今日の料理(こだわりがないのがこだわり)

フードリテラシーに沿いつつも、なるべく夢のある料理や飲食をジャンル・国境・時代・時間をボーダレスに越えて書いています。

カマスをさばき『焼き霜造り』。あと肝醤油が苦手な理由。

2021年05月05日 | 素材
カマスは20種類くらい存在し、日本ではアカカマスという種類が東京の初夏から流通をし始めるが、南方系の大きいオニカマスはシガトキシンという中毒を起こすので食用にはならない為、釣り上げても注意をし食べないようにしないとならない(とのこと)。

カマスはよく片袖開き昨今オレンジは勝手にリンクのルールにしている)とかにし、干して干物で食べる事が多いが今回天然の刺身用が手に入ったので清水の舞台から飛び降りる覚悟で「絶対に失敗出来ない」なと)、調べてみると、どうもカマスは皮と身の間の脂が美味しい魚なので塩で水分を抜いて皮を炙る事でその皮の下で眠っていた油脂分が出てくるとか!!
なるほど、それを焼き霜造りというのか。
皮が美味しい魚類は焼き霜造りにすると概ね間違いが少ないらしい。

と解かった時点で新鮮だから翌日以降でも刺身で大丈夫な質だったので焼き霜造り用の氷を夜に用意をした!!

カマスは鱗が小さい為、取る時に鱗が飛び散るから水を流しながら(もしくは袋の中で)尾の付け根やヒレの裏側までシッカリと取る。

刺身の時はエラは取らなくてもいいのだが、何せ天然の高級魚なので1匹しか手に入らなかった為、エラを取る練習
包丁(うちは無いけれど出来れば小さいの)の切っ先で両側の付け根を切って、抑えて引き出す。
(あ、シマッタ、ワタなまで出てきてしまったまぁ、もの凄い間違いではないのだが・・・どうもどの魚でもエラはまだ苦手)
カマスは歯が獰猛なので頭を持つ時は注一応注意して。

頭の落とし方は2種類あって、斜めに腹びれまで落とすか?

首の横のエラの下辺りで縦に切って

身を立て底の腹びれを包丁のミネで押さえながら剥がす方法
アタマを付けたまま剥がす方法もある)

尾を左にし、肛門から腹を切り裂いていき

中の内臓を丁寧にかき出す。

ここで卵が入っていれば卵は煮たりして調理する白子だったので雄か・・・
(魚のプロは見分けられるのだろうなー)
(勉強の為)先程のエラが付いたワタと並べて確認し、ワタは切り離して加熱調理をするように取り分けておく。

血合いを切って中を洗う。

水気を拭いたら尾皮のヒレの上を刃が通るように、残りの腹を切り裂いていき
(本当は大名おろしでも3枚に出来るのだが敢えて難しい方にまだ下手だからその方が身が沢山残りそうだし)

背側も少しづつ刃を入れていく。
背ビレの上を通るように

あとは他の魚と同じように、包丁を尾の所に入れ、刃を抜いて返し、もう一度入れたら骨に沿って切り離していく
背ビレの上を通るように。
もう片方の身も同じように。

腹骨をすき取る。
取りづらかったら逆さ包丁で切り外してから

頭の方向へ毛抜きで中骨を抜かないと身割れをしてしまうので骨の向きに要注意!!

大体、真ん中辺りまでしか中骨が無い魚なのでこの辺で、骨が通っている全体を良く触って骨が全部取れている事を確認
結構長く鋭い骨なので←但しその分、見付け易い気がした

本来キッチンペーパーとか和紙を挟み敷いて塩を振るやり方が本当らしいが、
直接塩を振るやり方だと、焼き霜造りにした時、塩が焦げて焼き目が良い感じになるというのでラクな方を(?)迷ったけれど採用
(塩や用具の消耗品もそんなに使わないし)
パラパラと両面薄めに振って、

カマスは皮を上にしている方が多かったので、そういうモノらしい。
(皮を食べる魚だからかな?)

