橋本治とナンシー関のいない世界で

「上野駅から夜汽車に乗って」改題
とうとう橋本治までなくなってしまった。
平成終わりの年にさらに改題してリスタート。

美容形成外科医の娘誘拐事件報道

2006-06-28 10:50:51 | Weblog
大金持ちの美容形成外科医の娘の女子大生が誘拐され、救出された。
速報は火曜日の深夜2時頃(テレビ的には月曜26時)。
スタジオではアナウンサーがまじめ顔でニュースを伝えているのに、VTRでは、被害者が自宅の車庫の高級外車を披露している映像や、その外車にリポーターといっしょに乗って、2200万円という車の値段に驚くリポーターに対し、「車だから2200万円て普通ですよねえ」みたいなことをのたまってる映像が延々流れた。
この女医さんは、今はやりのセレブとしてこれまで多数のワイドショーやバラエティに出演していたため
ニュース番組で、これらのVTRが被害者の映像として使用されたのだ。
これじゃあまるで、お前らが金持ち自慢してるから誘拐なんてされるんだよといわんばかりだ。というか、そんなつもりなくてもそう見えてしまう。
テレビのニュースっていうのは、事件が起こった時に、その当事者の映像を自局が持っているかに、その報道の分量が大きく左右される。今回、被害者の側の映像を各局ほとんど持っていたということは驚きだが、速報ニュースを報じる担当者としては、そういえばうちの局の番組にも出てたじゃないか、あれ使え、まさに金持ちを誇示する内容だったんだから、ぴったりじゃん、とでも思ったのだろう。確かにそうだけど、純粋なニュースの中で、今救助されたばかりの被害者がフェラーリ自慢してるところを流すのに違和感感じなかったのだろうか。

たしかに、セレブ自慢番組に出る方も出る方、自業自得という見方もある。視聴者の多くは絶対そう思ってるに違いない。私だってそう思った。でも、でもだ、こうした今回のニュースのVTRは、これまでセレブ紹介番組など見たことも無い人にまで、被害者の金持ちぶりを伝え、彼らに自業自得という感情を起こさせただろう。これまで誘拐の被害者がどんなに金持ちかを延々報じた誘拐報道があっただろうか。ニュースは淡々と事件の事実のみを伝えるべきではないのか。
テレビを見ながら、「自分ばかり金儲けやがって」という世の中のやっかみが透けて見えるようで、気持ち悪かった。
なかには、こうした番組を病院の宣伝につかっていた部分もあったんでしょうねというちょっと皮肉なコメントや、その女医の手術の手法には賛否両論あったとか、誘拐とは関係ないコメントまで飛び出していて、女医とその娘が被害者なんだか加害者なんだかわからなくなってしまった。もし、仮に彼女の商売の仕方に問題があったとして、それを糾弾したい気持ちが世の中に充満してたとしても、それは、この誘拐報道に乗じてやることではないのではないか(もちろんこうしたコメントはほんの一部でしかなかったが)。逆に、美容ジャーナリストみたいな人が出てきて、「被害者の女医さんはかなり有名で人気がある方」というような持ち上げコメントを使っているVTRがあったが、そのコメント必要か?なんも考えずとりあえず撮ってきただろという感じだった。

セレブ紹介番組が視聴率を稼げるからと、そういう企画を頻繁にやってたのはテレビ局のほうだ。ほぼ全局がこの女医母子の映像を持っていたことがそれを表している。テレビがそういう企画を放送しなければ、彼女らも出演することもなかった。
出演する方も出演する方だが、出す方も出す方というふうには考えなかったのだろうか。
そう考えたら、セレブ番組の映像をニュースに多用することに躊躇を感じる気がするのだが。
犯人はテレビを見て犯行を思いついたという報道がされ、こうしたセレブ映像の多用が、自己矛盾をおこして、結果自己批判になってしまっていることにテレビは気づいているのだろうか。

だからといって、こういうお金持ち紹介番組をまったく無くせというつもりは無い。
昔から社長のお宅訪問という企画はあった。けれど最近の金持ち紹介番組には違和感を感じ得ないものが多い。
昔の番組の作りは嫌みがなかった気がする。しゃれになってた。
昔はセレブというより豪快社長列伝みたいなガハハ系がほとんどだったからだろうか。
今は、どこかに制作者のしゃれのない悪意が感じられるものが多い気がする。「セレブのお母様のご趣味は、フランス料理を作ることでいらっしゃるとか。」「お嬢様がお召しになっているお洋服は、なんとオートクチュール」といったような慇懃なナレーションの言い回しは、彼らのライフスタイルをたたえるフリをしながら、テレビ画面のむこう側という檻の中にいる動物園の動物を見るような視線ではないのか(この部分では昔のガハハ系もそうかもしれないが)。彼らの人間性はセレブ(金がある)という一言に集約されてしまって、その他の部分は、先入観に基づいた予定調和なお涙が添付される程度。ああいう番組の作りにやっかみの裏返しみたいな嫌らしい慇懃無礼さを感じるのは私だけなのだろうか?

