橋本治とナンシー関のいない世界で

「上野駅から夜汽車に乗って」改題
とうとう橋本治までなくなってしまった。
平成終わりの年にさらに改題してリスタート。

今日18時ごろ 上野広小路ビル火災。出火場所の謎(情報はまだ正確ではありません)情報追加

2010-07-31 00:10:46 | Weblog
<一番最後に、別アングルからの火柱の写真を追加しました。どなたかのtwitpicへの投稿のリンクです>

さっき、眼鏡の修理に上野広小路に行ったら、
ビルの屋上に黒煙があがっていました。すぐに消防車が到着。
一時は、黒煙の中に、炎もボッと上がり緊張感が走りましたが、
消防の方の迅速な消火活動で、屋上からの煙は30~40分ほどでおさまりました。

上野広小路ヒ?ル火災


ただ、6時台の
日テレnews24のライブ報道によると
火はビルの1階と2階の約100平方メートルを焼き、
6時56分現在延焼しているとなっています。

私は中央通りを挟んで反対側にいたので、1、2階のことはよくわかりませんでしたが、
私のように通りを挟んでこの火災を見ていた通行人は
1、2階が燃えてるようには思わなかったのではないでしょうか。
屋上もしくは最上階の飲食店から火が出たようにしか見えませんでした。
反対側への通行は一時的に止められていましたからほとんどの人が対岸からビルの屋上を見上げていました。

上のyoutubeの映像を見ていただいても、そういう風に見えるんじゃないでしょうか?
詳しくは、さらに後の時間のニュース報道を待ちたいと思いますが、
確かに、屋上にも火が上がったのが見えたので、
1階2階の火が上がって行ったとしたら一体どういう状況だったのか??
考えると怖くなります。

というのも、ビルの屋上から煙が見え始めた時、
すぐ下の階の飲食店の窓際のお客さんは普通に座っていました。
気付いていなかったのではないでしょうか。
火災報知器が鳴っていたのかどうか?

出火場所などは正確にわからないので、適当なことは言えませんが、
屋上から上がっているように見えた黒煙と激しい炎(炎は一瞬でしたが)は、
一体どこから上がっていたのか??

とりあえず、今後の詳しい報道を待ちたいと思います。

<ここから 31日0時10分に追加情報>
さっき、twitpicにどなたかが、
屋上から火柱が大きく上がっている写真をアップされてるのをみつけました。
屋上からの火柱の写真
私のビデオとは別角度からの撮影で、はっきり炎が見えています。

いまさらながら、「朝まで生テレビ~若者不幸社会~」東浩紀 ”退席” に思う

2010-07-27 11:09:56 | メディア批評

東浩紀が堀紘一と対立し、「もうやってらんないよ」と席を立つ騒動となった今回の朝生。ツイッターで、「退席」というつぶやきを見て、いったい何が!と思っていたが、夕べやっと、録画してた番組を見た。

かつての野坂昭如と大島渚の怒鳴り合いを知る世代としては、なんか久々の爽快感だった。東浩紀がガチで切れてたというのもあるが、この「退席」騒動で今回の放送、救われたみたいなもんだ。

パネリストはこんな感じ。
東浩紀(早稲田大学教授、批評家)
猪子寿之(チームラボ代表取締役社長)
河添誠(首都圏青年ユニオン書記長)
勝間和代(経済評論家)
清水康之(NPO法人「自殺対策支援センター ライフリンク」代表)
城繁幸(Joe's Labo代表取締役、作家)
高橋亮平(NPO法人「Rights」副代表理事)
橋本浩(キョウデン会長、シンガーソングライター)
福嶋麻衣子(モエ・ジャパン代表取締役社長)
堀紘一(ドリームインキュベータ会長)
増田悦佐(経済アナリスト)
水無田気流(東工大世界文明センターフェロー、詩人)
山野車輪(漫画家) 

以下、敬称略します。

今回の討論、途中までは本当に酷かった。
東浩紀が「退席」することを先に知っていなければ、絶対にテレビを消していた。

「世代間格差」「年金」「自殺」「規制緩和」「労働市場」etc.日本経済閉塞の原因総ざらいみたいな感じ。何が話したいのかわからない、方向性が見えないままに、いろんな人のいろんな発言が断片的に繋がってダラダラ。温度も低ーい感じで続いていた。つまんないと思ってテレビを消してしまった人は、あの喧嘩を見れなかったわけで、この酷い番組進行は2重の意味で罪作り。

番組冒頭で、「若者は本当に不幸なのか?」とか口上してるんだったら、まず東、猪子、福嶋あたりに「若者は本当に不幸なのか?」を語らせてから議論を始めるべきだったんじゃないのか。

だって、「不幸なのか?」って疑問形で始めながら、みんなそれぞれ自分の分野からの答えをすでに持っていて、その疑問を本気で解こうとしていない。「不幸なの?」「はい不幸です」で終わり。そこを前提に討論を始めている(例外もあったが。そしてその例外発言の時にこそ場はもりあがったのだが)。

「私は不幸じゃない」と思ってる人が、なぜこんな不景気な時代に不幸じゃないのかを考える事が、不幸減少の方法を見つける鍵になるかもしれないのになあ・・・。
本質的にそういう人間(お金がなくても私は不幸じゃないと思っている人)がいることを信じてないんだよな、多くの人は。
すぐに、あなたは能力があるからそんなことが言えるんだという話になってしまう。

確かに、人の能力に差はあるし、要領悪くて努力してもうまくいかない人もいる。そのためのセイフティネットの整備は必須だと思う。しかし、今までテレビで行われてきた議論は、マクロな議論すぎるのだ。年金問題とかね。
そんな大きな仕組みの話しかしないから、一市民はみんな自分には手の届かない事だと思って、絶望するんだよ皮肉な事に。
こうした討論番組に希望がないのはそのせいだ。

税金の再分配の問題点とクリエイティブな社会作り、ネガティブな問題点の指摘とポジティブな解決策の提案、両方必要だと思う。しかし、これまでの日本のメディアに置ける議論には、前者の分量が多すぎた。
東浩紀の肩を持つわけじゃないが、前者は「それってもう知ってる事」なのだ。

こうした議論がダラダラ続いて、むすーっとしてた東浩紀は、堀紘一に「帰れよ」と言われなくても、最初からずっと帰りたかったのはありありだった。

そんで、ある時点でしびれを切らして「それってもう知ってる事」「その先の話をしよう」と、この討論の不毛さに言及したら、堀紘一が、あんたはいつも他人の批判ばかりして、自分の意見を言わないと噛み付いてきたわけだ。

堀紘一は、前提となっている番組進行については、疑問を抱いていなかったからね。
東浩紀とは、その点で食い違っていることが悲劇だった。
東浩紀の悲劇は、本質的なところに疑問持っちゃうと、相手からすれば意味分かんなくて、変な奴扱いされるというケースの典型であった。

で、怒って一旦「退席」した後、東浩紀は再び戻ってきた。
そして、あらためて意見を述べたのだが、まだ興奮が冷めてないのか、本当に自分が思ってる事を適切に言えてなくて、ただ単に火に油を注いだだけになってしまう。

堀紘一に「東さんあんたが全て神さまじゃないから」と言わしめてしまうのだ。
あとは一気に火が回る。

東「やってらんないですよ」
堀「じゃあ帰んなさいよ」
東「堀さんが神さまなんだ、この番組で」ときて、
田原総一朗が「何言ってんだよ!堀さんが決められる分けないじゃない」と怒鳴る。
東「じゃあ、司会の役割で何とかしてくださいよ!」

やっとそこで、第三者的に高橋亮平が「公共の放送で感情的になるのやめましょうよ」と割って入って、落ち着きを取り戻す。
この時の高橋はネ申であった(ツイッターで東自身もつぶやいてるが、今回はこの高橋亮平の地に足の着いた対応はもっとも注目に値した)。

そして、その後の数分が、今回の朝生の全てであったといってもいい。

まず、東浩紀が本当に言いたい事をちゃんと言えた。
これはやはりあそこまで怒鳴って吹っ切れた産物である。
東のこの時の発言はこんな感じ。

「若者不幸社会」とか言うけれど、若者が怒ってるといって「若者vs高齢者」みたいな構図で話しても議論が堂々巡りで無駄。若者はそこまでバカじゃない。
だから、若者論とか世代間格差という話はやめにして、みんなで話をしよう。
日本は不幸不幸というけれど、先行世代が作ったインフラで、お金があまりなくても楽しく生きられるという面もある。それをポジティブに捉え直して、今後のことを考えよう。
また、クールジャパンとか、トヨタとか巨大企業に比べれば生み出すお金は少ないけど、文化的な価値とかシンボルは大切で、むしろそういうものを大切にする事で人は幸せになって行く。日本も文化的なものでヨーロッパみたいに自信を持つべきだ。
(東の話ここまで)

この話が討論の最初に出てたらなあ・・。なんて言ってももう遅いけど、ほんとに私もその通りだと思うのよ。
東浩紀のあの態度にはちょっとだだっ子みたいだなとも思ったが、上記の主張に関しては、全面的に賛成。

そして、堀紘一もその東浩紀の話をちゃんと聞いていた。
多分この東の話を聞いて、堀も東のそれまでの不機嫌を少し解したに違いない。

そして、そのすぐ後、東浩紀が日本人の自信喪失について語ったとき、奇しくも田原が今回の議論を象徴するような発言をした。

田原「なんで日本人は自信失ってるの?」
東「それは、すぐこうやって景気の話とか税金の話とかばっかりやって、
  暗い話しか出てこないんですよ。だからといってお金の話を軽視するわけ
  じゃないんですよ・・・」

そしたら田原総一郎が言ったのが以下の言葉だ。
 
 「戦後の日本はね、金の話以外はできなかったんだよ。」

 「じゃあ、(文化の話も)するようにしましょうよ」と東は軽く言ったが、
実はこの辺に、今回の討論における世代(だけじゃないけど)間の断絶の原因や、戦後日本の抱える問題点もあるのではないかと思う。

多分、世の中の多くの人は、お金の話をすること、もしくは、全ての価値をお金に言い換えることが、人々にもっとも訴求する方法だと考えている。
メディアの切り口なんてほとんどがそれだと言ってもいい。
そして、そうした価値観や手法は、打算的な思いからだけではなく、朝生に出演するような善意の知識人にも浸透している(そう考えると、対話の断絶性とか、格差とかって決して世代間だけではないよなあ)。

私は、数年間報道局で仕事をしていて、ずっと、政治や経済の話と文化の話の断絶を不思議に思っていた。文化とは生活の中から生まれるはずなのに、その生活を守るための政治や、生活そのものである経済は、まるで別のもののよう扱われているのだ。「文化は男の仕事じゃない」みたいなね。

「人はパンのみにて生きるにあらず」なんて、理想主義と言われそうだが、「戦後、金の話しかできなかった」日本では、今、金以外のことを話す必要があるのだと思う。
「文化」は「文明」に服従するものではなく、車の両輪。
霞を食って生きる人も必要と言う事だ。
それに時代も変わったのだ。アップルを見てご覧!

