Box of Days

~日々の雑念をつらつらと綴るもの也~ by MIYAI

素晴らしきザック・スターキー

2004年07月22日 | old diary
 もしあなたが「キース・ムーンのいないThe Whoなど観てもしょうがない」と思っているならば、その心配はかなりの部分で杞憂かと思われる。なぜか?

 解答:The Whoにはザック・スターキーがいるから。

 これ以外の言葉は必要なし。それほどにザックのドラムはThe Whoだと思う。

 キース・ムーンという明きらかに不世出な個性を持つドラマーの後釜をさがすことなど、ほとんど不可能なはずだった。ケニー・ジョーンズという安定感のあるタイトなドラマーでも、サイモン・フィリップスというバカテクの持ち主でも、あのバンドにはうまく馴染まなかった。そしてなによりも「The Whoのピート・タウンゼント」が、彼らのドラムには馴染めなかったのだと思うし、そのことがピートの心をThe Whoから遠ざけてきたけっして小さくない要因でもあったと思う。

 そんな状況が長くつづいた1996年、ハイドパークで行われた『Quadrophenia』ライヴにおいて、ザック・スターキーがThe Whoに加入する。そしてこのときのライヴこそが、今のThe Whoのスタートだったと僕は思うのだ。ザックが加わらなかったら、ピートは今も中途半端な気持ちのままThe Whoと関わっていたかもしれない。

 ザックのプレイには、どこかキース・ムーンを彷彿とさせるところがある。手数が多くても、けっして重たくならない音。ライヴ映像を見ると、ザックの場合、力を込めて叩くというよりは、無駄な力を抜いて手首のキレで叩いているように見える。それは、体全体を使いながらもけっして重量級ではなかったキースのドラムと、どこか通じるようにも思える。そして、The Whoにはやはり彼のようなドラムが合うのだろう。もし可能ならば、Concert for NYCを観ていただきたい。ザックがどれほど素晴らしいドラマーかがわかるはずだ。その流れるようなスティックさばきには惚れ惚れする。ほんとあのときのザックはかっこいいんだよなぁ。髭をはやした風貌がやさぐれてて、とても有名人の息子には見えない。まるでワーキング・クラスだ。

 The Who蘇生の起爆剤はザック・スターキーだった。リンゴの息子だとか、そんなことは全部なしにして、僕は彼のドラムが好きだ。もはやザック以外のドラマーにThe Whoのドラムは叩いてほしくないな。

 というわけで、今のThe Whoはノー・プロブレム…え?ジョン・エントウィッスルの不在ですか?うーんと、そこだけなんだよね。問題は…。