多分、頑張って働いた結果の「お金持ち」という敬意の視点は今のセレブ紹介には無い。結果としてのお金持ち状態にしか興味は無いように見える。昔も今も、見る側は当然、お金持ち生活を興味本位で見るというのは変わらない。けれど制作者側の制作意図にも全く矜持が無くなって、見たいものだけ見せればいいじゃん、金持ち状態だけみせればいいじゃないってことになっている。それって下品って言わないか?
こうした下品は、ライブドアや村上ファンドやその他のまだ表面に出てきていないもろもろの同種の方々のお金のもうけ方にも繋がるものがある気がする。

世の中が先かテレビが先か、いやセレブと言い出したのは雑誌だという声もあるが、品のない身もふたもない世の中にしてるのは誰だ。
今回の誘拐はある意味そんな状態への警鐘のような気さえした。

福井日銀総裁は辞任するか?

2006-06-26 22:28:56 | Weblog
さかんに報道される世論調査の結果は、ほぼ「福井総裁は辞任すべき」というものだ。
こういうところでけじめをつけておかないと、世の中はずるずるになってしまうのだろうから、やはり福井さんは辞めるべきなんだろう。

しかし、政府や財界人はそろって彼を擁護する。責任を全うしてほしいという。
聞くところによると、彼はかなり能力がある人らしい。2年ほど前、英国の経済専門誌エコノミストに、ともするとグリーンスパンよりもやり手と評されたこともある。
確かに、会見のしゃべりを聞いていても、エラい人にありがちな、意味不明あいまいな表現が比較的少ない。
話は明快で分かりやすい。地頭がいい人なのだろうなあと思う。
本当に能力のある人なのだろう。
そして自分でもそう思っている。

だからこそ、福井さんは自らも総裁の椅子にこだわり、なかなか辞意を表明しないのだ、多分。
3月に量的緩和を解除し、7月にはゼロ金利を解除するはずだった。アメリカの利上げとタイミングを計って、薄氷の上を歩くように用心深く世界経済のバランスを保ちつつ日本をデフレから脱出させる。
そんなとても難しい、職人技ともいえる経済政策を是非とも自分の手で成し遂げたかったんだと思う。
できる人なら、ぜひとも挑戦したいだろう。

でも、それをやりたいのなら、もっと脇を締めておくべきだった。
内規にしたがっている程度で良しとせず、世界中の誰が見ても文句を言えないくらい身ぎれいにしておくべきだった。
やりがいのある仕事をまかされ、高い報酬をもらい、名誉も得るとはそういうことだ。
そういうことに鈍感になるのは、エリートの奢りだ。

ノーブレスオブリージュという言葉を今の日本は忘れてないか。
エリートのみなさん。



日本サッカーも日本経済も

2006-06-24 10:56:04 | Weblog
ワールドカップで日本が負けたことは
日本の今の状況に似ている気がする。

ある意味、負けても良かったと思う。
あの1点をとったという、未来への可能性はしっかりつかんで、
現実の実力を見つめ直せばいい。
4年前より強くなってるはずという思いだけがバブルになってた。

話は変わるが、今の日本の経済も、
いざなぎ景気以来の長期上昇傾向らしいが、
そんな実感はないし、多分一部都会だけ、株価だけみたいなミニバブり。

サッカーも経済も、1点という可能性を見つめて
足下を見れば良いのではないか。

耐震偽装捜査終了らしい。

2006-06-23 06:16:10 | Weblog
姉歯被告が今度は偽証罪に問われた。
1996年から偽装に手を染めていたにもかかわらず、国会で「98年が最初で、木村建設の篠原東京支店長に鉄筋減らせと圧力をかけられてやった」と証言していたからだ。96年の物件に木村建設は関わっていない。
これで耐震偽装の捜査はほぼ終了する見込みだという。

報道ステーションの古館伊知郎は、「姉歯一人悪者にして、業者と政界のつながりは手つかずで、住民の保証建て替えは進んでない」と憤っていたが、なんでここに「業者ぐるみの詐欺の立件ができないんだ!」という、古館伊知郎自身がいつも強調していた項目が入ってないのかと突っ込みたくなった。検察が立件を目指すといえばそれに乗っかり、もう無理だと言ったら、なかったことになっちゃうのだろうか。

私がこんなことに憤っているのは、ヒューザー、木村、総研、姉歯がグルとなった詐欺の立件は無理ではないかとずっと思っていて、グル詐欺を立証するすると言い続けている報道に違和感を感じていたからだ。