また、東は文化を海外に説明するための「言論」「言葉」が同時に必要だと語ったが、その通りだ。
本当に、伝わる言葉で伝えないと物事って伝わらない。
「言葉」は重要である。

だってそもそも、今回の朝生、みんな話が下手だったんだよ。自分が普段やってる事の情報を断片的に語るのみで、ビジョンを語れない。情報も整理されていない・・。

この私の文章だって人のことは言えませんが・・・。

最後になったが、
堀紘一が東浩紀のクールジャパンの話を受けて、韓国メディアの話をしたのは、ちょっと微笑ましかった。
あんなにぶつかったのに、東の話が実は中身が無いわけではないことを知ると、ちゃんとリアクションするあたりは、単に頭の固い頑固オヤジではないのだろう。お互い、気まずそうなんだけど、ここは歩み寄れるかもしれないという照れくさそうな表情が垣間見えた。それに、高橋亮平の議論を決裂させないようにしようとする冷静な対応にも、メディアは老人が仕切ってるから古いんだと認めて議論を展開させようとする田原総一郎にも好感が持てた。こうしたいろんな世代の反応を見てて、日本の未来も世代間の隔絶も、そうそう暗澹たるものでもないのではないかと、わずかではあるが希望の光が見えた気がした。

ほかにも、福嶋麻衣子の「村」の話とか、面白そうなテーマが登場したが、断片的に語られるだけだったのは残念。やっぱ、人々が動く映像として見えてくる将来のビジョンというのは魅力的ですよ。数字の目標なんてくそくらえ!
誤解を招かないように言えば、ほかのパネリストが訴えていたしっかりした現状認識も大切。それを踏まえた将来ビジョンを希望です(わ~、最後に言い訳がまし)。

今回を教訓に、次回は一歩先行く議論を期待します。

退席シーンはyoutubeで見られるようです。

 

というわけで、私はこんなの始めてます。こちらもよろしくおねがいします。

日本の暮らしを考える「火鉢クラブ」

http://hibachiclub.blogspot.com/

メイドインジャパンをいろんな形で売る

「shop出島DEJIMA by出島プロジェクト」

http://www.dejimajapan.com

 


脱力案件の効用 炎天下の江ノ島を歩く

2010-07-25 20:41:53 | 日々のつぶやき
ひー、暑いわあ~。今日も、「暑い」というより「熱い」と書きたくなるような一日でした。
3日も記事を更新してなかった(つぶやき自動更新はしてますが)このgooブログの編集ページを開いたら、今日のgooブログトピックスのところに「あなたの好きなカレーについて語ってください!」とビックリマーク!までつけて書いてあって、ちょい脱力。「はい、ボンカレーです。」と一人つぶやきました。

でも、今日はなんだか、こんな脱力案件に逆に人間のパワーの源を感じる一日でもあったような気がします。

今日は朝から鎌倉山へ行って人んちのお庭(畑かな)を見せてもらい、その後、江ノ島で上半身裸の人の集団と、暴走バイクのパラパラいうクラクションの音の洪水に溺れるという、東京都心に住む人間にとっては非日常を体験してきました。
外国人観光客に、ギャルが「クソ暑い=very 暑い」とか教えてあげたりしていて、微笑ましくもあり、無意味に生きるエネルギーを感じました。

土産物屋に売られている木刀とか、炎天下でしらす丼食べるために行列する人とか、このクソ暑い中、なんでこんなことしてるんだろという意味のなさが、もしかしたら人間のパワーなのではないかなどと思ったりもしました。
だって、意味なんて考えてたら、この暑さとのダブルパンチでへこたれてしまうではありませんか。

海のくせにアスファルトの照り返しが暑い、汗でベタベタだ、420円のかき氷の木目(粒)が荒すぎる!とか、いくらでも不快指数が急上昇する要素はあるのですが、冷房の効いたオフィスで、脳みそだけ回転させてイライラ仕事してるのに比べたら、不快指数の中に含まれる、化学物質の量が少ないというか、毒素が少ない気がしますね。
単に塩分多くて味濃すぎてうざいから、水で薄めてくんないっていう感じの不快とでもいうのでしょうか。

歩き疲れて帰宅して、そのベタベタな身体をシャワーで流し、畳にごろんと寝転がったら、久しぶりによく眠れそうな感じです。やらなきゃいけないことも、あせりもみんな忘れて今日は寝るかあといった心地よい疲れです。

脳みそが溶けそうなくらい暑い中、あのヤンキー集団うるせえとか、またギャルがアホな事言っとるなあとか言いながら、特に目的もなくぶらぶらする。その上猛暑。それにどんな意味があるんだと思いますが、人間、意味のある事、かっこいいことばっかりやっていたら、弱っちろくなってしまうんじゃないかと思います。

もちろん、意味のある事役に立つ事あってこその、意味の無いことダメなものなんですけど、ダメなものもないと、世の中多分ダメになっちまう。そう感じた、真夏の江ノ島なのでした。

最後に鎌倉山から下山する時に見つけた、無駄にギザギザの多い葉っぱの写真を載っけます。


なんだか意味なくギザギザが深い気が・・。
でも、この葉っぱ見てると、妙に元気出る気がしませんか?

さあ焼きそば作ろ。サイダー飲もう。録画した朝生で東浩紀の退席シーン見よ。

祝島へ行った その9 今日は一休み なごみの祝島B級写真集

2010-07-22 22:53:53 | 祝島へ行った
「祝島へ行った」も今回でその9。
10回目を迎える前に、ちょっと一休みして、
これまでの流れのなかで紹介するタイミングがなかった
写真を集めました。

これは、前回紹介した平さんの棚田でみかけたうしがえるです。


「うしがえる」がどんなかえるかはよく知らないのですが、
この鳴き声を聞いて、うしがえるだと確信しました。

祝島うしがえる


写真の姿を見る前に、この声が聞こえました。
あ、どっかに牛がいる?と思ったのですが、見渡せど牛はおらず。
で、声の方向をよくよく見ると、上の写真に写ったかえるがいたというわけです。
これ「うしがえる」ですよね。

そして、かえるの次は「くらげ」


浜で干からびかけていました。
こういうガラスのオブジェがあったらきれいですね。
よく見ると、端っこの方が干からびて石に張り付き
茶色いラインが石の模様のようになってますね。

このくらげが干からびていた入り江です。

写真では写っていないのですが、肉眼だと、水の中に15~20cmくらいの魚が
たくさん泳いでいるのが見えます。
こんな陸地の近くまでお魚がやってきてウヨウヨしてるんですよ!

バッテリーがなくなって写真とれなかったんですが、
この日、休日学校に来ていた小学生たちは、防波堤で、
バケツ一杯のアジを釣ってたなあ。入れ食いって感じでしたよ。



そんな桟橋のそば。こんなところにも黄色い花。
ただの雑草が、捨てられた(?)木枠から伸びてるだけなんですが、
その無造作な感じも自然の生け花みたいでかわいいなあ。

こちらは、朽ち果てたガードレール。絵になるなあ。


新しい白いガードレールだったら、この景色の中で浮いてしまうけど
ここまで朽ちると、鉄も自然の風景にとけ込むのだな。
鉄だって自然界の産物。

祝島は、朽ち果てたものが廃墟に見えない不思議な場所だ。

こんな場所も。

この重機もう使われてないのかな?

そして、ここは朽ち果てたものたちの集まる場所、粗大ゴミ置き場。

しかし・・・

この明るさは何なんだ・・・


天気がいいからなのかなあ。ゴミの放つ負のオーラが無い・・。
ドヨ~ンとした感じがしないのは、ゴミが成仏してるからなのか?


