橋本治とナンシー関のいない世界で

「上野駅から夜汽車に乗って」改題
とうとう橋本治までなくなってしまった。
平成終わりの年にさらに改題してリスタート。

菅直人の誤算? 民主党は地方の思いをすくいあげられるか

2010-07-13 18:27:20 | 国内情勢
いやあ、選挙の結果出そろった。
民主惨敗、自民改選第一党。
みーんな言ってる事だけど、今回の選挙は勝者のいない選挙。
投じた票に国民の期待というものがほとんど乗っかってない選挙だった。
では、なぜ投票するのか・・・。
私の場合は「最低限の国民の権利だから。」
この権利まで放棄してしまったら、国民はなすすべなく、日本の無気力状態は救いがたくなる気がして投票に行った。

果たしてこの結果。
民主党の議席が増えるとは思っていなかったが、自民党が50を超すとも思わなかった。
1人区で民主党がのきなみ負けていることを考えても、多分これは疲弊した地方の反乱なのだろうな。
消費税を上げられて直接的に打撃を受けるのは、疲弊した地方の所得の少ない人々だ。
コンビニやユニクロやマクドナルドの地方支店の収益は中央に集まるんだもん。
地方の富を中央が収奪する仕組みを変えない限り、地方の怨念はくすぶり続ける。

中央に集まる富を地方にももたらすドラスティックな改革をやってくれるのが民主党だと思っていたのに、その改革は進まない上、消費税を上げるとまで言い出した。地方一人区の支持が離れるのも無理は無い。

前回衆院選で小沢一郎がくまなく地方を廻り、元自民党支持層を根こそぎかっさらった結果が政権交代だ。疲弊した地方が期待をかけたのが、民主党による中央と地方の富の偏差をただす再分配だったのに、今回の選挙戦での菅さんの主張は、まるでそれを覆すかのようなものだったのだから。

皮肉なものだ。

以前より厳しいとはいえ、まだしがみつく既得権のある「中央」のマスメディアは、いつの間にか消費税を選挙の争点にしてあおり立てた。もちろん、普天間問題を争点にしたくない民主党の思惑もあったろうが、消費税の議論なんて今の地方経済の厳しさを考えれば、議論の優先順位は第一位じゃないはずだ。なのにいつのまにやら、財政赤字削減は急務みたいな話になってしまった。地方の人は本来ならば、地方の景気対策を先にやってくれと叫んで、それをやってくれそうな議員や党に投票すべき時なのに、消費税報道の盛り上がりに乗せられて、消費税を上げるか否かが最も重要な問題のように錯覚してしまった。
消費税を上げるって言ったって、それ次の衆院選の3年後以降でしょ。そんなの今最大の争点にしてどうすんの?3年後景気が変わってば空気も変わる。

財政赤字をはやく減らしたい財務省にメディアも民主党も乗せられたとしか思えない。
地方の人が「今」訴えるべき、考えるべきは、地方経済の復活のための処方箋なのになあ・・・。
結果、消費税報道にのせられて、それが大事だと錯覚し、貧乏くじ引かされるのは、地方の人であり、国民なんだよね。ホンッと皮肉皮肉。

それにそもそも地方の時代って言ってたのって、民主党なのにさ。

テレビだって新聞だって広告収入は減ってきて、安泰とは言えないけれど、それでも地方に比べれば、まだまだいい思いをしている。通信と放送についての制度を変えようとする、つまり既得権益への新たな参入を認める民主党の方針を骨抜きにしようとする動きは確実にあって、今、自民党の議席が増える事にほくそ笑んでいる人たちがいるというのに、そうした規制緩和や改革には誰も注目しない。そしてそんなメディアから流される報道に地方の人はだまされる。
だまされるという言い方は人聞きが悪いかもしれない。別にメディアの人々は、意識的にだまそうなんて思っていない。善意で、今、消費税増税問題が重要な争点だ、もしくは、こんなときに消費税を争点に持ち出す菅さんはアホだ、と思ってまじめに報じている。でも、そうまじめに思ってしまうのも、彼らが多分、地方がどれだけ疲弊しているかが実感として分かっていないからだと思うのだ。明日の資金繰りに冷や汗流す生活が、生活費にも事欠く生活が、高給取りのサラリーマンに本当に実感として分かるのだろうか?(わかるのだったらすいません)

菅直人首相は、現実をしっかり見るべきだ。
鳩山小沢退陣後、小沢はずしで一時的に支持率が急上昇した事に浮かれ、突然、消費税の話を持ち出した。
勝負勘がなさすぎる。つうか、日本の現状認識が甘すぎる。
菅直人って、俺は現実路線を行くってことが、口に出さずともオヤジ臭のごとくに滲み出してるのだが、
もともと市川房枝さんのところから出てきたということで、左翼扱いされることを極度に恐れて、こんな訳の分かんない状況になっているように思える。

私は、今や、地方のあり方を見直す事でしか日本の再生はないと思っている。そして、民主党のもともとのマニフェストには、その可能性があると思って期待していた。なのに今、こんな状況。小沢一郎を嫌う若い議員たちが、どこまで本気で日本の地方をどうにかしようとしているか。そこができなかったら、いくら「小沢独裁」を排除したところで、彼らのいい分は都会のエリートさんの言うことよと簡単にいなされてしまうのではないだろうか。

今後の政権党は、単なる都市型政党ではなりたたない。
しかし、一方で地方の住民も、もう少し、個として考える事も必要だと思う。よらば大樹の陰ではない生き方は、地方にこそ早急に求められている気がする。

ところで、鳩山前首相が小沢一郎を道連れに辞任した時、次は菅直人だなと思って、本棚に眠っていた菅直人著「日本大転換」と小沢一郎著「日本改造計画」を引っ張り出して、あらためて前書きを見比べてみた。

1990年代に書かれたこの2つの本。
前書きと目次だけでも、今比べるとちょっと面白いので、開いてみてはいかがでしょうか。
と思ったら「日本大転換」アマゾンにも中古しか無いわ。イメージも張られてない・・・。

日本 大転換―二十一世紀へ希望を手渡すために
菅 直人
光文社

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日本改造計画
小沢 一郎
講談社

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