ナレーター・アナウンサー養成塾

ナレーターとアナウンサーの養成と、現役プロのスキルアップの為の塾です。

そういえば・・・

2006年01月29日 | Weblog

教室で教えていると時々「こんなこと言っても、わかんないだろうなぁ」と思って、口に出さなかったりすることがあります。例えば“栗よりうまい十三里”とか“桃栗三年柿八年、梨のバカやろ十八年”などという、昔から言い伝えられたもの。前者は焼き芋のことで、黄色くホクホクしていて栗よりも美味しいから、九里(クリ)+四里(ヨリ)=十三里だと言うわけです。後者は、それぞれの実がなるまでの年数をあげたもので、梨は実るまでとても時間がかかることを指しています。その他にも沢山ある、昔からの言い回し。日本人の生活に根ざしたもので、とても良い雰囲気を演出するものばかりです。もちろん、中には眉間に皺を寄せてしまうような言葉も無いではありませんが、概ね暖かいものが多いと感じているのも確かです。ただ、現代には存在しなくなった道具や家具、家の造りといったものや、古くからの周辺の出来事(生活秩序といったもの)がその語源になっているために、何のことかわからなくなっている傾向もあると思います。最近の猫は鼠を怖がるようになってきたようで“窮鼠、猫を噛む”の窮鼠の状態があり得なくなってきたり、今はよその人を簡単に家に入れないので“弁当を使わせて貰う”こともないのです。弁当を使う・使わせて貰う、というのは田畑で野良仕事をしてお昼を食べる時に、近くの家(農家)の縁側を借りて食べさせてもらう、ということ。中には、お茶や漬物などを出してくれるところもあったのです。人と人とのコミュニケーションが希薄になってくればくるほど、優しい表現の日本語が減っていくのは寂しい限りです。

ナレーター・アナウンサー養成塾 塾長 ナレーター・伊藤英敏
http://www.mars.dti.ne.jp/~expert/


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