実は、粗大ゴミ置き場まだまだこんなに広いんです。
目の前は青い海。
ストーブ、自転車、扇風機・・ゴミとの思い出を廻らせながら
最後のお別れに酒盛りさえできそうな粗大ゴミ置き場でした。

そして、川の無い島にとってものすごーく大切な貯水槽。
蔦がからんで山にとけ込む・・。


トリはこの方。鳥です。


特等席で海を見つめて何思う。
祝島の昼下がりは、今日ものどかに過ぎてゆく。

祝島へ行った その10に続きます。

7月21日(水)のつぶやき

2010-07-22 00:46:46 | ツイッターつぶやき
00:56 from web
updated! http://blog.livedoor.jp/yurys/ summer sweets is so cute.
14:36 from Twitpic
喫茶はやっぱりルノアール。460円のブレンド珈琲一杯頼んだだけで、その後緑茶が2杯も出てきた。BBモバイルポイント接続&電源使える。ネ申! でもね、店によってブレンドの値段が違うの。銀座は580円。


14:38 from Twitpic
喫茶はやっぱりルノアール。460円のブレンド珈琲一杯頼んだだけで、その後緑茶が2杯も出てきた。BBモバイルポイント接続&電源使える。ネ申! でもね、店によってブレンドの値段が違うの。銀座は580円。


14:44 from web
ヘリはやばいです RT @hatoyamayukio 一般論として聞いて下さい。メディアがある人物を「様々な危険を想定し、警察は行動を非公開にしています」と言いながら、その人をヘリまで使い追跡しています。ご当人や周囲の安全が心配です。皆さんはメディアの役割と責任をどう考えますか。
15:28 from Twitpic
最近生命保険の勧誘も、こんな原始的なちらしを撒くんだな。この「今日は何の日」もシリーズでもう4回目くらいかなあ。でも「通わりにくい」って「伝わりにくい」だろ。連休に阿蘇の青空見てる場合なのか?保険の本来のあり方でも考えて欲しい。


15:33 from web
さっきもアップした生命保険勧誘のちらし

 まあそんなに突っ込むほどのものでもないよな。ある意味微笑ましい。プー。でもやはり、大人が考える事かな~とも思う。親しみやすさのはき違い??
17:26 from Twitpic
久々に見た気がするが、実は今でも結構出てるの?この注意報。


17:33 from web
光化学スモッグ注意報出てるくらいですから

 皮膚がピリピリするのはそのせい?RT @kantandesu
暑い。そこいらへんにものを置いたら、何でも直ぐに腐りそうだ。街中のいろんなものが腐敗臭を発して、夕方の空を黄色くしている。
20:16 from web
このミュージアムってアミューズがやってんだね。RT @hongkong666
そうです!これですこれです!アップありがとうございます! @handicraftsjp @hongkong666 動画です http://yfrog.us/5g7baz
21:42 from web
これ銀座じゃなくて上野のルノワールの写真なのだ。RT @ginza_photo_sub
RT @yurys:

460円のブレンド一杯で、その後緑茶が2杯も出た。BBモバイル接続&電源使える。ネ申! 銀座はブレンド580円。
21:43 from web
ルノアールのブレンド。上野460円、銀座580円、そして日暮里(谷中)は510円だった。
21:46 from web (Re: @hongkong666
@hongkong666 そうだね、ちょっとくやしいね。これオモロそうだ。私も行ってみよ。巨大資本と対峙すべくwゎゎゎw
by yurys on Twitter

真夏の夜の読書 こんな本買ってます その1

2010-07-20 21:09:22 | こんな本買ってます
今日は、このまま長いブログはアップできないかもしれないので、
比較的最近買った本を紹介します(中には2ヶ月前くらいのもありますが)。

まずこれ。「考える人の8月号」は村上春樹のロングインタビューです。
泊まり込みで3日間インタビューしたっていうからすごいわ。
どんな大物やねん。って大物か。
考える人 2010年 08月号 [雑誌]

新潮社

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実は1Q84もまだ読んでません。
1Q84は1、2巻は買ったんですが、1の途中で休止中。
決してつまらないわけではないんだけど、
買った頃は、いろいろ仕事辞めてえとか思ってたからなのかな、
途中になったまま・・・。
でも、これまでの小説は結構読んでるんですよ。

で、インタビューの方は、まだ拾い読みなんだけど、
昔は女性のことが分かっていなかった・・・とか
4時に起きて、ちょっとスコーンとか齧って仕事始める・・とか
ちょこちょこオモロいです。

お次はおもむきががらりと変わって佐藤優です。
このイメージでは、帯が無くてわかんないけど、
佐藤氏の最近の主張である「小沢一郎は平成の悪党になれ!」が
冒頭に謳われています。
小沢革命政権で日本を救え
副島 隆彦,佐藤 優
日本文芸社

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「悪党」といってもただの悪いやつというんではなくて、
日本の中世に、既存の支配体制に対抗した民衆を中心とした階層が
悪党と呼ばれたことになぞらえています。
現在の既存の支配体制とは「官僚」であり、
小沢一郎はその官僚支配に対抗するべく
今こそ、民衆を率いて「悪党」を結成せよと訴えてます。
そういうことだったら、私も「悪党」に入ってみたいなとちょっと思いました。
自民党や民主党より悪党のほうがかっこ良くない??
「私、悪党です」って言ってみたいなあ。

で、最近買った本ではないですが、上に関連して、
1980年代に中沢新一が書いた「悪党」の本。
大学生のとき買ったこの本をいまだに持っていますが、もう内容は忘れた。
読み返してみるかな・・・。
悪党的思考 (平凡社ライブラリー)
中沢 新一
平凡社

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そうそう「悪党」ときたら「悪」つながりで、
高橋源一郎の「『悪』と戦う」も面白かったです。
同じ悪という字でも、文脈や受け取る人によって
含意はいろいろに変化するのだなあと思います。
「悪」と戦う
高橋 源一郎
河出書房新社

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この本は、著者がツイッターで発売数日前から予告編をつぶやいていました。
その予告編は主張に筋が通っていて感動しました。
そんでもって本編を読んでみて、今度はわけの分からなさに感動したりして。

で、予告編から本編まで一貫して私の頭に浮かんだのは
鳩山さんが言ってた「新しい公共」について
もっとちゃんと考えようよということでした。

えっ、なんで??と思われる方
なんでそうなのかは、読んで想像してみてください。

「新しい公共」を考えることは「文学」することでもある。
そう思って、私、このブログをやってます。

実は、私がテレビの仕事辞める前、
新しいニュース番組の企画をスタッフに求められた時、
提出した新番組名のアイディアは「PUBLIC TIME」でした。
一日のうちで、少しでも「公共」について考える
そんなニュースの時間にしたかったのでした。
そんなの地味で通る分けないですけどね。
そういうわけで、私は今ブログを書いてるわけです。

そうそう、高橋源一郎、鳩山由紀夫ときたら、
そこに内田樹さんも加わったこの雑誌も載っけとかないと。
SIGHT (サイト) 2010年 08月号 [雑誌]

ロッキングオン

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このSIGHT、最近では高橋&内田対談を読むために買ってる
といっても過言ではないかもしれません。
今出てる号では、内田樹氏が、
鳩山さんが普天間問題で突然持ち出した「抑止力」とは
海兵隊の戦力なんかではなく、「核兵器」なんじゃないか
との仮説をたててます(これは内田氏のブログにも書いてますが)。
なんか妙に納得。

そういえば、このSAIGHTの創刊号って、小泉さんが表紙だったんだよなあ。
そう思うと、今月の「みんなの党」というテーマは
微妙に興味深かったりはするものの、なんか私的にはピンと来ない
タイトルでした。

最後に、買った本ではないですが、鳩山さんのこんな本あったので。
鳩山由紀夫の政治を科学する (帰ってきたバカヤロー経済学)
高橋 洋一,竹内 薫
インフォレスト

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小沢、鳩山は出てきたのに、菅さんのことが全く出てきませんでした。
G7財務相会議から帰国した時点では消費税22%上げるつもりだったって
本当なんでしょうかねえ・・・。

本日も暑うございました。
みなさま涼しい夜の読書で、頭をクールダウンしてください。
いや、クールダウンになるのはロングインタビューくらいかなあ・・。

東京新聞「探訪・都の企業 デフレ奮闘編」から考えた「わけあり」デフレ社会

2010-07-19 18:29:37 | 国内情勢
夏休みに突入したのを機に(って別に関係ないが)今日からたまに、新聞やら雑誌やら書籍やらを読んで気になった事を書いてみようと思う。私は今新聞は東京新聞しかとっていないので、他紙は喫茶店や、たまたま駅売りで買ったときにしか見ないが、まあその辺の網羅感はごかんべんください。

東京新聞では、昨日から1面で「探訪・都の企業 デフレ奮闘編」というのをやっている。昨日(上)今日(中)ときたので、あす(下)でこのデフレ奮闘編は終わるのだと思うが、読みながら、紹介された企業のさまざまな工夫と努力に感心しつつも、どこか割り切れないものを感じている。

(上)のテーマは居酒屋。
金融危機後、関西発の280円均一の居酒屋に客を奪われた都内の居酒屋が250円均一に踏み切った話と、客が食材を買って自分で調理する居酒屋の話が採り上げられていた。

前者は徹底したコスト削減で、値下げを実現したよくあるパターン。取締役は「安いだけではだめだ」と語り「超低価格」と「質」という矛盾したテーマに取り組む構えだと締めくくられている。ユニクロ型をめざしてるんだろう。

後者はある意味「場所貸し」で、人件費もかからない。にもかかわらず客の一人単価は3000円前後と、決してデフレ価格ではない。
デフレ時代の隙間産業というか、デフレだ不況だといいながら、まだまだ3000円そこそこは娯楽に支払える、自称ビンボー、自称清貧、自称スローライフの存在する日本ならではのアイディアだとは思う。まあ、そういう意味で、デフレの中で奮闘している企業なのかもしれない。

そして、連載2回目の今日(中)で紹介されたのは、「箱に穴があいていたら三千円引きます」という「箱破損」で割引をする秋葉原の家電ネット通販の会社だ。このサービスは「わけありくん」というんだそうだ。
「わけあり」という言葉、通販ではもう聞き飽きた言葉だ。
「わけあり」がとうとう箱の傷にまで及んだかと、少々げんなりした。

このサービスのきっかけは「箱に傷が付いている」という客からのクレームだったそうだ。部長は「商品自体に問題がなくても、消費者は箱のかすり傷やへこみに敏感です。店頭渡しなら気にならない傷でも、ネット通販の場合、とりわけ消費者の目が厳しくなる」と話している。

そうなんだ・・・。
店頭渡しだろうが、通販だろうが、輸送される過程のどっかで傷がついたことに変わりはないのに、そんな消費者心理の違いがあったとは・・・。
自分も箱の傷、少しは気になるけど、通販と店頭との違いなんて意識した事無かった。店員の顔が見えないという事は、こうも客の側が強気になれるのかとちと驚いた。

また、10万円以下の商品の場合、「かすり傷」なら千円、「大きなへこみ」は二千円、「穴があいていたら」三千円の値引きになるそうだ。
でも考えてみたら、箱に穴が空くほどの何かが起きた可能性の或る商品を、例えばコンピュータなんかの場合、たった三千円値引きされても買いたいと思うだろうか???
なんだか、その辺の客のクレームの付け方と損得勘定のあり方が、私には理解できなかった。

