KFCブログ~Growing old is not shame~

格闘芸術家集団KFCブログ、満を持して復活です。
明るく楽しく真剣に格闘技に取り組む社会人の格闘倶楽部です。

夢の拳

2013-10-14 23:06:43 | 友人紹介
夢の拳
この日、私は久々に格闘技の聖地、後楽園ホールに足を運びました。
かつてタイのサシパパジムで共に汗を流した、TOMOYUKI選手のタイトルマッチ、NJKFスーパーウェルター級王者決定戦を応援し、彼がベルトを巻くのを見届けるためだけに行きました。
たまに覗いた彼の日記には、この試合に懸ける思いと、過酷な練習や減量のことが今までたくさん書いてありました。

「試合観に来てくれませんか。」
「お前がベルトを巻くとこ観に行くよ。」

そして当日を迎えました。
前座から始まり、トモの試合はセミファイナル。
厳かにコミッショナー宣言も行われました。
選手入場では、耳をつんざくような歓声の中、私も精一杯の声をかけました。
ゴングが今にも鳴らされようとして、だんだん自分のことのように緊張してきます。
そして、ついに始まりました。
今までのすべてをぶつけるかの如く、最初からガンガン攻めていくトモ。
相手も負けじと応戦します。
文字通りド突き合いの、すごい試合でした。
そしてトモは最後の最後まで強敵を上回る気持ちと勇気で攻め続け、3ー0の判定勝ちで念願のタイトルを掴みました。
久々に格闘技に興奮する私がそこにいました。
いつの間にか大声で、自分なりの精一杯のアドバイスを叫んで、友達を応援している自分に気付き、少し驚いた程でした。

試合が終わると、ファンや関係者に囲まれて写真撮影等をしているトモを少し離れて見ていました。
程なくトモは私に気付き、まだ汗ほとばしり熱気冷めやらぬかつての同門と、私は固く抱擁し、健闘を称えました。

「勝又さん、観に来てくれてホンマにありがとうございます!」
「おめでとう!いい試合だった!ゆっくり休んでな。」

短い会話でしたが、充分でした。
自分で選んだ道で、出来うる最高の努力をして、そして自らの拳で夢を一歩手繰り寄せたのだから。
芸人の仲間達と同様、現代日本の格闘家達も効率の悪い生き方を選択した人間なのかも知れません。
ただ、私は今でも憧れます。
損得ではなく、己の納得するまで、1つのことをやりきるという生き方を。
自分にはできないことだから、余計にその一瞬かも知れない輝きが、尊いものに感じるのです。
この日のトモの拳は、夢そのものに、輝きを放っていました。
本当に、眩い拳でした。