Box of Days

~日々の雑念をつらつらと綴るもの也~ by MIYAI

Lonely Just Like Me

2005年05月26日 | old diary
 故アーサー・アレキサンダーの、えっと、これは遺作になるのかな?『Lonely Just Like Me』という1993年発表のアルバムを聴く静かな夜。

 アレキサンダーというと、ビートルズやストーンズも好んでカヴァーしたR&Bシンガーという印象をもってる人も多いでしょう。“Anna”とか“You Better Move on”などを作った人だし。こうなるとなんだか、ジョンやポールの少年時代に人気があった歌手って感じだけど(実際そうなんだけど)、でも、そんなあなたもこのアルバムを聴けば、必ずや考えを改めることだろう。そして、思うはずだ。

 アーサー・アレキサンダーのピークは1993年だったと。

 収録された12曲すべてがアレキサンダーのオリジナル(あるいは共作)なんだけど、いやいや、これがもうすんばらしいのなんのって。これらの曲に比べたら“Anna”や“You Better Move on”なんて…(鼻笑)。バックも、ドニー・フリッツ、ダン・ペン、スプーナー・オールダムなどなど、僕の大好きなミュージシャンばかり。つまり、いい曲がいい演奏で聴けるわけで、悪いわけがないのである。

 このアルバムの良さは、妙に力が抜けている点かな。歌も演奏ものびのびしている。ベテランのアルバムにありがちな「深みの押しつけ」もまったくなし。「あーきっとこの人はどんなに悲しくてもそっと悲しむ人だったんだろうな」なんて思ってみたり。すると、勝手にしみじみしてきちゃって、「はぁ…。俺、このアルバムはずーっと聴いていこう」なんてことを心に誓ったりするのだ。

 ジャケットの中でにーっと笑っているアレキサンダー。この笑顔がまたいいんだ。割と僕は、笑顔に淋しさがある人が好きだったりする。