売る側は、「わけあり」で売り上げアップと喜んでいるし、買った側も三千円安く買えたと喜んでいて、ある意味これがウインウインの関係っつうやつかもしれない。かすり傷くらいだったら私も千円引いてもらえれば嬉しいし、コンピューターとかじゃなく、扇風機とかあんまり精密そうじゃ無いもんだったら、箱に穴開いててもノープロブレムだ。

しかし、それでもどこか、本当にこれでいいのかと疑問を持ってしまう・・。

 本来は、箱に穴が開いてたら、輸送上の問題があったんじゃないかという話になるんだと思う。でも、いちいちそれで運送会社をつつくのもめんどくさい。そこで、それを不問にして、その追求コストとしてかかるはずだった分を、「値引き」としているという風にも、見方を変えれば考えられる。実際にそうかどうかは別としてだ。
客と店の間でも、本来ならクレームをつける所が、それを先回りして値引きすることでクレームへの対応コストを無くしている。
たしかに、プラスマイナスゼロで、経済的にはきれいに収まっているようにも見えるが、そういう人間と人間の交渉のコストやモヤモヤを全部金銭に換算してしまってもいいのだろうか。
多分、そういう思いが私を釈然とさせないのだと思う。

それにさ、かすり傷くらいでクレームつけんなよ!さすがに穴はしょうがないけど・・。っていう素朴な感情が一番大きいのかもしれないけど。

「箱破損のわけありくん」の話が長くなったが、今朝の記事ではもう一つ、都内デパートの「わけありセール」についても採り上げている。

「賞味期限まで余裕があるのに販売しなくなった商品1000種類40万点」を3割~7割安で売るのだとか。バイヤーは「お客様が納得して買うのなら・・」と言っているらしいが・・・。って、なんだよ、この「賞味期限まで余裕があるのに販売しなくなった」って、しかもそれが「40万点」って???意味分からん。これって売らなかったら、捨てる運命にあったってことですか?

多分、売れなかったから眠ってた商品なんだろう。

そうなんだよなあ・・・。
私はここに今の日本の(世界かもしんないけど)問題があるんだと思う。

『そもそも、売れもしないダメな商品作り過ぎなんじゃないのか!』
『もっと考えて、ちゃんとしたものづくりすべきなんじゃないのか』
『作りゃいいってもんじゃないだろ!』

いやいや、中には良いものなのに売れなかったという商品もあるだろう。

しかし、多分それは、売る側がその商品の良さをちゃんと理解して、それをちゃんと消費者にアピールできていなかったんではないのか?

そう、
『商品への愛情や思い入れが足りんのとちゃう!』
『ちゃんと自信もって売っとる?』だ。

もちろん、そうではない、しょうがないパターンもあるとは思うが、この大量生産大量消費を前提とした薄味の世の中が、そうした「40万点」を生んできたのではないだろうか。
だからこれを「わけあり」って呼んでいいのか・・・。

以前、テレビ朝日でやっていた通販を題材にしたドラマ「コールセンターの恋人」で、明太子の「わけあり」商品をテーマにした回があった。
不況にあえぐ明太子業者が、通販の販売権を取りたいがために、正規の商品までわざと潰して「わけあり」商品を作っていたという話だった。悩みながら手塩にかけた明太子を潰す従業員たち。見かねた社長の娘がコールセンターに匿名で抗議の電話をかけるのだ。
実際にこうした事例があるのかどうかはわからない。

しかし、「わけあり」ということがもはや、本来は発見の産物である「わけあり」を超えて、「作られたわけあり」、つまり「わけあり」でもなんでもなくなりつつあるのも今のデフレ商売の一面だと思う。

以前はバッタもん屋とされていた、100円や300円の激安ショップも、ちゃんとそのために生産された商品を置く100円均一ショップになってしまった。「わけあり」はあのいかがわしい感じがよかったのに、それさえもデオドラント化されてしまった感じだ。

確かに、いくつかの100円ショップには、そうしたいかがわしさや、妙な面白さも残っていて、私もよく覗きにいく。面白いデザインのものや、懐かしいものもあって、上野の某店などは、現代社会の真空地帯みたいな不思議な魅力を発揮していると勝手に思っている。
でも、そうしたオモロい商品は100円じゃなくともいいでしょと思うのだ。
100均には、私なら、200円以上でも買うと思う商品が時々あるのだが、それを200円にしたら、もはや売れないのかなあ・・・。

東京新聞では、今朝の記事に「“わけあり”逆手に活路」という見出しを付けている。

でもこれは本当に「逆手に活路」なんだろうか?

これまでの記事で紹介されたデフレ奮闘事例は、デフレな世の中にどっぷり浸かった消費者の購買行動を前提に、「活路」を見いだしたものだ。
もちろん私もこの努力を否定はしない。
しかし、この状況が続けば、いわゆるデフレスパイラルに陥って、ゆくゆくは皆が小さなパイを奪い合い、全員共倒れなんてことになりはしないのだろうか?

いつか誰かが、こうした消費者の購買意識を変えるべく、全く違ったアプローチのものの売り方に挑戦せねばならないのではないだろうか。

そして、今、そのアプローチは、海外に活路を見いだすということになりつつあるようだ。今朝の新聞でも、たまたま喫茶店で読んだ毎日新聞ではユニクロの柳井社長のインタビューが載っていた。彼が取ろうとしている方法がまさにそれだ。
しかし、それは一時的に奪い合うパイを広げるだけのことではないかと私には思える。
先に述べた全く違ったアプローチというのは、また別の方向にある気がするのだが、その辺、経済に携わる方達はどう考えているのだろうか?

というわけで、東京新聞のデフレ奮闘編(下)最終回?が明日どういう結論で終わるのかを期待しつつ、次はユニクロと全く違ったアプローチについて考えてみたいなあ・・なんて考えている。




祝島へ行った その8 平さんの棚田

2010-07-18 16:33:31 | 祝島へ行った
今日みたいな、気持ちのいい晴れ渡った夏の日は、また祝島に行きたくなるなあ。
というわけで、今日は、祝島の話の続きで、「平さんの棚田」の話から。


棚田は、段々畑の上の方にあるのだが、そのまま自転車で行った。
結果、自転車で行けました。
最初の登り口は斜面の傾斜がきつくてちょっとヘタリそうになったが、しばらく行くと傾斜が緩くなってきて、降りて引くこともあったが、半分くらいは漕いで進むことができた。
 


途中で、徒歩で上っていた集団とすれ違い「徒歩だとあと30~40分くらい先だから自転車だったらもっと速いと思いますよ」と言われ、目標が見えて元気が出る。

景色が開けた場所で、自転車を止めた。

この景色。山に登ってきて本当に良かった~と思った瞬間だ。
ママチャリがまたいい味だしてるでしょ。自転車のって来て良かった~。

というわけで、縦バージョンの写真も載っけちゃお。
こっちには、海の上に、小さく船が写ってます。


日差しは強いんだけど、時々気持ちのいい風が吹きすぎる。
この時はまだ5月だが、懐かしい夏休みの風情だ。

この時の気持ちよさは、その後の私の意識に深―く刻み込まれたようで、もはや私は都会のオフィスのような場所で働けない身体になってしまった。つい3ヶ月前まで、窓も無いオフィスで毎日働いていたのに、もうそういう仕事には足が向かなくなっている自分がいる。それにネクタイした人にもう囲まれたくないしなあ。
あくせくするのがイヤだというのもあるが、
祝島のこの青い海と青い空と、そして、このあと行く平さんの棚田を見て思ったのは、もう、自分に嘘付いてやる仕事はしたくないということだ。



到着した平さんの棚田はでかかった。
幅は50mほど、高さは1段8m~9mと日本でも有数の規模の棚田だ。
なのに、岩を積むのに機械は使っていない。ましてや作業は平さんの一家だけで行ったという。自らの強い意思によって、親子3代で完成させたものだ。平地が少ない祝島では、田んぼを作るにはこうした棚田を作らねばならなかったのだろう。
この辺は掘ると岩がゴロゴロ出るからそれを積んで行ったのだと、どなたかのブログで読んだが、この大きな石を自らの手だけで運んで積む作業は並大抵ではない。
人間これだけのことができるんだと感激すると同時に、その作業を想像すると途方に暮れた。

この棚田は、平さんが、人間の力と自分の力を信じて、作業をやり続けてきた結果だ。この棚田にくる観光客や取材者は、棚田に結晶した「人間・平さんの奇跡」に驚き、感動するのではなかろうか。

棚田作り3代目の平萬次さんはもう70代で、この棚田を守るのももう自分の代で終わりだと語っているらしい(ご本人に取材できてなくて、これもどこかで読んだものです。すいません)。
人間の作り出すものは偉大だが、その大変な作業を継ぐものがなければ、潰えてしまう。人間は基本的に怠け者だから、潰えるのも簡単だ。特にこの棚田のような大変な仕事は、一人の人間の奇跡のような行動力によるところが大きい。そして、誰にでもその奇跡は起こせるものではない。中心人物がいなくなって、消えて行ってしまうものも世の中には多い。

見上げると、ボランティアの若者たちが、石垣の草刈りをやっていた。
小さくて分かりづらいかもしれないが、下の方に小さく写っているのがその人たち(石垣の巨大さが分かりますね)。


彼らは、みな島の外から来た人たちだ。中には、東京から来たという女性もいた。

当事者で無いのに、こうして石垣の草刈りをしたり、また、いっしょに原発に反対し、祝島の自然を守ろうとする人がいる。
それは、そもそも祝島の人たちが、一番一生懸命に自然を守ろうとし、伝統的な暮らしを守ろうとしているからだ。
その賢明さや奇跡のような行動力に感銘を受け、当事者でない人々もこうしてやってくる。

そういえば、数回前に書いた「祝島のスマートグリッド構想」などはそんな事業の典型ではないだろうか。外部の人々が、祝島の人々の志の高さに共鳴し、民間と有志による出資で祝島に原発のいらない社会を現出させようとしているのだ。

一人の人間の奇跡、一つの小さな島の奇跡を、日本の奇跡に広げて行くためには、私たちみんなが、小さくてもいいから奇跡の行動力を発揮せにゃならんのよねえ。

そのために最低限必要なのは、自分に嘘をつかないことなのだろうと思う。
自分に嘘をついていたら、多分いつかは投げ出してしまうから。
投げ出さず、あきらめずに続いている祝島の原発反対運動や、根気よく作られた棚田を見てそう思った。
自分に嘘をついていない証拠に、祝島で出会った人たちの表情は明るい。

山から下りて、浜で出会ったじいちゃんに、「棚田に自転車で行ってきた」と話したら。
「自転車で上ったのはあんたが初めてじゃろ」と言われ、ちょっと嬉しくなった。
いや、ただのアホって思われただけかもしんないけど、そんなことはどっちでもいい。
自転車でのぼってみて良かったと思ってるからな、自分で。
私も自分に嘘付かないでがんばろ!!

