑って汗を拭き拭き、家に入っていきながら言われました。