私の部屋に今も飾ってある一枚の写真。
みんなで掴み取った、そして私にとって初めての優勝体験。
学生時代に味わいたくても味わえなかったこの体験を、私は社会人になってから一度だけ味わうことができました。
誰もに認められ期待されながら、精神的弱さから鳴かず飛ばずだった学生時代。
不完全燃焼を引き摺って格闘技を続けた先に敬愛する先人と出会いました。
強くて人格的にも尊敬できる兄貴分。
強くなるためにその人の背中を追いかけました。
強くなるためにその人のスタイルをコピーしようとしました。
週に一度の手合わせの時、なんとかしてその人の顔面にパンチを入れたい。
その思いだけで次の１週間を生きていける、そんな時代がありました。
良い先輩、良い仲間に恵まれて、燻っていた拳は甦り、熱く熱く燃え上がりました。
新撰組における試衛館のような、活気と希望に溢れた道場での日々は本当に幸せでした。
あの時の仲間は散り散りになり、多くの仲間が自らのグローブを置きました。
でもきっと、もう５０になる兄貴は現役でいるはずです。
人生最後の日は回想にとっておくとして、死ぬ前日まで修行を続けようと誓い合いましたから。
私の拳は今なお燃えています。
なんども消えかかったこともあるけど、なんとか兄貴との一生の約束を守れています。
私は本当に幸せです。