というわけで、「祝島へ行った」はもう少しだけ続きそうです。









上野夜散歩 10 minutes Night Walk in Ueno with YMO

2010-07-17 08:15:07 | 谷根千・上野浅草・下町
前回、上野公園の蓮の花の写真をアップしたので、続いて今回も上野の映像をアップします。

日が落ちてから、上野動物園の入り口横にある「上野子ども遊園」から出発し、「上野駅公園口」→「パンダ橋」→「アメ横」と歩きました。
ただ、ご覧になれば、長袖の人が多いので分かるかと思いますが、撮影したのは確か去年の10月頃です。
途中まで(15分に)編集したところで今まで放置しておりました。だって、youtubeって10分以内にしないと載せられないんですもん・・。
まずは、ビデオをご覧下さい。10分間の上野散歩。
後半に一番お見せしたいものが映っているので、なんとか最後まで見てやってくださいまし~。

Night Walk in Ueno


BGMにYMOを使うあたりがアラフォーですねと冷静に突っ込まれてしまいそうですが、それは置いといて、こんな映像を撮影したのはなぜかと言いますと、広義では、youtubeにのっけて、広く海外の方にも上野アメ横を知っていただこうと思ったからなんですが・・・

でも、直接の動機は・・・
アメ横のガード上を走る山手線と京浜東北線への愛ですね。

あのごちゃごちゃした市場の真上を、電車が何本も同時に走るんですよ!
世界中でそんな電車ってあります?

もちろん町中のガードの上を走る電車はあるでしょうけど、あんな古くて密度が高い商店街の屋根の上を、世界最高水準の、しかも時間ぴったりに運行しているJRの電車がすれ違ってるんですよ。
私はアメ横に行くたびにスゲーなあと、上を見上げてしまいます。
そんで、私たち日本人にはもはや日常になっているこの光景も、海外の人が見たら驚くんじゃないかな?
そう思って、ビデオをアップしてみたわけです。

この前も、アメ横で、中東出身とおぼしき女性の連れた男の子が、ガードの上を電車が走るのを見て興奮しているのを目撃しました。下の海苔屋のおじちゃんが「またすぐ来るからね」とその子に声を掛けていて、やはりこの光景はエキサイティングなんだと、私的には確信しました。
でも、それって私の思い違いなんかなあ・・。どう思います?

私は、けっして鉄っちゃんじゃないんですよ。
それでもこのアメ横の電車には萌えるんです(あ、あと数寄屋橋を新幹線と山手線がいっしょに走ってるのとかも萌えますね。
たしか、これもとっさにiphoneで撮った映像があったように思いますが、youtubeに上げてないんで、いずれ機会があればご紹介します)。多分、普遍的な魅力があるんだろうと・・・。
いや~、電車っていいもんですね。

やはり私は鉄っちゃんではないので、
電車以外の他のものも、海外の人に発信していく所存でおります。
ゆくゆくは、英訳の説明テロップも入れて、外国人観光客向けに日本の風物を発信したいと思っております。

でもそれには、ネタを集めニャなあ~。
カメラを持って街へ出よう!



夏も朝。不忍池のはすの音を聞くために早寝すもをかし。 

2010-07-16 10:38:24 | 谷根千・上野浅草・下町

東京は今日も梅雨明け間近の青い空。
暑ーくなる前の、朝の散歩が気持ちいいです。
朝の散歩というと、私の場合は上野公園。不忍池は今蓮の花が満開です。
タイトルに、「蓮が開く音聞くために早寝する」なんて書いちゃいましたが、実際にそんなことはしてなかったりします。そういうのも風情があるなあ、なんて思って清少納言の真似してみた次第。


夏が終われば、池を緑で覆い尽くす蓮も枯れ始め、秋から冬には再び水面が見えてきます(管理の方が枯れ草を刈り取ってるらしいです)。
いったいいつから、咲いては枯れ、枯れては咲きを繰り返しているのでしょうか。
5月から6月には水面に緑の葉っぱが頭を覗かせ、いつのまにやらどんどんどんどん伸びて行き、7月に入る頃には、池は深い緑に覆い尽くされる。その生命力には、毎年毎年驚かされます。

この池の水の下では、いったい何が起こっているのか、いったい何が蓮にそんな生命力を与えているのか?
妖怪蓮番(自分で勝手に作った名前です)でもいるのではないかと思ってしまうのは、「ゲゲゲの女房」が始まる前に戻んなきゃと思ってるからですなw。

おなじ上野公園の桜が「はかないもの」の象徴だとすれば、この不忍池の蓮の花は「生きる力」の象徴のようにも思えます。一つの公園の中で、季節を変えて生と死が表現されるとは。上野公園恐るべし。
普段、ぼーっと歩いている公園というものの意味を考えさせられます。

そんな、歩くだけで、私たちにも生命力を吹き込んでくれる朝の不忍池。
今日はそんな不忍池のお散歩アルバムです。

まずは、いろんな蓮の花。  ぽつん。


蕾がニョキ。表装画にありそうな構図(花がセンターすぎか?)。
 

蓮といえば露


きれいですねえ


萎れかけもいい


シャワーヘッド。一本欲しくなっちゃうのだけど、持ってかえると怒られちゃうんだよなあ。


鳥もいます。


こんなのも。


でもね、一番じっと見入っちゃったのは彼らです。
こちらはビデオで見てください。
不忍池の住人たち


大混雑! よく見ると、亀の甲羅に苔が生えている。をかし。


何を見ているの?


鯉もいい顔してんのよ


道端にはこんな花も咲いていました。


さわやかな夏の朝の不忍池。
次こそは、蓮の花が開く時のポンッという音を聞くべく、もっと早起きしてみようかな。

暑くなる昼頃には蓮の花は閉じてしまうので、やはり早朝が見頃です。

水と木のある場所は、木陰にいれば部屋でエアコンで涼んでるよりずーっと気持ちがいいですよ。
こちらの方においでの際は、是非是非、不忍池を歩いてみてください。

皮むき間伐ツアーin宮城栗駒 その3 クレイジーが日本を救う さいかい産業古川さん編

2010-07-14 11:49:35 | 森から始まる未来
そういうわけで、その2からの続き。
新潟でペレットストーブを作っている会社・さいかい産業の古川正司さんが「クレイジー」だって話からです。


前回お話しした、栗駒木材さんの8000万円の借金話もクレイジーでかっこ良かったんですが、今回の古川さん(46歳)ヒストリー、さらにヤバいんですよ(笑)。

ちゃんと取材したわけじゃないんで、いろんな出来事の年代などは詳しく聞いていないのですが、そのへんはごかんべんを。
というわけで、古川さんヒストリーです。

古川さん、もともとは鳶職をやってたそうなんです。
まじめに技術向上に努力し、年を追うごとに自分の技は上って行ったそうです。なのに賃金はあがらない。下請けとして働いたその仕事のピンハネ分は東京の元請けへ行ってしまうわけだ。そんな状況が頭に来て辞めてしまったんだそうです。気持ち分かるわ~。ある意味、派遣切りの先を行ってたわけですよ古川さん。
ちなみに、古川さん、大学は農業大学に行ってたらしいんですが、これも教授と喧嘩して辞めちゃったそうです。喧嘩っ早いのか、筋を通す人なのか(その辺の事情は今回聞けなかったなあ)。

はたして、鳶職を辞めた古川さんは、森に出会うわけです。

山の管理不足で水害が起こり被害が出る。今度はそれにガマンがならず、一人里山を守るために間伐を始めました。そしてその間伐材を使ったペレットとペレットストーブの生産を思いつきます。
お金は無いからアイディアだけ持って出資のお願いに廻り、アイディアのお墨付きを求めて県知事の所にも行ったそうです。行動力あるなあ。
しかし、知事からは色よい返事がもらえず、がっかりしてたら、なんとなんと、
古川さんの話に共鳴した信用金庫の支店長が、ポンッと2億円貸してくれたのだそうです。志に2億円です!話出来過ぎ!

もうこの辺で、古川さんがただ者ではないことがお分かりでしょう。
とにかく、研究熱心で、一生懸命で、かつトイレの100wなんです(無駄に明るいってことらしいです:本人談)。こうして簡単に書くとただの思いつきだけで動いている人にも見えてしまいますが、ペレットストーブの設計や改良をする時の古川さんの根の詰めようは、これまた尋常じゃないようです(田中優さん談)。

そういう人には神様も手を差し伸べるんですよ。

で、事業が始まったわけですが、やはり当時1台40万円(今は24万です)のペレットストーブはそんなには売れない。
2億円貸してもらったといっても、返済額は月800万円です。
もうこれは、クレイジーの域でしょ。
でも、古川さん曰く、「ある時は焼きそば売って、月800万返したよ。」
って、あんた、こりゃまた失礼いたしましたって感じです。
借金で悩んでいる暇なんてないんですよ。かっちょいい!