少し温度が上がってきた時期だったので冷蔵庫で5分~10分
短時間だからラップをしなくていいかな?)
塩を振る事で水分と共に臭みが抜け(後で水分は拭く)、身が締まるとか。

その間に、
酒を少量振ったワタを蒸してしまおう10分~15分ぐらいでいいか。
さばいたアラから出汁を取ってしまう。

冷蔵庫から出したカマスの身に鉄芯を打つハリウチをすると炙った時に皮の縮みが減るそうだが、鉄串とか竹串・ペティナイフの先では身が壊れそうだったので出来なかった。

仕方なく1片だけ、シメ鯖とかに使う切り掛け造り=八重造り=みたいくしたが=し無くても出来るし、それは本来のやり方ではないので残りはパスし、

片方は皮を下にして削ぎ切りに。

焼き霜造りは大きく分けて2種類ぐらいあるようで、氷の上で行うパターンも想定し、前夜から細長い氷を用意しておいたので、
本当はクラッシュドアイスが良いみたいだが、現実はそこまでやってられないので)

氷の上に皮が全面に出るように身を並べ

バーナーで炙っていく。
ハリウチをしていないので結構皮が回るというかクネる。

皮に少し焦げ目が付くぐらいで丁度良いみたい・・・

もう片方の身は切らず氷の上には置かず網の上で皮を炙る方法
本来焼き霜造りは切って炙るやり方で、この様に1本の身で炙る炙り方は鰹のタタキぐらいしか使わないそうだが、身を切らずに炙っている方々が結構居たので、このやり方も試してみる。
(まぁ失敗が少ないっちゃあ少ないのかもしれないが・・・)
やはり皮が回るので火は一点集中過ぎる火より、やや太い火事にならない程度の広範囲の方が炙り易い気がした。

少し焦げ目が付くぐらい。
少し僅かにやり過ぎたか?

それを、この炙り方の場合はやや大き目に切り分けるそうだ。
削ぎ切りではなく平造りみたいに

蒸して冷ましておいた肝を取り出し醤油で溶いて肝醤油に

なんとか2種類の焼き霜造りが出来た。

実は私は肝醤油が少しだけ苦手なので(別に嫌いではないんだけれど)、普通の山葵醤油も用意して違いを確かめる。
(レバーは好きなんだけれどなー)
両方とも山葵を用意するのだが・・・
本来、檸檬とか柑橘系を肝醤油に混ぜると尚良いらしいが、防ばい剤・防カビ剤(←共にポストハーベストの日本名、量販店に行くと観えるか観えないか?の小さいフォントで記載されている、アナタは数十年前に制定されたポジティブラインを信用出来ます?当時の化学者はもう責任を取らない所にいるでしょう)や、農薬の事がある為、無農薬のレモンや柑橘類を手に入れられなかったからパス。
無くても食べられる!!

「うわっ、美味しい~」
 先ずは削ぎ切りにしてから氷の上で炙った方を食べると、塩と氷のおかげで身がピッと締っていて想像以上に美味しいぞ・・・
ただ、肝醤油の方は確かに旨味はあるのだが、やはり私は普通のワサビ醤油の方がキレや味がシャープというか。
 次に1本の身で(氷の上ではなく)網の上で炙ってから切った方は~、う~ん、やや火が入り過ぎているのか余熱?)、刺身ではあるのだが、やや身が柔らかいような・・・。。。
白身を焼いて食べる素材だけに、火の通りの差が極度に出易い。
氷の上で炙った方がそりゃ熱や余熱で火が通り過ぎないよな。
ただこれも肝醤油の方は確かに旨味はあるのだが、やはり私は普通のワサビ醤油の方がキレや味がシャープというか。

