Box of Days

~日々の雑念をつらつらと綴るもの也~ by MIYAI

硫黄島

2004年07月11日 | old diary
 突然の激しい雨。数分前に取り込んだ洗濯物が、なにやら誇らしく見える(まぁ、気のせいですが)。止んだら窓をあけて涼しい風をいれるとしよう。気持ちいいからね。今夜は友人が泊まりに来る。最近サーフィンをはじめたとかで、そのついでに寄るという。で、飲むという。よしよし。

 今度、硫黄島の戦いが映画化され、その監督をクリント・イーストウッドが務めるという話を聞いた。僕はイーストウッドのファンだけど、これに関しては正直複雑な気持ちになった。できればやってほしくない。

 戦争の話をするのはとても難しい。特に勝った側が真実を描くのは簡単なことじゃない。この戦いでは、摺鉢山の山頂に星条旗をたてたアメリカ兵の写真があまりに有名で、ヒロイックな要素も強い。それはアメリカにとっても大きな意味を持つ勝利だった。

 しかしこの写真は、そんな勝利の裏側にあるもうひとつの真実を語りかけてはこない。地下道を堀り、燃えるような渇きと硫黄の匂いに包まれながら潜伏した日本兵達のことを。傷の痛みにもがき、空腹で痩せ細り、精神を切り裂かれて、立ち木が枯れるようにして倒れていった2万人の兵士達の一ヶ月を。

 今、戦争がヒロイックに語れることに対する風当たりは強い。それについては、イーストウッドも十分承知しているとは思う。きっと彼なりの良心を反映させた映画にはなるだろう。しかし、残念ながら、アメリカのヒロイックな時代を生きたアメリカ人であるイーストウッドが、ハリウッドで、アメリカ的ではない戦争映画を撮れるとは、僕には思えないのだ。

 ちなみに、硫黄島は小笠原諸島からさらに200キロ以上南にある。日本軍が堀り潜伏した地下道の中は、40~60度の暑さだったという。彼らはそこで戦闘の傷を癒し、恐怖で眠れない夜を幾晩も過ごした。まさに地獄、である。