とはいえ、やはり毎月800万の返済はなかなか続かないわけです。
そしたら、なんとなんと、今度は、地元の大きなアウトドアのメーカーの社長が、またまた古川さんの男気に共鳴し、その借金ごと会社を買ってくれたんですって。これで2億円はちゃら。そんで、田中優さんの未来バンクとも知り合い、ペレットストーブ事業は今に至っているわけです。
その後は、その環境に優しい事業が、地元メディアや報道ステーションなどにとりあげられ、じょじょにペレットストーブは知られ始め、古川さんは森林保全やバイオマス促進などのイベントにも引っ張りだこです。

今回のツアーでも、一番夜遅くまで、たき火の横で熱く語ってたのは古川さんでした(私は懇親会で話を聞いた後睡魔で撃沈。たき火を囲む会に参加しなかったのが今回最大悔やまれる事です)。
火をおこすのが好きだし、もっとみんな火を使う事をおぼえた方がいいと語ってた古川さん。
間伐材によるバイオマス燃料で森を守る仕組みづくりについては当然のごとくすばらしかったのですが、この、人間もっと火をちゃんと操ったほうがいいという話にものすごく共感しました。

キッチンではIHが普及し、暖房はエアコンで、最近の新しいマンションでは火を使う事が少なくなっています。集合住宅では火事にならないようなるべく火を使わない方が安全という消防の考えなのでしょう。

しかし、人間は火を操る事で、文明を進化させる事ができたことを考えれば、火の使い方を忘れる事は退化への一歩のようなきがしないでもありません。まあ少しぐらい退化したほうが、ほかの動植物に迷惑がかからないかもしれませんが、使い方を忘れるということは、暴走を許すことにもつながると思うのです。

それに、火をつける事って面白い。
どうやれば上手く着火するか、立ち消えしないか、置火を上手く利用できるか。ふーふー風を送ったり、枯れ葉の山に隙間を空けたりしてたき火を囲む時の人々の表情は、大人も子どもも関係なく楽しそうです。
危ないから使うのをやめましょうというのではなく、安全に使う能力を養う方がサバイバル能力が養われると思います。

だって、火を扱い倒している古川さんのサバイバル能力、2億円をもろともしないなんて、高すぎっ!

話はちょっと変わりますが、火を使うということを考えていて、枕草子のこの部分を思い出しました。

『冬はつとめて。雪の降りたるはいふべきにもあらず、
  霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、
火など急ぎおこして、炭もて渡るもいとつきづきし。
 昼になりて、ぬるくゆるびもていけば、
   火桶の火も白き灰がちになりてわろし。』

寒~い朝に火を使うこの感じ、たまらなくいい感じです。
凛とした暖かさというのでしょうか。
なんか空気がきれいなあったかさを感じませんか。それに楽しそうだし。
炭が白い灰になって、「わろし」になってるのも、ゆるんだ空気の感じが出てますよねえ。
火を使う事は文明を操るだけでない、文化を生み出すことでもあるのだなあと感じさせてくれる名フレーズです。

そんな、森と火を操って、自分の信じる生き方をしている古川さんはもしかして文明と文化のマイスター?って褒め過ぎ??

古川さんのブログのタイトルの下には、「里山整備→木質ペレット→地産地消→地域雇用創出に取り組んでおります」と書かれています。
だめだめな政府なんかより100倍早く、マニフェストを実行しちゃってますよね。

栗駒木材さんも同様です。
両者とも、そもそもお金なんて持ってなくて、志と技術だけで、8000万や2億円という莫大な借金を抱える所から始めました。栗駒木材さんも会社とはいえ、規模は小さく、「天然住宅」と出会うまでは経営もかなり厳しかったといいます。

しかし、高い志があれば、これだけいろいろな人が手を差し伸べてくれ、人の輪ができて、仕事につながって行くのです。いや志だけじゃないですね。いい仕事を地道に続ける粘り強さと職人の技、そして誇りも、今回見せていただきました。

自分に言い訳しないで、仕事に誇りを持って取り組む事が現代の世の中ではいかに難しく、稀な事かを実感します。
私も、言い訳するのがいやで、前の仕事を辞めてしまいましたが、まだまだ新しい道で私の仕事はこれだと胸を張る事はできていません。

なんだか環境のことより、「働くとは何だ」みたいな話になっちゃいました。
もちろん森の保全の話も、両社の環境にいい商品についても、この場を使ってもっと詳しくお伝えしたいのだけれど、やはり、今回私の心に最も響いたのは、栗駒木材さんや古川さんの働く姿勢の潔さでした。

バスツアーの帰路、参加者みんなが感想を述べた時にも言ったことですが、

栗駒木材さんや古川さんの仕事こそが、クリエイティブな仕事だと思います。

これまで、就活やなんかで、「クリエイティブなことをやりたいです」なんて学生が言ったら、たいていマスコミや広告などメディア関係の仕事とかデザインの仕事とかを指していました。
でも、つい最近までマスコミの端っこの席にいた私には、その仕事の先にどんな日本の未来が広がっているのかが全く見えませんでした。
しかし、今回体験した栗駒木材さんの林業や、古川さんのペレットストーブと森林保全の仕事の向こうには、人々の生活する姿や、新しいインフラなど、確実に、あるべき21世紀の日本の姿が見える気がしました。
そして、こうした仕事をこそ、新しい時代のクリエイティブと言うんじゃないだろうかと思いました。

それに、参加者の感想には、『皮むき間伐する山男の姿に「惚れてまうやろー」』というものもありましたしね。
間伐ねるとん(古っ!)いや婚活、マジ有りかも。

ちなみに、これは皮むき間伐のとき紹介された栗駒木材の若者。
栗駒木材って、平均年齢なんと30歳なんだと!


ついでにこの写真も載っけよ。

<栗駒木材さんに積まれた木屑の山>ものすごくいい香りがしました。木材からとれたアロマは高く売れるという話も聞いた事があります。これも商売になるかな。


今回のツアーの内容については、天然住宅のブログや参加された方が書かれているようなので、ちょっと違う角度からの記事になりました。ツアーの内容について詳しく知りたい方はこちらのブログをご覧下さい。
天然住宅バンクのブログの皮むき間伐ツアー報告
参加者のブログ「木霊がいっぱいの森体験」

また、栗駒木材、さいかい産業、天然住宅の詳しい取り組みについては、
以下のそれぞれのサイトをご覧下さい。
栗駒木材のサイト
さいかい産業のサイト
天然住宅のサイト

メディアの仕事で先が見えないと書きはしましたが、とはいえ、メディアやデザインという仕事も世の中には必要。私も細々ながら、こうしてみなさんに見た事聞いた事をお伝えして糊口をしのげればと思っていますので、このブログもごひいきにお願いいたします。現在、読者倍増計画推進中です(笑)

そうだそうだ、今後は全国の手仕事も取材して紹介して行きたいと思っていますが、なんせ突発的に仕事を辞めちゃったので(参考)過去の記事「私ツイッターで仕事辞めました」資金がありません。古川さんや栗駒さんみたいに、神の救いの手が伸びてこないかなあ~と夢想する日々です。
何卒そちらのご協力もよろしくお願いいたします(笑)。

また、この皮むき間伐&ペレットストーブ&天然住宅な取り組みを、自分の地元の業者や行政にも勧めてみたい衝動にかられているところでもあります。
天然住宅から社会を変える30の方法

合同出版

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火のある暮らしのはじめ方―七輪、囲炉裏、ペレットストーブ、ピザ窯など

農山漁村文化協会

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皮むき間伐体験ツアーin宮城栗駒 その2 クレイジーが日本を救う~栗駒木材編

2010-07-14 08:26:27 | 森から始まる未来
皮むき間伐バスツアー その1で書いたように、「皮むき間伐」は低いコストで森を守れる凄い方法である上に、遊びとしてもとても面白い体験でした。「自然保護」なんて肩に力を入れなくても、低―いハードルで参加できるフレンドリーな森林保護活動だなあと、エコツアーには関心の無かった私も(森の保護には関心ありますよ)、こうして皆さんに紹介しています。

しかし、実は、これ以上に印象に残ったのが、今回皮むきを行ったエコラの森を管理している栗駒木材さんの活動と、新潟からツアーに参加してくださったペレットストーブを作っているさいかい産業の古川さんの話でした。

今回、栗駒木材さんには皮むき間伐でもお世話になりましたが、翌日には、自社の製材所の案内をしてくださいました。

<栗駒木材 大場さん>


また、さいかい産業の古川さんもペレットストーブにまつわる話を聞かせてくださったほか、夜の懇親会では、皿うどんなど自慢の手料理をふるまってくださいました。

<ペレットストーブの説明をする さいかい産業・古川正司さん>


(ツアーの内容を詳しく知りたい方は、こちらのサイトをどうぞ)

そんな2人(栗駒木材さんは会社ですが)の話がなぜ印象に残ったか・・。
それは、両者ともある意味常識はずれ。一言で言うとクレイジーだったからなんです。

しかし、私は、そんなクレイジーの中にこそ、行き詰まった今の日本を救うヒントが隠されていると確信しました。

では、一体、何がクレイジーなのか?

