とーちゃんひとりでフライフィッシング。北海道日高地方の小渓流は雪解け増水がほとんどなく、しかもヤマメ釣りの禁漁期間は札幌圏の4・5月とは異なり、5・6月。したがって、水温がやや上がり水も多く、魚がスレていない4月は狙い目である。
4月中旬のある日の夕方。ここは新冠町(にいかっぷちょう)の小河川、大節婦川(おおせっぷがわ)。河口から約3km、川幅2~3m、倒流木が多く、蛇行を繰り返す区間。水が多めで川岸の草が寝ている今の時期が良さそうだと、ドライフライで入渓。水温はたぶん10度、ドライでのアメマス釣りには少し厳しいか。約1時間を釣り歩いたが、小さな魚影を1尾見たのみであった。昨年夏の台風による大雨増水の影響か、土砂の堆積が多いような印象。ただ隣の節婦川よりはまだ被害は少ないと思う。この大節婦川、渓相や水色は私が若い頃に釣り歩いた折川(島牧村)に似ている。
この日のタックルは、とーちゃんが二十歳の頃に釣友Sにプレゼントしてもらったアーティスト製グラスファイバーブランク7.5F、5pc、#5-6の自作品、リールはマーチン・クラシックMC56。なお、とーちゃんがフライフィッシングを始めた時のリールは、マーチン62だった。今日からの小渓流釣行用にプロックス製のウェダーブーツという、膝丈のウェイダーを用意してみた。手軽に履けてずり下がることもなく、小渓流では十分な長さ。ただし水中の枝などに引っ掛かったフライを回収する際は、立ち込みに注意を要する。このウェダーブーツは嵩張らず、乾燥も楽。このウェイダーの納品後、収納サイズを確認してから入れ物としてダイワ製イソバッカン36サイズも買ったのだが、入れ物のほうが少し高かった(汗)。ウェイダーを入れたイソバッカンの空きスペースには、フライ用品と漁港ルアー用品を入れたショルダーバッグも収まる。漁港ルアーには4pcのベイトキャスティングロッドを愛用。これらの釣り具・装備は、狭いジムニーに積みっぱなしでも邪魔にならない。次回はニンフで、もう少し長い時間を釣り歩いてみたいと思った。
そして今日、同じ渓流へ。朝7時半からニンフで狙ってみる。前回より水はやや多い。念のため、熊避けの鈴とスプレーを身に着ける。牧草地の中を流れている区間でも、経験上油断はできない。フライは… 恵庭市の管理釣り場「テンパウンド(10pound)」の常連、凄腕の若田さんが生前、私に下さったビーズヘッドのマラブーリーチを結ぶ。ちなみに若田さんには、テンパウンドの大会で、私も、そして娘も、胸を借りたものだ。そして私は、ビーズヘッドのフライは自分では巻かないし、使った事もなかった。マーカーとしてフロート・ドゥを大豆大、フライより60cm上に付ける。小さい川なので魚が隠れながら流下昆虫を採餌するポイントは少ないが、ここぞという場所で丁寧にニンフを流していく。河畔林や倒流木で、キャスティングもドリフトもままならないが、何とか工夫して攻める。
20cmほどのアメマスが釣れてくれた。このネット、いわゆるインスタネットと同じ機構の折り畳み式で、十年近く前に静内の釣具店で安価で購入したもの。実際に魚に使ったのは初めてだ。
いかにもアメマスが好みそうな渦を巻く泡の浮いた深み。ここに投げ込むと、マーカーに出てきた奴がいた。ドライでも釣れそうだ。その後、別の場所でもう1尾がフライに出てきたが掛からず、3百mほど進んで9時半に終了。
河口から4km地点に水道の取水堰があり、ゲートが閉まりっぱなしであれば、かなりの増水時のみサケ科魚類は遡上できそうだ。
私が新冠町で釣りをするのは、実に37年ぶり。高校1年生の時、5歳年上の人に新冠ダムに連れて行ってもらった。5月連休、まだ氷が残る新冠ダム湖のサツナイ沢流れ込みでルアーに掛かったのは、30cm台のアメマス1尾であった。あれは忘れもしない、札幌市のA釣具店で買ったコーモラン社のスプーン。安売りが魅力のA釣具店や、そこに陳列されていたコーモラン社のルアー、それにダイワのダンサーやハーレーなどのスプーンは、お金に乏しい中高生の強い味方であった。今じゃ百均やホームセンターで安価なルアーが買えるのが夢のようだ。
日高地方の極小渓流、もう少し探索してみたいと思う。