事件は現場でおこっている・・・とは、まさに映画だけではなく、実際の経営にも言えること。
一昨日の記事ですが、日経産業新聞に次のような記事がありました。
「商品投入、即断即決の場に」
・不二家にとって秦野工場は同社の屋台骨を支える中核拠点だ。
・工場長自らサンプル商品を支店に送るなど「営業の一人」として販売部門にも発破をかける。
・「余力がある」と判断すればタイミングを逸することなく空きラインを活用した新商品を矢継ぎ早に投入。検討開始から売り出すまでの期間はわずか2~3ヶ月。企画や開発部門を経て、商品を具現化する従来方式では10ヶ月はかかっていた。同工場は今や即断即決の場となっている。
・工場はライン稼働率を上げ、生産効率をいかに高めて利益を出すかが勝負。山田会長や桜井康文社長も出席する会議を週1回、同工場で開いている。
・3年前の問題以来、生産現場の衛生面の問題点を改善する取り組みも続いている。同社は山パンの支援で米国の衛生管理手法「AIB」を07年に導入。
・高橋工場長は頻繁に簡易モップを手に工場内を見回り、毛髪が落ちてないかをチェック。どこに何本落ちていたか、データ化する徹底ぶりだ。
(引用:2010/08/12 日経産業新聞より)
とのことです。
現場から離れた本部や会議室で企画を練って、やっと開発された商品を、営業部の指示を受けるままに売れるだけ製造しているようでは、今のビジネスのスピードについて行くことはできないと言うことでしょう。
製造の現場で企画開発し、どれだけ売るのかも即断即決できるようにし、部門間を隔てて存在する過剰な会議や承認、行程といったボトルネックを解消すれば、企業の戦略実行スピードは飛躍的に高まるでしょう。
社長をはじめ、会長までもが出席する会議を毎週、工場で行っているというのも、スピード感に溢れています。
現場任せにするということではなく、自ら現場へ降りてゆく。
スピード感は重要です。経営をする上で、必ず成功する戦略や方針など、そんなことわかりませんので、”いけると踏んだらすぐ実行、だめだと素早く察知したらすぐにやり直してなおかつ失敗も取り戻す”くらいのスピード感を持っていた方が良いでしょう。
ユニクロの柳井社長も著書「一勝九敗」の中で、自分も失敗の方が多いと語っていらっしゃいます。ちなみに本によるとユニクロの経営理念は第二十三条までもあるようです。ここまで多いのは、経営理念が「単なるお題目」ではなく、経営をしていくうえでの実務的ガイドライン、チェックリストのような存在になっているのではないかと思います。
経営のヒントが満載の良書ですので、まだの方は是非ご一読されると良いのではないでしょうか。
そして、工場長の視点もすばらしいですね。工場に落ちていた毛髪、どこに何本落ちていたかというところまで追求することで、また新たな改善ができるのでしょう。
さて、あなたのビジネスでも、もっと現場へ降りてゆく、現場を中心に事を進めていく経営が考えられないでしょうか?