まずは、栗駒木材さんの話からします。
実は、今回伺ったエコラの森は、栗駒木材さんによってその命を救われました。
その経緯はこのページのstoryという項目に詳しく書かれていますが、簡単に説明します。

エコラの森では、バブルの頃リゾート開発が計画されていました。しかしバブルがはじけて計画は無くなり、債権者たちが森のお金になりそうな木を無秩序に伐採し、山は荒れ果てました。そんな山をどうにかせねばと、栗駒木材さんに買い取ってくれないかという話が来ますが、資金面での折り合いがつかず断念。
するとその後、産業廃棄物業者が、ゴミ捨て場にするためにこの森を買い取ろうとしたのだそうです。しかし、山が産廃で汚染されては、麓の自然にも影響が出ます。そこで栗駒木材さんは悩みに悩み抜いた末、8000万円銀行に借金し、この森を買い取ったんだそうです。8000万円の借金の年間の利子は栗駒木材の従業員2人分の賃金に等しかったと言います。
木が盗まれてしまった山なんてすぐにはお金になりませんから、この栗駒木材さんの行動は、ビジネスの観点から見たらクレイジー以外の何者でもありません。

しかし、捨てる神あれば拾う神ありで、身を切って森を守ろうとしている栗駒木材さんに共鳴し、田中優さんらが主催する天然住宅バンクが、無利子で8000万円を貸してあげる事になりました。
これで、地域にも2人分の雇用が生まれます。

いい話じゃないですか。
私も、おもしろおかしくクレイジーなんて言葉を使っちゃいましたけど、“いわゆる常識”にあてはめてクレイジーな行動というのは概してまともなものです。

そんな栗駒木材さんは、天然住宅が作る化学物質の無い家のための木材を供給しています。

<天然住宅が使う建材を取り扱うのがこの木材工房>


森を守りながら人に優しい建材を提供してくださる栗駒木材さんに対し、「天然住宅」では、通常のホームメーカーが1軒の家を建てる際、製材所に支払う額よりずっと多い金額を支払っているそうです。
よくある建て売りなどだと木材費はおよそ100万円程度だそうですが、そこを500万円程払っているとか。でも、森を守りつつよい建材を提供するには、それが適正価格なのだと思います。
それに、この500万円の中には木材の加工賃も含まれています。通常は釘や金属のボルトでバンバン打ち付けるところを、この天然住宅ではできるだけ伝統的な木組みの工法で作ります。釘は建築基準法で定められた最低限。
そのため、建材にはあらかじめ凸出っ張りやそれと組み合わせる凹みが切り込まれたり、穴があけられ、目印がつけられています。


この技術代としておよそ100万円分があてられているそうです。
これが、日本の伝統的な工法を守る事にも貢献しているわけです。

そのほかにも、栗駒木材さんの丁寧な仕事は随所に。
上の写真の3枚目に映っている木は、少し色が黒っぽいですが、これは木酢液に浸されたものです。
内部の構造に使う木は、こうして木酢につけて防虫効果を高めます。

<木酢液につかった木材>


こちらは、木を乾燥させているところです。


家を建ててから木が反ったり狂ったりしないように、建材は芯からじっくりと、完全に乾かしたものが良いとされます。
栗駒木材では、おもに燻煙乾燥という方法で木を乾かしていますが、これは木の繊維をこわさず、細胞のひずみも均一化でき、木の反りや狂いを防げるそうです。
また、より低い温度でじっくり乾かし完全に水分を飛ばしきる低温乾燥炉というのも建設中でした。

しかし、これらは品質の良い建材ができるものの、時間もかかればコストもかかる乾燥法です。
やはり、いいものにはちゃんとお金を払う消費者の理解が必要です。

ところで栗駒木材は、こうした木の乾燥にも、自然エネルギーを使っています。
これは、乾燥炉に熱を送っているボイラーですが、燃料は木質ペレットです。
上からぶら下がっているのがペレットの入った袋。


製材所で使うペレットも実はここ栗駒木材の中で作られています。
これがペレット製造機。製材で出た木のくずを集めて機械に入れれば、ほらこの通り。かわいいペレットに早変わりです。



こうして製材に使う熱もバイオマスでまかなわれ、CO2排出削減にも貢献しています。

そして、一通り栗駒木材の見学が終わった所で、さいかい産業古川さんのペレットストーブの説明会が行わたわけですが、今回はここまでにして、次回、古川さんの素晴らしき「クレイジー」な素顔に迫ります。

次回 「皮むき間伐ツアーin宮城栗駒 その3 クレイジーが日本を救う さいかい産業・古川正司編」に続く



菅直人の誤算? 民主党は地方の思いをすくいあげられるか

2010-07-13 18:27:20 | 国内情勢
いやあ、選挙の結果出そろった。
民主惨敗、自民改選第一党。
みーんな言ってる事だけど、今回の選挙は勝者のいない選挙。
投じた票に国民の期待というものがほとんど乗っかってない選挙だった。
では、なぜ投票するのか・・・。
私の場合は「最低限の国民の権利だから。」
この権利まで放棄してしまったら、国民はなすすべなく、日本の無気力状態は救いがたくなる気がして投票に行った。

果たしてこの結果。
民主党の議席が増えるとは思っていなかったが、自民党が50を超すとも思わなかった。
1人区で民主党がのきなみ負けていることを考えても、多分これは疲弊した地方の反乱なのだろうな。
消費税を上げられて直接的に打撃を受けるのは、疲弊した地方の所得の少ない人々だ。
コンビニやユニクロやマクドナルドの地方支店の収益は中央に集まるんだもん。
地方の富を中央が収奪する仕組みを変えない限り、地方の怨念はくすぶり続ける。

中央に集まる富を地方にももたらすドラスティックな改革をやってくれるのが民主党だと思っていたのに、その改革は進まない上、消費税を上げるとまで言い出した。地方一人区の支持が離れるのも無理は無い。

前回衆院選で小沢一郎がくまなく地方を廻り、元自民党支持層を根こそぎかっさらった結果が政権交代だ。疲弊した地方が期待をかけたのが、民主党による中央と地方の富の偏差をただす再分配だったのに、今回の選挙戦での菅さんの主張は、まるでそれを覆すかのようなものだったのだから。

皮肉なものだ。

以前より厳しいとはいえ、まだしがみつく既得権のある「中央」のマスメディアは、いつの間にか消費税を選挙の争点にしてあおり立てた。もちろん、普天間問題を争点にしたくない民主党の思惑もあったろうが、消費税の議論なんて今の地方経済の厳しさを考えれば、議論の優先順位は第一位じゃないはずだ。なのにいつのまにやら、財政赤字削減は急務みたいな話になってしまった。地方の人は本来ならば、地方の景気対策を先にやってくれと叫んで、それをやってくれそうな議員や党に投票すべき時なのに、消費税報道の盛り上がりに乗せられて、消費税を上げるか否かが最も重要な問題のように錯覚してしまった。
消費税を上げるって言ったって、それ次の衆院選の3年後以降でしょ。そんなの今最大の争点にしてどうすんの?3年後景気が変わってば空気も変わる。

財政赤字をはやく減らしたい財務省にメディアも民主党も乗せられたとしか思えない。
地方の人が「今」訴えるべき、考えるべきは、地方経済の復活のための処方箋なのになあ・・・。
結果、消費税報道にのせられて、それが大事だと錯覚し、貧乏くじ引かされるのは、地方の人であり、国民なんだよね。ホンッと皮肉皮肉。

それにそもそも地方の時代って言ってたのって、民主党なのにさ。

テレビだって新聞だって広告収入は減ってきて、安泰とは言えないけれど、それでも地方に比べれば、まだまだいい思いをしている。通信と放送についての制度を変えようとする、つまり既得権益への新たな参入を認める民主党の方針を骨抜きにしようとする動きは確実にあって、今、自民党の議席が増える事にほくそ笑んでいる人たちがいるというのに、そうした規制緩和や改革には誰も注目しない。そしてそんなメディアから流される報道に地方の人はだまされる。
だまされるという言い方は人聞きが悪いかもしれない。別にメディアの人々は、意識的にだまそうなんて思っていない。善意で、今、消費税増税問題が重要な争点だ、もしくは、こんなときに消費税を争点に持ち出す菅さんはアホだ、と思ってまじめに報じている。でも、そうまじめに思ってしまうのも、彼らが多分、地方がどれだけ疲弊しているかが実感として分かっていないからだと思うのだ。明日の資金繰りに冷や汗流す生活が、生活費にも事欠く生活が、高給取りのサラリーマンに本当に実感として分かるのだろうか?(わかるのだったらすいません)

菅直人首相は、現実をしっかり見るべきだ。
鳩山小沢退陣後、小沢はずしで一時的に支持率が急上昇した事に浮かれ、突然、消費税の話を持ち出した。
勝負勘がなさすぎる。つうか、日本の現状認識が甘すぎる。
菅直人って、俺は現実路線を行くってことが、口に出さずともオヤジ臭のごとくに滲み出してるのだが、
もともと市川房枝さんのところから出てきたということで、左翼扱いされることを極度に恐れて、こんな訳の分かんない状況になっているように思える。

私は、今や、地方のあり方を見直す事でしか日本の再生はないと思っている。そして、民主党のもともとのマニフェストには、その可能性があると思って期待していた。なのに今、こんな状況。小沢一郎を嫌う若い議員たちが、どこまで本気で日本の地方をどうにかしようとしているか。そこができなかったら、いくら「小沢独裁」を排除したところで、彼らのいい分は都会のエリートさんの言うことよと簡単にいなされてしまうのではないだろうか。

今後の政権党は、単なる都市型政党ではなりたたない。
しかし、一方で地方の住民も、もう少し、個として考える事も必要だと思う。よらば大樹の陰ではない生き方は、地方にこそ早急に求められている気がする。

ところで、鳩山前首相が小沢一郎を道連れに辞任した時、次は菅直人だなと思って、本棚に眠っていた菅直人著「日本大転換」と小沢一郎著「日本改造計画」を引っ張り出して、あらためて前書きを見比べてみた。

1990年代に書かれたこの2つの本。
前書きと目次だけでも、今比べるとちょっと面白いので、開いてみてはいかがでしょうか。
と思ったら「日本大転換」アマゾンにも中古しか無いわ。イメージも張られてない・・・。

