成熟産業や飽和状態にあると思われるビジネスも、顧客ターゲットを絞り込んでみれば、また新たなチャンスが見いだせることがあるかもしれません。
本日の日経MJに次のような記事がありました。
「非常識こそ花の山 立地、設備、接客で吸引力」
・有望市場と言われながら頭打ち感の漂っているのがフィットネス業界だ。そのなかで米国生まれで異端的存在のカーブスジャパンが店舗数、会員数を順調に増やしている。
・フィットネス業界の常識からはかけ離れていると思います。会員は女性だけ、しかもその大半が40歳代後半から60歳代です。プールもシャワーもありません。
・一番大切なのはお客さんとの距離感、信頼関係の構築です。店のスタッフはお客さんの名前をファーストネームで呼んでいます。
・最近は食品スーパーやドラッグストアの不採算売り場に我々が入るケースもよくあります。売り場に壁をつくれば簡単に設営できます。
・サービスは30分間のフィットネスプログラムにもかかわらず、高齢化とユニークな立地戦略、不動産賃料の下落を追い風に急成長を遂げている。
(引用:2010/08/02 日経MJより)
とのことです。
わたしもスポーツジムに通うのが好きですが、正直プールやシャワーのないジムはちょっと・・・です。
大きな風呂に入るのが好きなので、かならず大浴場のあるジムを選びます。
では、なぜ上記のようなフィットネスクラブが受け入れられているのでしょう。
「立地、設備、接客で吸引力」と書いてありますが、私個人的には、顧客ターゲットを女性に絞り、しかも40歳~60歳代の女性に必要な機能を取りそろえて、通いやすい店舗を作り上げたからではないかと考えています。
シャワーやプールだってあった方がよいでしょう。室内に鏡だってあればあった方が良いのではとは思います。
しかしながら、それは絶対条件でなければ極力シンプルにしてしまうことで、設備投資を安く、出店可能立地も多岐にわたり、損益分岐点を下げられれば多店舗展開が可能となります。
それを可能にしたのは、ターゲットを絞り込んだから、ではないでしょうか。
もちろん、ただやみくもにターゲットを絞ればよいのではありません。そのターゲットとしている層に、「そのニーズが潜在していた」ということが必要です。
私もよくジムへ行っているときに感じていたのですが、いつも行くとお客様はほとんど女性の方が多いです。ところが、ジムの筋力マシンを使用している女性がほとんど見られません。たいていは別室のフロアでフィットネスのプログラム(エアロビとかダンスとか)の方がにぎやかで、プログラムの合間にジムの方へやってきますが、ストレッチをしていたり、マシンもせいぜいエアロバイクやランニングマシーンなどしか使われていません。
私は筋トレが好きなので、ウエイトトレーニングのマシンやダンベルを使っていますが、女性はほとんど使っているのを見ませんね。
そう、たぶん使いづらいと思うのです。
見ていると、たまに女性がマシンを使用しているところに、「早くどけ」といわんばかりに筋トレマニアのおじさんが近くでプレッシャーを与えているのを見かけたり(--;)・・・
筋肉ムキムキの男性が、あつまって「フンッッ!!」というかけ声とともに、バーベルやウエイトを持ち上げていたりすると、近くに寄れないのでは・・・と思っていました。
「男性の目を気にすることなく」、「痩せる」とか「健康になる」などの自分の目的が達せられるのであれば、必要十分な設備で、接客が良く、通いやすい場所にあるフィットネスクラブがよい・・・ということになるのではないでしょうか。
特に、年配女性には心安くて受け入れられたのではないかと思います。
さて、あなたのビジネスでも、顧客ターゲットをさらに絞り込んでみると、新たなビジネスモデルが見つかることがあるのではないでしょうか?