国公立大学二次試験前期日程の合格発表が始まりました。合格に歓喜する者、不合格と向き合い後期日程に気持ちを切り替える者、私立大学への進学を決めて4月からの新生活へと向かう者。それぞれが自分の人生と向き合う時でもあります。
今日はある生徒の挑戦のお話しです。直接英語を教えたのは1時間だけなので(笑)、生徒というか、長男の友達です。
大きな希望と共に始まった高校生活。しかし、順調に思えた夢への道は、コロナ禍で一変。彼は希望を見失い、心が折れ、何とか高校を卒業したものの、浪人生活へ入りました。
そんな彼が心配になって、浪人生活が終わったと思われる昨年春に久しぶりにメールをしました。すると、某大学に合格し進学を決めたと報告をくれました。新たな目標を見つかったようで、「あー、良かった!新しい環境で、次の目標へ向かって充実した学生生活を送れるね」と、エールを送りました。
しかし、数ヶ月後の昨年7月、彼から久しぶりにメールが来ました。
「現在通っている大学を休学し、浪人時代から第一志望だった大学を受け直したい」
彼のアツい想いを感じた私は、直接会って、1時間だけですが授業をして、あとは勉強法のアドバイスをしました。
その後も定期的に彼からは近況報告が届き、今年1月には何か力になればと思い、私が現役時代に飾っていた必勝御札とメッセージカードを送りました。2月、第一志望の大学の入試日がやってきました。
そして、合格発表の日。待てど暮らせど連絡が来ません。でも私は待つしかありません。彼の気持ちは痛いほど分かりました。なぜなら、私も一浪の後、他大学に進学したものの、第一志望の大学受験のため浪人した「仮面浪人」経験者だったからです。
昨日、彼から連絡が来ました。結果は、第一志望の大学は不合格。でも、いわゆる滑り止めに受けていた大学には見事合格し、4月からはその大学へ進学を決め、既にやりたいことも列挙してくれました。気持ちはもう新生活に向かっており、第一志望に落ちた悔しさはあるものの、そこには一片の迷いがないことが分かりました。合格発表から連絡をくれる昨日まで、彼の交錯した想いは一言では言い表せないでしょう。でも、合格した大学で4月から気持ちも新たに頑張れる心境に達したのは、「大学受験をやり切った」と思えたからです。これは長男の大学受験の時に私も感じたことです。
確かに、ある目標を達成するために石にかじりついてでも成し遂げる姿勢は大事です。しかし、結果を求める過程において多くの学びと経験があり、それらを通じて「やり切った」と思えたなら、新たな環境で次の目標に向かうのも、時間が限られている人生においては大切なことなんではないでしょうか。
私が仮面浪人していた時にお世話になった代々木ゼミナールの潮田五郎先生が最後の授業で次のようにおっしゃっていました。
「いつまでもこんなところ(=代ゼミ)に来ているようでは駄目です。まあ、現役の人はもう1年ぐらい来てもいいとは思いますが(笑)。できたら自分の志望校、たとえ入れなくても、二番目、三番目、四番目のところからお迎えが来たら行ったらいいですよ。ますます世の中、受験の点では不利になっていくような気がしますから。早く大学生になって新しい勉強に励んだらいいと思います」
当時は潮田先生の言葉の真意が分かるわけもなく、「第一志望に入らないと意味がないんだよ!そのために浪人してんだよ!」と、師の言葉に歯向かったこともありましたが、人生を50年以上生きてくると、この言葉の意味がよく分かります。 要は、結果とそこに至る過程で得た知識と経験を、次のステージでどう生かすか。そして、いかにその後の人生を豊かにするか。そのために、我々は経験を重ねていくのだと思います。だからこそ、どのステージでも「やり切った感」を持てるまで目標に向かって努力することが大切です。
4月から新たなステージでの彼の挑戦を楽しみにしています。そして、一緒に酒でも飲みながら、大学受験や英語について語り合える日が来るといいですね(^^)/
あと一歩 もう一歩
まだ見えぬゴールへ向かって・・・
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