日本 大転換―二十一世紀へ希望を手渡すために
菅 直人
光文社

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日本改造計画
小沢 一郎
講談社

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7月12日(月)のつぶやき

2010-07-13 01:12:14 | ツイッターつぶやき
00:48 from web
敵を欺くための作戦と信じたい。そうでなければバカかなあ。RT @tezukakaz 菅総理はバカか?ギリシャは消費税上げて、法人税下げて今の危機に陥ったのに!?まだ「日本をギリシャのようにしない」と繰り返している!?
00:48 from web
あっ、神保さんが質問してる。首相会見。
01:24 from web
わ~、選挙特番で小泉信二郎が自民の人気を引っ張ったとか持ち上げてる。みんな何度だまされたら気が済むんだあ。ちょっと日本は終わりかと思う。でもそう思ってばかりもいられない。
01:26 from web
大島理森とかに、小泉信二郎は日本を背負う政治家になるとか言われたくないよ。これは電波ジャックの一種か・・・
02:30 from web
日本が沈没国家になりそうという危惧を国民は抱いているって、それをじょちょうしているのってマスコミじゃんね。その中の人がよく言うわ。
07:50 from web (Re: @kutiwa
@kutiwa おめでとうメール送っときました。すぐに返信が来る律儀さ。それが当選の一つの理由でもあるのでしょうね。
16:25 from web
ブログ更新しました。「菅直人の誤算?民主党は地方の思いをすくいあげられるか?」 http://bit.ly/chDnOz あんまり選挙報道をチェックしてなかった今回の選挙。このところニュースから遠く離れて・・といった感じの日常から感じた、今回選挙の感想です。
16:30 from web (Re: @kutiwa
@kutiwa 大野さんの事務所どこでしたっけ?
16:31 from web (Re: @kutiwa
@kutiwa そりゃ埼玉ですわな・・・。
16:34 from web (Re: @ggltv
@ggltv フォローしました。しかし、すいません、私、退職金の無い身なんです。棚ぼた的収入に頼らない人生を模索中。
18:40 from Twitter for iPhone
なんだか空が高い。夏の空になって来た。ビール飲みて~。梅雨の晴れ間?それともそろそろ梅雨明け?
18:57 from Twitter for iPhone
夕刊フジ見出し。菅、余命 60日。鳩山小沢退陣の時は持ち上げといて、ひでーな。
20:25 from web
もう一度つぶやいとこ。ブログに書きました。「菅直人の誤算?民主党は地方の思いをすくいあげられるか?」 http://bit.ly/chDnOz 
23:12 from web
ブログで「がん」についての話を書き始めました。ブログ更新「これからの『がん』の話をしよう その1~なぜ書き始めるのか」http://blog.goo.ne.jp/ebisu67/ 私自身の「切らない乳がん体験」をもとにしています。今回はプロローグ。少しずつ書いていきます。
23:18 from web
渡辺喜美「みんなの党」ちょい悪揃いでイヤだー!眼鏡がオシャレ系、ストライプのシャツがパリッとしている。選挙カーの上ではノーネクタイでボタンを3つ開けている。でも、実は汗をやたらかいている。
23:32 from web
ゆうちょ銀行ATM不具合。以下はブログの過去(5月)の記事なんだけど、この時たしか郵便局の人は、自分がゆうちょ口座(カード)持ってないとATMから送金できないと言ってたはずだが。他行カードも使えるってこと?謎だ「ゆうちょ銀行大丈夫か?!」http://bit.ly/a0xEE9
by yurys on Twitter

これからの「がん」の話をしよう その1 ~なぜ書き始めるのか~

2010-07-12 22:56:28 | ガン
<今日から始める「乳がん」の話>

今日、7月12日は私の誕生日。
忘れないように誕生日の今日、乳がんの定期検診を入れていた。
2004年の6月に乳がんのしこりを左胸に発見してからもう7年目になる。超音波検査の結果は異常なし。またほっと胸を撫で下ろした。通常のがんは5年で治癒と言われるが、乳がんでは10年だ。あと4年は検診に通う。

組織で働くことを辞めて、これからは一人でやって行くと決めてから初めての誕生日を機に、このブログ上で、自らのガン体験を書き始めることにした。
かつて治療中にも断片的にブログを書いていて、そっちのブログもあるが(今は更新していない)、6年が経ち、より冷静になって、自分の体験だけでなく、現在の社会におけるがんの受け止められ方などについても考えていきたいと思った。
そして、この日を機に、いま一度新たに始めることにした。

私の書く事が全ての乳がん患者さんの役に立つとは思っていない。むしろ役に立たない事のほうが多いかもしれない。
というのも、私のケースはある意味特殊だし、ある意味常識はずれであるからだ(なぜ特殊かは後で説明します)。また、転移や再発のケースについては、取材者の立場でしか伝える事ができない。

しかし、それでもやはり乳がんについて書いておこうと思うのは、私の特殊な体験でも、誰かの役には立つかもしれないと思うからだ。例えば、今、乳がんの宣告を受け、これから治療方法を決めようとしている人や、乳がんかもしれないと不安に怯えている人。そうした人たちになら、幾ばくか役に立つかもしれないと思ったのだ。

また、私は自らががんを体験する事で、現在の「がん」というものに対する世間の認識やメディアのとりあげ方が、いかに偏見に満ち、先入観に捕われているか、また、それが患者を不安に陥れているということを実感した。
そうした「がんに対する認識」から少しずつでも偏見や先入観を減らして行くことで、がん患者が少しでも平穏な気持ちで過ごせたらと思うのだ。

さっき、私のケースは特殊だと書いたが、私が選んだ治療法というのは、私が治療を開始した04年秋の時点で、乳がん治療においては、まだ全国で60人程しか臨床例のない新しい方法だった。
 
その治療法とは、放射線治療である。
通常の外科手術の後に予防的に行う放射線治療とは放射線の当て方が本質的に異なる治療法で、放射線のピンポイント照射という。簡単に言えば、がんの腫瘍だけにピンポイントで放射線を当てて腫瘍を殺すものだ。乳がん以外の例えば肺がんなどではすでに標準治療となっている。しかし、その方法を乳がんに適用した人数は、当時全国でまだ60人程だったのだ。

しかし、6年経った今、私の左胸のしこりは消え、再発転移はしていない。
そして、私は当然の事ながら乳房をまったく切っていない。
さらに、乳がん治療の手術後によく行われるホルモン剤の服用も全くやっていない。

もちろんこうして治療が成功しているのも(まだ10年経っていないから成功と言えるかどうかはわからないが)、私の乳がんが粘液がんといわれる比較的転移しづらく、予後が良いとされている優しい顔つきのがんだったからかもしれない。リンパ節にも転移はなかった。しかし、発見した時の腫瘍の大きさはすでに2、5~3cm。これは、医学用語でいう病期でいえば、a期という段階だった。

そして、そんな私の乳がんも、最初に行った大学病院では左乳房全摘出と宣告されていたのだ(放射線科は3軒目にいきました)。2、5cmで今時全摘出?と思われるかもしれないが、しこりが乳腺の集まる乳首に近く、場所が悪いという説明だった。

私はその後、セカンドオピニオン、サードオピニオンと凝りもせず、5つのがん専門病院と大学病院を廻った。東洋医学の先生の話も聞いたし、全摘出した場合の再建手術の先生にも会った。

治療法を決定するまでにかかった時間はおよそ3ヶ月。

がんについてほとんど何も知らない当初の私だったら、転移が怖くて、治療を始めるまでに3ヶ月もかけるなんて考えられなかっただろう。しかし、治療法を探してがんを学んで行くうちに、そこに時間をかけていいか急ぐべきかは、その人それぞれのがんの性質によって異なることが分かってきた。私の場合は、乳房全摘出を勧めた最初の病院の医師も、2ヶ月までなら大丈夫と言っていた(なのに3ヶ月かよと突っ込まれそうだが、それは自分の体ですからそれこそ自己責任である)。

私の非常識は治療法を決めるまでの時間だけではない。

その3ヶ月間で廻った5つの大病院の診療科のうち、最終的に選んだ放射線科以外は全て乳腺外科だったのだが、その乳腺外科4つのうち3つで全摘出および再建手術を勧められ、残りの一つは、部分摘出でも可能だが、手術で開いてみて急遽全摘出にする可能性もあるとの判断だった。
普通に考えたら、1対4で全摘出の勝ちだろう。
乳腺外科の医師たちは、ことごとく「あなたのがんのタイプには放射線はあまり効果がないと思う」と語り、さらに、親戚の看護士経験者も4つの乳腺外科の判断に軍配を上げた。私自身も一時期はほとんど全摘出をする心構えをしていた。
しかし、最後の最後で大逆転、思い直し、1の方の全国でまだ60人程しかやったことのない治療に踏み出した。
それは単に乳房を切りたくないという理由だけではない。多分こっちのほうが、再発転移無く元気に生きて行けるはずだという自分なりの合理的な判断の結果なのだ。
それが、3ヶ月間、物理的にも精神的にも流浪を経て、得た自分なりの答えだった。

がんというものは、同じ乳がんといっても、人によってその顔つきがそれぞれ異なる。医学的なデータについては、一概に私のパターンを誰にでも当てはめる事はできない。
しかし、こうした治療法を決める上での心の動き、なぜそちらを選んだのか、どういう判断基準でそうしたのか、その時一体何を考えていたのかというプロセスの中には、参考にしていただけるものがあるかもしれない。

実は私の母も、その後(2007年に)私と同じ2~3cmほどの大きさの粘液がんが発覚した。しかし私とはまた違う治療法を選んだ。
腫瘍の廻り1~2cmほどの大きさでくり抜いてもらう部分摘出手術。治療はそれだけだ。
胸にはちいさな赤い跡があるだけで、乳がんの手術跡だと言われなければわからない。そして、抗がん剤も放射線もホルモン剤もなにもやっていない。ホルモン剤は医師からどちらでもいいですよと言われ、最初は錠剤を飲んでみたのだが、体調が悪くなるので、すぐにやめた。

母も乳がんが見つかった当初は狼狽えていたが、私の体験をもとにしつつ、それを母に合ったバージョンに解釈し直し、その後新しく改訂された情報も考慮しつつこの治療法を決めていくうちに落ち着いていった。
治療後の今では、乳がんよりも、持病の高血圧の方が圧倒的に心配だ。

というわけで、次回以降は、まず私の乳がん発見から治療法探しの体験をより具体的に語ってゆきたいと思います。

もし、質問などがあれば、コメント欄に書き込んでください。公開したくない場合は、プロフィール欄のメールアドレス yurys@goo.jpまで。
質問には、分かる範囲でお答えします。医学的な情報については医師ではないので、一般論もしくは参考情報となる場合もあると思います。

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学
マイケル・サンデル,Michael J. Sandel
早川書房

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