みずうみ 2012年04月19日 20時26分37秒 | わたくしの詩と小説 湖が見えたとき、雨雲はすでに重く降りていた。 車の通りが途絶えた県道の脇に立ち、おれたちは、眼下にひろがる湖面をぼんやり見下ろした。 まだ、時間はある。 「いってみようか。みずうみ」 「ああ」 おれと村田は、ガードレールが一カ所途切れたせまいすきまから身をよじって入りこみ、湖へ続く斜面を降りていった。 ほそいけもの道が、ここ数日ふりつづいた雨でぬかるんでいる。地元の住人がふみかため . . . 本文を読む