何故だろう?何故自身は肝醤油があまり得意ではないのだろう?と考えた挙句・・・
(勿論腕前の低さや柑橘類の有無もあるだろうがそれ以上に明確な味のキレのこの差がある事は何故なのだろう?と悩み考えると・・・)
解かった!!
油脂分が多いとヅケとかもそうだが、味の付き方や味のノリが悪くなるので、どうしても味を少し強くしないとならなくなる、=ツマリ、素材の油脂分(=脂肪の塊でもある肝の油脂分)で、醤油の塩気本来の味の分子を包み込むようにボヤかしてしまうのではないのだろうか!!!?。

だから私は肝醤油がそんなに得意ではないのかもしれない(勿論腕の事もあるが)という事に辿り着いた。
(だってレバーやホルモン系は大好きだし、ロンドンで偶々美味しいホテルだったのかもしれないがキドニーパイや、スコットランドのハギスは大好きだもの、そんな自分が何故か肝醤油だけが苦手って、絶対におかしいと理由を考察してみたんだ、被験者は自分自身だから誰にも迷惑はかけないし、自分の事だから自分で少しは解かるだろうし・・・)
やっと得心がいった!!

で、片付けをして(片付けまでが料理)。

焼き霜造りをしたからそりゃ普通の刺身よりは洗い物が増えるがそれ以上にめっちゃオモシロカッた!!
切り掛け造り=八重造りもそうだが、焼き霜造りやその他諸々を経験して、
 プロの方々は私達素人とはもう違う次元で、勝負っていうと語弊があるのかもしれないが、何かに挑まれているのだなという感覚になった。
きっと私達や安易に飲食を始めて(身体を壊してしまった)人々が、知らない技術・技法を数えられないぐらい知っていて、それを出す・出さないに限らず自身の中に秘めながら、毎日・毎季節・毎仕入れの店舗の課題を、掃除道具の手入れ仕入れ備品の買い出しお釣りの両替片付けや洗い物伝票や原価計算等の合間にこなされているのだろうなという所に、朧気ながらに感じた感覚に陥った。
深い、深遠な部分に。。。

カマスの出汁・・・

火が入った身を食べてみたら、これがフンワリとして美味しいのなんのって!!
カマスが干物とかで水分を抜いて加熱して食べる事が1番美味しいと言われるのが解かった気がした。
本末転倒だけれど。。。

ダシも強過ぎるぐらい旨味が強い。
(少し薄めて増やしても良いぐらいだったぐらい強かった、鯛に煮干しを足したような力強さと1段上の白身の油脂分のコク、確かにこれならカマスが炊き込みご飯にも向いていると言われる意味も解かった

今回は(自身の中で、いつもとは)又違う次元で勉強を出来た気がした。

 半年前から安い時のカマスと、体力・食事のタイミングが合う日を探して(何故かカマスをさばくタイミングが合わな過ぎて)、ずっと課題にしてきたのだが、ハックルベリー・フィンみたいに多少足がすくみながらも、勇気を持ってカマスの焼き霜造りに挑戦をしてみて良かった。
逆に焼くだけで終わらせなくて良かったのかもしれない)

オマケ

鰹のタタキ等で行う氷の上で炙らない「焼き霜造り」の練習レンチンした鰻でやってみた。
元々火が通っているか?通っていないか?の違いだけで、『急遽』中々切り身の刺身で皮付きが売っていなかったので、原理は同じかなって。

皮と身の間に鉄串を刺して

ひっくり返して皮側を)火の上で炙る。
(本来はやってはいけないのだが、タレとか油が垂れないように適度に。)


で、本来、刺身等なら、この後、氷水で瞬間的に冷やして水気を拭く。

やはり元々焼いてあるモノを又焼くと焦げたので、焦げた所をハサミで取り除く。

成程、「皮と身の間に刺す」→炙って→氷水で冷やす。

オマケも含め、今回、何パターンか体験出来た。
いつの日か、皮付きの刺身で試してみたい・・・そんな日は来るのだろうか。




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