エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

通信・放送の大変革とスマートグリッド

2013-02-18 09:20:00 | Weblog
毎月分散型エネルギー新聞に連載している「日本を変えるスマート革命」に、新テーマとして「通信・放送の大変革とスマートグリッド」を掲載しました。
項目としては、1.世界最大の家電ショー「CES」でも脚光、2.「エネルギー・ハーベスティング」も展開、3.「プローブカー」はV2Gなどとネットワーク化へ、4.「通信・放送融合時代」におけるインターネットとスマートグリッド、5.個人が主導した新しいビジネスモデルも登場、6.電波の割り当て進展と「スマートハウス」や「スマートオフィス」です。
全文は、以下の通り。ご関心があれば、お読みください。

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「日本を変えるスマート革命」:その18~通信・放送の大変革とスマートグリッド~

スマートプロジェクト代表&エコポイント提唱者
加 藤 敏 春

 今回の連載においては、通信・放送の大変革という視点から、スマートグリッドにおける新たな展開を解説してみたいと思います。「モノのインターネット」と「通信・放送融合時代」の2つがキーワードになります。

●世界最大の家電ショーCESでも脚光
 「モノのインターネット」は従来の「ユビキタスネット」とも通じるところがありますが、ターゲットはより明確で、RFID技術などを使ってあらゆるものをインターネットに接続しようというものです。M2M(Machine-to-Machine)とも呼ばれます。欧州が言い始めた「モノのインターネット」については、中国も注目しており、国際標準化を目指す動きも活発になっています。
 2013年1月に開催された世界最大の家電ショーであるCES(アメリカのアリゾナ州ラスベガスで開催。Consumer Electronics Show)でも、エアコン、冷蔵庫、洗濯機などの家電やモバイル端末などの小型機器に「モノのインターネット」(IoT: Internet of Things)の無線通信機能を組み込み、それらを相互に接続することで、より便利な「スマートライフ」を実現しようとするコンセプトのデモンストレーションが随所で見られました。

●「エネルギー・ハーベスティング」も展開
 「モノのインターネット」を実現するために必要な技術が「エネルギー・ハーベスティング」です。膨大な数のモノをインターネットに接続する場合に、その電源を、交換が必要な電池に頼るわけにはいきません。長期間、燃料補給や交換をせずに電力を供給し続ける技術として、周りの環境から集めたエネルギーを電力に変換するのがエネルギー・ハーベスティングですが、ここで「モノのインターネット」はエネルギーと結びつきます。

●「プローブカー」はV2Gなどとネットワーク化へ
 最近「モノのインターネット」として注目されている分野に「プローブカー」があります。通信モジュールを使って、GPSの位置情報とともに車の速度、ワイパーのスイッチ、ABS、エアバッグなどの各システムの作動状況をセンターに送信し、センター側ではその収集データを加えることで様々な情報として再利用するものです。
 ゆくゆくは、「スマートハウス」、「スマートオフィス」やそれらと電気自動車・プラグインハイブリッドカーを接続するV2G(Vehicle-to-Grid)、さらには「プローブカー」などがネットワーク化されていくものと考えられます。

●「通信・放送融合時代」におけるインターネットとスマートグリッド
 日本においては、改正放送法、改正電波法が2011年7月より施行され、世界に先駆けて「通信・放送融合時代」を迎えています。その内容は、一つの免許で通信と放送の両方に使える融合電波制度の導入、電波免許会社と番組会社を分けることができるハード・ソフト分離の実現、通信と放送のサービス層とコンテンツ層の一般化などという画期的なものです。
 これにより、「端末はマルチデバイス」、「伝送路は融合ネットワーク」、「サービスはソーシャルサービス」という3点で構造変化が加速化されており、それをIPV6やクラウドコンピューティングがサポートするようになってきています。このうちソーシャルサービスに関しては、ツイッター、フェイスブックなど広告を収入源とするもののほか、GREE、モバゲーなどのソーシャルゲームが登場し、射幸心をあおるアイテム課金というビジネスモデルも出現しています。今後、スマートフォンの普及に伴い様々なビジネスモデルが登場することでしょう。

●個人が主導した新しいビジネスモデルも登場
さらに驚くべきは、個人が主導して新しいビジネスモデルを誘発するという現象も起こっていることです。2011年3月11日東日本大震災が発生した20分後から、ある中学生がスマートフォンにより撮影したNHKの震災情報をUストリームで配信を開始し、これが事後的にNHK、TBS、フジテレビなどを動かし、Uストリームを利用した番組の再配信が実現するようになりました。中学生のとっさのひらめきが大放送局を動かしたという画期的な事件です。
これらは、スマートグリッドの世界においても「スマートハウス」や「スマートオフィス」の実現という点を中心として、大きなインパクトを及ぼすものです。

●電波の割り当ての進展と「スマートハウス」や「スマートオフィス」
2011年7月より地デジへの移行が完了し、これまでアナログで使っていた周波数帯域が新しい通信・放送融合メディアのために使えるようになりました。また、福島県南相馬市の「南相馬チャンネル」に対しては、「ホワイトスペース」(白地)を活用して免許の交付がなされました。
さらに、スマートフォンの普及でパンク状態にある携帯の電波に関しては、12年3月、プラチナバンドと呼ばれる900メガヘルツ帯がソフトバンクに割り当てられ、続いて壮年8月には、700メガヘルツ帯の電波、オークション的な手法により3.9世代のLTEなどに割り当てられました。さらに第4世代の携帯に対しては、オークションにより周波数の割り当てが行われる計画です。
 こうした「通信・放送融合時代」におけるインターネットが「スマートハウス」や「スマートオフィス」を中心としたスマートグリッドの進展に対して、大きなインパクトをもたらすことは間違いありません。