各メーカーが鎬を削って、販促に取り組んでいます。
一般的に、きちんと顧客セグメントを明確にして、ターゲットは絞り込む。どちらかと言えば絞り込むほど良い、といったマーケティングの考え方がありますが、機会やタイミングをうまく捉えると、周辺の違う人に買っていただくこともできるようです。うまくいけば、ブランドの認知度も高まります。
本日の日経産業新聞に次のような記事がありました。
「男性用電気シェーバー カミソリ派取り込み急ぐ」
・『アゴ下に強いウエット&ドライシェーバー、お風呂シェーブも可能』。同シリーズはフィリップス日本法人が初めて、日本独自の販促策を採用したシェーバーだ。
・新たに取り組むのがニベア花王のシェービングフォームとの共同販促。~~ヒゲを濡らしながらそる使い方を進めるためだ。そのほかにも日本初の工夫が目白押し。「新製品の機能は世界的に変わらないが、日本では日本人に合った販促が必要」と判断した。
・パナソニックはラムダッシュを拡販している。「お風呂で、スベ肌シェービング」との標語を掲げ、人気タレントの亀梨和也さんをイメージキャラクターに起用した販促を展開中だ。「20代の若者は初期投資がかからないカミソリの使用者が多い」ことに注目。
・女性の認知度も上がり、口コミ効果や親しい男性・父親へのプレゼント需要も開拓できた。その結果「ラムダッシュ」シリーズ全体の販売は台数ベースで前年同期の1.8倍に増えた。
・あえて2社と違う攻め筋を見せるのが国内2位のP&Gが手がける「ブラウン」。
・お風呂シェーバー路線と一線を画し、従来のドライシェービングを深掘りする。
(引用:2010/08/17 日経産業新聞より)
とのことです。
販促の方法はメーカーによって様々ですね。
売上をつくる方法は一般的に5通りあると考えられます。
1.新規顧客を増やす
2.流出顧客を食い止める
3.購買頻度をあげる
4.買上点数を増加させる
5.商品単価をあげる
フィリップスとパナソニックは特に「新規顧客を増やす」作戦を採っているように見えます。記事によると、ひげを剃る男性のうち電気シェーバーを使う人の割合は約55%で、カミソリ派は約45%とのことで、まだまだカミソリ派を取り込む余地は大きいようです。
さらに「新規顧客を増やす」ためには”買う理由をつくってやる””買わない理由をつぶす””ターゲットを広げるとか、周辺の違う人に売ってみる”などの方法が考えられますね。
フィリップスでは、商品性能を高めて電気シェーバーで剃りにくいアゴ下を剃りやすくし、ひげを濡らしながら剃る使い方で、深剃りや爽快感をうまく伝えて「買う理由」づくりをしているようです。
パナソニックの場合も、うまく「新規顧客の開拓」をしています。電気シェーバーの魅力を伝えて、「買う理由」をつくり、ターゲットを広げて」プレゼント需要により女性への販売も成功させていますね。
P&Gについては、手間のかからないドライシェービングにあくまでもこだわって、製品そのものの性能や機能で勝負しています。ブランド価値を高めて、新規顧客の獲得と顧客流出を防いでいるように見えます。
上記のパナソニックの場合は、さらに女性用理美容品の販促に起用している、女優の仲間由紀恵さんと亀梨さんを同時に登場させる広告も予定しているとのことで、理美容品全体で、男性にも女性にもアピールする方法を狙っているとのこと。「理美容品といえばパナソニック」の製品をうまくイメージづけることができそうですね。
販促手法はさまざまですが、プレゼント需要のように「買う人」と「使う人」は必ずしも同じではないということで、電気シェーバーを女性に買ってもらうというのは、後々のイメージの刷り込みや、認知度の向上を考えても、おもしろく効果的だと思います。
さて、あなたのビジネスでも、今の商品を「ターゲットと違う人」に買っていただくことはできないでしょうか?