エコポイント&スマートグリッド

省エネ家電買い替え促進で有名となったエコポイントとスマートグリッドの動向を追跡し、低炭素社会の将来を展望します。

省エネ家電買い替えエコポイントの経済効果:その1

2009-05-30 13:14:57 | Weblog
 省エネ家電買い替えエコポイント(国費3000億円)の経済効果に関しては、政府は3000万台の省エネ家電の買い替え、4兆円の経済効果と試算していますが、ポールクルーグマンが与謝野大臣との対談で発言したように(http://www.asahi.com/business/update/0524/TKY200905240130.html)、エコポイントの活用範囲が特定されていない段階では、エコポイントがエコ商品・サービスなどに交換されることによる経済効果までは特定できず、経済効果全体を正確に試算することは出来ないでしょう。
 ただ、その効果を地域通貨の例で想定することは出来ます。すなわち、イサカアワー(米国ニューヨーク州トンプキン郡イサカ市で流通する地域通貨。カフェ・レストラン、銀行、書店、造園業、喫茶、生協、パン工房、デザイン、飲食、病院、市場などが参加)に関する産業連関分析(「地域通貨イサカアワーが地域経済に及ぼす影響分析」(2003年、和歌山大))によれば、イサカアワーによる乗数 1.34と分析されており、貨幣の流通速度上昇により経済効果が30%以上高まることが確認されています。
 この産業連関分析による分析結果は、定額給付金の経済効果とは対照的です。ケインズ理論によれば、定額給付金の乗数効果は公共事業の乗数効果よりも政府支出の増加分だけ小さくなります。さらに恒常所得仮説・ライフサイクル仮説によれば、一時給付金や減税の消費刺激効果はかなりの程度否定されます(内閣府試算でも定額給付金の効果はGDPで0.1%)
 これに比し、ポイント・エコポイントによるマネー循環の構築というスキームは、消費を直接的に刺激する効果があることが明らであるということなのです。