中小企業診断士 藤田雅三 ブログ

~コンサルティングblog~ざっくばらんにいろいろ書きます。

お得感を感じる「値上げ」をしよう

2010年08月13日 13時51分45秒 | 戦略・ブランド・コスト・業務改善

外食産業の価格競争が厳しくなる今日この頃、マクドも牛丼業界に対抗し、「ビッグマック」(通常価格290~320円)を17~26日の期間限定で値下げし、200円で販売するそうですね。また、朝食向けの「マックグリドル ソーセージ」(220~230円)については16日から100円に恒常的に値下げとのこと。

消費者にとってはうれしい話で、私もマクドで読書など・・・と思ったりしているわけですが、提供する企業としてはやはり辛いところ。

ハンバーガー屋はポテトで儲けろ、というわけではないですが、商品アイテムが少なく、値下げをカバーできる周辺商品がないとか、メイン商品を値下げせざるを得ない場合はなおさら厳しいでしょう。

本日の日経MJに次のような記事がありました。

「お値打ち感ある店づくり お薦めPRしっかりと」
・ワタミが客単価2000円を下回る低価格店に参入するなど、飲食店同士の価格競争は厳しさを増している。しかし、単純に価格で競うのは無謀だ。
・東京都世田谷区の住宅街にある立ち飲み店「世田谷BAL」。悪立地ながら、人気の理由はドリンクや料理の提供方法にある。
・ワイン1本からとるグラスワインの量は5杯分ときめていて、5杯目だけかなり量が多くなる。客にとっては空きかけのボトルの銘柄を注文した方が得で、グループ客なら場も盛り上がる。
・原価150円のパンの盛り合わせは提供価格が100円という超奉仕品だが「パンを頼む人は料理も頼むので元は取れる」。誰もが頼む商品を安くすればこの店の商品はお値打ちだという印象を多くのお客に与えやすい。
・2009年10月に発売したリンガーハットの「野菜たっぷりちゃんぽん」(650円)は以前の「長崎ちゃんぽん」(旧価格450円、現在は地域別価格で490円~550円)より200円高いが、野菜は230グラムから480グラムと2倍以上だ。その結果、「外食チェーンの新商品は10人に1人が注文すれば大ヒットといわれるが、『野菜たっぷりちゃんぽん』は5人に1人が注文する人気商品になった。
・野菜は器のフチから7センチ以上の高さになるよう盛りつけている。並々と盛りつけられた野菜のボリューム感というわかりやすい演出が、値上げ分を上回る「価値」として客に認められている。
(引用:2010/08/13 日経MJより)

とのことです。
「長崎ちゃんぽん」は私も結構好きなお店です。関西にいたころは時々食べていましたが、東京に来てからは疎遠になっています。しかしその辺のラーメン屋に行くよりずっとおいしいです。

参考にすべきは、
①マクドと同じように地域別価格を取り入れている点
②野菜増量で、値上げをしながらも、お値打ち感を出している点
③増量しているのが野菜なので、健康的でもある点(しかも7種類と謳っている)
④盛りつけ方は器のフチから7センチ以上と、見た目からしてわかりやすい演出で、昨今のデカ盛り、メガ盛りにもアピールしている点

などでしょう。
『野菜たっぷりちゃんぽん』

ちなみに、私の事務所近辺にある、浅草駅前店の価格表をみると下記の通りです。
・野菜たっぷりちゃんぽん650円
・長崎ちゃんぽん550円
・スモールちゃんぽん450円
と、ちゃんと価格のバリエーションも用意されており、そのときのお財布やおなかのすき具合でちゃんぽんが選べます。

また、お値段そのままで麺が増量できるのも良いですね。
価格を下げるくらいなら、「おまけ」をつける方がずっと良いです。

私が商売をしていた頃、私の恩師であるS先生が、うちのスーパーの売場にならぶ惣菜を見て「安い!」と驚かれていました。
これだけ安く販売できてちゃんと利益を出していましたから、ほめ言葉ではあるのですが、逆に「安すぎてもったいない」とか「単価をあげる挑戦をしていない」というふうにも言われていたわけです。

そこから徐々に従来の安さ感を失わずに、単価を上げていく挑戦をしていました。
一例では、198円の「焼きそば」は1アイテムしかありませんでしたが、少し増量して目玉焼きを1つか2つ上にのせたりして2~3アイテムにするだけで、298円や398円で売れるようになりました。
結果、単価アップにもなりますし、驚くべきは焼きそばの売上げ、消費量が一気に増して、それまでの2倍や3倍の麺を消費するようになりました。

どうしても価格を下げざるを得ないのであれば、値下げと同時に、利益率の高い商品や、増量や新商品投入などで単価アップを図れる商品を加えていくのがよいでしょう。

フードビジネス中心の話になりましたが、他の業種でも応用はできるはず。

さて、あなたのビジネスでも、「お得感を感じる値上げ」を考えてみることはできないでしょうか?

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