日本の写真家 (17) 熊谷元一岩波書店このアイテムの詳細を見る |
今晩たまたまテレビを見ていたら、伊那谷の村を撮り続けた写真家/童画家の熊谷元一さんのドキュメンタリーをやっていました。
写真が好きな私はついつい見入ってしまいました。
教師をしていた熊谷さんならではの生徒との近くて自然な空気感で撮影された写真の数々は、昭和の記録写真という枠を超えて、「俺もこんな表情撮ってみたいな」と思わせる写真ばかりでした。
本人いわく、いい写真をと狙ったわけではなく、「毎日撮り記録に徹する」という気分でやっていたとおしゃっていましたが、あの表情、あの構図は考えていなければ撮れないものだと、一写真愛好家の私は思っています。
長年教師をやられていた熊谷さんの教育理念は、「子供には必ずどこかひとつはいいところがある。さもなくば神様は不公平だ」という考えで、子供達ひとりひとりのいいところを探してこられたそうです。
そのために、教師と保護者の信頼も固く、「教師が手をあげるとすぐに問題になる」現在の教育環境を憂慮するお話もされていましたが、そうしたお話ができるのは単に時代が違ったという理由だけではありませんでした。
熊谷さんは、小学校の先生のとき、受け持った生徒の掃除の時間の動線をすべて記録していたのです。そんな資料を作ってまでいた先生だったので、自然と保護者との信頼関係も強固だったのでしょう。
今年で100歳を迎えられた熊谷さんがおっしゃっていました。
「100歳まで生きられたのは、本当に周囲のおかげ。家族や友人などの力がなければ、絶対に自分の力で生きられたものではない」
また、大事なことは、
「写真でも絵でも続けること」、現に熊谷さんは100歳になった現在でも写真を撮り、童画も描き続けているのです。
そして、元気の秘訣は、
「朝、軽く一杯やること」
だとか。
素敵な人生に感動しました。
熊谷さんが撮り続けた伊那の阿智村、私も訪問してみたいと思います。
■熊谷元一写真童画館