情報が溢れて、誰もがあらゆる情報を手に入れられる時代になり、自分の頭でよく考えて吟味したり、自分の目で確かめたりといったことが疎かになりがちで、誤った情報を鵜呑みにしてしまう・・・
また、誰より早く収集した情報を元に、次の課題を決めて行動しているつもりなのに、結果が思うようについてこない・・・といったようなことはないでしょうか。
本日の日経新聞にMIT名誉教授、レスター・サロー氏のお話が載っていました。
「経済成長、この先だれが担う? 米が中心、秩序変わらず」
-中国はいずれ米国を抜き世界一の経済大国になるといわれているが・・・という質問に対して
・中国の経済成長率は今年は年率10%だと言われている。これは怪しい。10%成長は都市部に限った話で、地方に住む9億人はゼロ成長だ。中国全土が10%成長するには、都市部の4億人が33%成長しなければけん引できない。地方を含めれば中国の成長率は3%程度だろう。
・08年の中国の1人あたり国内総生産(GDP)は3400ドルだ。米国は4万7千ドル。中国の過去20年の平均成長率が続いても、追いつくには100年かかる。
-インドも急速に経済成長しているが・・・という質問に対して
・インドは90年代は年率3%、2000年代は年率8%で成長したという。私は信じない。3%が8%に上昇したなら、何かが飛躍的に改善しているはずだ。教育は改善していないし、海外からの直接投資は増えていない。規制緩和は進まず、インフラもよくなっていない。
・私は米国のGDPの数字は信じる。数字を集計する人間に、大統領によって更迭されない独立性が担保されているからだ。彼を首にできるのは議会だけ。GDPを集計する人間が大統領や首相に更迭される可能性がある国の統計数字を信じてはならない。
(引用:2010/08/01 日本経済新聞より)
とのことです。
やや米国偏重的な感じはしないでもないですが、ものの見方は大変参考になりますね。
与えられたデータや情報をそのまま信じるのではなく、自分で多面的に考えてみるということ。
よく経営学や教育の勉強をしたり、コンサルティングに関わっているとクリティカルシンキングといった言葉が出てきます。
クリティカル・シンキングとは、表面上の情報や知識を鵜呑みにせず、論理的に分析するといったようなことですね。
コンサルティングやビジネスの現場では、問題解決にあたる場面が多々登場します。そんな問題解決の手法として是非活用したい考え方であり、すでにやっている方もいらっしゃるでしょう。
「そもそもその課題は正しいのか、本当にそそうなのか?」「真因は何か?」
といった考え方です。
”売上が落ちていて、どんどん競合に攻め込まれているので、相手の値引き額よりさらに安く販売できる方法を考えよう!”
といったようなケース。本当にそれでいいのかどうか?
”競合に攻め込まれて売上が落ちている原因は本当に価格なのか?”と疑ってみることも必要でしょう。
”相手より安く販売できるようにする”のが本当に今の課題なのかどうか、もう一度真因を突き止めて、課題を設定してみると違う結果になるかもしれません。
ある問題に取り組むときのものの考え方について、自分でチェックリストをつくっておくといいかもしれませんね。たとえば、
□そもそも~そうなのか?と疑ってみる
□根拠となる事実は本当に事実かどうか?信頼できる情報かどうかを考慮する
□自分の目で確かめてみる
□与えられた情報や他人の意見を鵜呑みにせず、自分で論理的に考える
□考えるには多面的に、常に複数の視点、観点から考える
□自分の考え方は偏っていないかどうかをチェックする
・・・等です。
さて、あなたのビジネスでも、今取り組むべき問題や課題は本当にそれで良いのかどうか、もう一度チェックしてみませんか?