リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題で、川勝平太・静岡県知事とJR東海社長による初のトップ会談が物別れに終わったそうです。
川勝知事は相当に“できる知事”ですから、納得させるには、相当な具体策や代替策が必要でしょう。
私と川勝知事との出会いは、27年前にさかのぼります。当時、私は早稲田大学2年生、選択必修科目で「日本経済史」を選択しなければなりませんでした。日本経済史を担当している教授は二人。その一人が川勝知事だったのです。ほとんどの学生が、出席もとらずテストも持ち込みOKで楽勝科目と評判の高かった正田健一郎教授を選んでいましたが、学年も改まり向学心に燃えていた私は、厳しい評価で有名だった川勝平太教授の授業を敢えて選択したのです。
大学受験時代の初め、私は世界史を選択していました。しかし、その面白さや意義が見出せず「政治・経済」に乗りかえるほど、典型的な歴史アレルギーをもっていました。(しかし、「政治・経済」の面白さゆえ、政治経済学部に入学することになったので良かったのですが・・・)
今でも、最初の授業で受けた衝撃は忘れません。1990年、41歳の若さで早稲田大学政治経済学部の教授に昇格した新進気鋭の川勝教授の講義は、学問の本質を教えてくれる奥の深いものだったのです。歴史を学ぶとはこういうことだったのか、と。そして、日本の経済発展の礎が実は鎖国にあり、イギリスを中心とした近代西洋の経済システムと密接な関連があったという考察は、大学で学ぶ意義を最も感じた内容でした。授業は必ず出席を取り、テストは教材の持ち込み一切禁止、そして、テスト内容と答案評価も厳しいものでしたが、「優」の成績を取ることが出来たのは、川勝教授の授業の面白さと、大学で学問を学ぶのだという私の意地の融合のおかげだったと思います。
この講座の指定テキストにもなっていた川勝先生の著書・訳書を紹介します。
『日本文明と近代西洋 -「鎖国」再考-』
『鉄砲を捨てた日本人 -日本史に学ぶ軍縮-』
非常に興味深い内容ですので、是非ご一読ください。