「財政赤字」。よく耳にする言葉です。
国も地方公共団体も、来年度の予算編成の真っ只中ですね。
今朝の読売新聞の社説を読んで感じたこと、元公務員で県の財務関係の仕事が長かった夫と良くする会話の一部をアップです。
国や地方自治体(都道府県市町村)は様々な事務事業を行なっています。
国の代表的な事務事業は、社会保障、地方交付税交付金、公共工事、文教および科学振興、防衛関係などなどです。
*地方交付税交付金とは、国内のすべての地域が均質な行政サービスを受けられるよう地方の財政力の格差を是正するために、国税収入の一部を地方に配分する制度です。
それらの事業を行なうための経費(歳出)をまかなうために、「財源」と呼ばれる税金などの収入(歳入)が集められます。
家計も同じです。働いて収入(歳入)を得て、生活(歳出)をやりくりする…。収入に見合った生活が大前提で、収入に不釣合いの生活をすれば、借金生活となる…。切り詰めて生活して、預金を蓄える努力をする…。
「財政赤字」とは、歳出に見合うだけの歳入が無いこと。歳入が少ないのに歳出が過大であることを意味します。「財源確保が難しい」などとよく聞く言葉がそれです。
最近、「世界最悪!日本の財政危機」「日本の財政赤字は先進国で最悪だ」「国の多額の借金が将来の国民の大きな負担となる」などといわれています。
日本の国民は、税金を納めた後の使われ方に無頓着であると嘲笑する先進国もあるようですが、日本国民である以上、日本と自分の住む地方公共団体の財政の支出と収入の現状は、常に気に留めておくべきであると思います。
特に、これほどまでに、破綻に一直線!の財政事情ならなおさらですよね。
財政赤字は、毎年借金(国債や地方債)で穴埋めされ続けてきましたが、
*国家財政の基本を定めた財政法には、財政赤字を補填する赤字国債は、将来に負担だけを負わせるので認めない、という規定がありますが、例年、赤字国債が発行され続けています。
毎年、政府が、今年は特例として赤字国債を発行しても良いとする法律(特例法)を作っているからだそうです。
そして、積もり積もった借金の山が、なんと800兆円!
日本の国家予算の支出(財政支出:歳出)は、平成17年度予算で約82兆円です。この82兆円の内訳を、金額の多い順に並べてみると、
一番金額が多いのは、社会保障費で財政支出の25%を占めます。
二番目に多いのが、地方交付税交付金で支出全体の20%です。
三番目が、国債(借金)の返済(償還や利払い)にあてられる国債費です。
この国債費の比率は22%と支出全体の5分の1強にも上ります。
つまり、日本という国は、財政支出の5分の1強を、借金の返済と利払いにあてているということです。
続いて、公共工事9%、文教および科学振興7%、防衛関係6%となります。
日本の財政支出の最大の特徴は、5分の1強が国債費であることです。借金の返済なので必ず行わなくてはならないのですが、こんなに国債費が膨らんでしまうと、新たに国民が必要とする政策に対して自由に予算を配分できなくなってしまいます。
このような状況を「財政の硬直化」といっています。
借金で首が回らない状況です。
国家予算のうち、収入(歳入)についてはどうでしょう。
国家予算の支出(財政支出:歳出)は、平成17年度予算で約82兆円でした。この82兆円をどのように調達しているかというのが、国家の収入です。
平成17年度当初予算の収入を多い順に並べると、
1.租税および印紙収入(税収)44兆円 (54%)
2.国債発行額(借金) 34兆円 (41%)
3.その他収入 4兆円 ( 5%)
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合計 82兆円 です。
税収では、5割くらいしか賄えず、4割は借金に依存しています。
巨額の借金を新たな借金で返している…。悲惨な状況です。
小泉内閣が、公債発行(借金)を30兆円以内に抑えるという大財政改革を誇示していましたが、なぜか空々しい努力目標です。
ケタが大きくてわかりづらい場合は、一般の家計に例えると解りやすいと思います。
年収480万円の世帯が、身丈に合わぬ820万円の暮らしをしている状態です。
暮らしを続けるため、収入の不足分340万円は借金の借り入れで補っています。
820万円の使い道は、その2割強の185万円が借金の支払いで消えていきます。
田舎への仕送り(地方交付税交付金)も年間160万円しています。
純然たる家計費として使えるお金は470万円。
そして年々膨らんでいく借金の残高は…ついに8000万円。
厳しすぎます。この家はいつ破産するのでしょう。もう破産してますよね!どうにもならないレベルまで来ていませんか?
借金残高を減らすことが最優先課題であることは、誰の目にも明らかですよね。
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