話はちょっとさかのぼる。

以前、耐震偽装の取材をしていたとき、中山構造設計という会社を取材した(結局ファクスのやりとりしかできなかったが)。
この会社は、かつてかの総合経営研究所の仕事を請け負っていた。総研の平河町にある本社ビルの構造設計はここが手がけている。もちろんその関係で木村建設の仕事もやっていた。しかし、この会社は技術力が高いという理由で、納期も遅く、料金も高かったらしい。それでかどうかはわからないが、木村建設と総研はこの中山構造設計から離れてゆく。その後木村建設がであったのが姉歯だった。
中山構造設計は、私の取材当時、木村建設の物件を手がけていたことで、偽装を疑われていた。
国交省がマスコミに対して出した書類がきっかけだった。その書類は、木村建設が施行した物件の一覧とその鉄筋量、そしてそれを設計した構造設計会社の名前が書かれたものだった。当然構造設計会社の名前は黒塗りになっていて非公開。しかし、そこには姉歯物件と同等かそれより少ない鉄筋量のものがいくつもあったため、第2の姉歯だ!とばかり黒塗りに消された犯人探しが始まったのである。
多分ここらへんの経緯は皆さんご存知だろう。

この数日前、総研の内河所長が偽装を否定した会見で、「以前は中山構造というところがやっていた」と言っていたのを憶えてたので、これは、黒塗りの下の犯人は中山構造かもしれないと思い、すぐ中山構造設計と連絡をとった。(ほかのメディアや社会部はどのように情報を得たのかは知らないが、皆、前後して中山に連絡をとっていた)
帰ってきた答えは、当然のごとく事務所の受付の女性からの否定の言葉。直接の取材は受けないとのことで、偽装否定の根拠を示す丁寧な(かなりお怒りの)設計解説も含む書面がファックスで送られてきた。
そこに書いてあったことは、私流の解釈で平易に言えば、<うちの会社は姉歯のような3流と違って高度な技術で構造設計しているため、鉄筋量が少なくても、耐震基準を満たした建物が設計できる。そんな技術が存在する。そもそも1?あたりの鉄筋量だけで耐震性が判断できると思う方がおかしい。建物の素材や配筋の仕方、窓の大きさや位置、さらにはその建物が建っている地盤の強さなどその他にも諸々の条件が重なって耐震性というのは決まるのだ。>というようなものだった。
私はなんとなく納得した。そりゃそういうこともあるかもしれない。これまで1?あたりの鉄筋量という基準だけでワーワー騒いできたが、それって国交相の情報を鵜呑みにしてたのと、一部の専門家という人の意見に頼ってただけでしかなかったからだ。現に私が取材した専門家の人は、例の総研の四カ所というひとの鉄筋量を指示したメモ(いわゆる四カ所メモ)を見て、これだけの情報量では判断できませんねと言っていたのだ。

「こりゃあ、あんまり簡単に、鉄筋量だけで、関係者を犯人扱いできないなあ」
そんな私の思いをよそに、鉄筋量の議論はいつのまにかどこかへゆき、中山構造設計はそれ以上責められることも無く(反対に疑いは晴れましたと言ってもらうことも無く)ただただ、<総研、木村、ヒューザーは故意に鉄筋を減らすよう指示し、姉歯とみんなでグルになって偽装詐欺を行ったという容疑でなんとか立件する>という方向にだけものごとは動き始めたのだ。
以降、自分の予測と多くの報道との間に溝が出来始めた。

私がこうした疑念を抱くようになったきっかけは、中山構造設計のファックスだけではない。
国交相からこの書類が出されるちょっと前、ある構造設計の会社のHPの書き込みを読んでいた。
(有)横井調査設計という構造とはいっても地盤や基礎の安全調査などが専門の会社のHPだ。
http://www.geo-yokoi.co.jp/
耐震偽装だけでなくいろんな時事問題についての評論を書いている、会社のHPというよりそっちがメインといっても良いくらいのボリュームで、論調も辛辣。最初はちょっとヤバメかなと思ったのだが、耐震偽装についての記述はさすが専門でもあってかなり論理的で納得させられた。
そこには、マスコミや検察が構造設計の内容や建築士の世界の現実を知らないままで取材や捜査をしているため、いろんなことを見誤っているという指摘がこれでもかというほど書かれていた。
その内容は、長くなるので後で一読されることを勧めるが、結論を簡単に言うと「もっと経済設計できないかという圧力はあったにせよ、誰も耐震強度が基準値を切るとわかってて鉄筋減らせ等とは言っておらず、姉歯が勝手にやったというのが真相ではないか。ぐるみの詐欺は立証できないだろう」というような内容だった。

構造に詳しい横井調査設計のHPと中山構造設計の解説書類。彼らが絶対的に正しいと断言は出来ないが、構造設計についての知識という点においては私なんかの数万倍、他のマスコミだって同じようなものだろうから、彼らの論を無視する理由は無いはずだ。

そしてその後、一部のメディアでこんな報道があった。
「木村建設の篠塚元支店長が、姉歯にはじめて仕事を発注する際、参考にするべき(経済設計された)構造設計図を渡し、このくらいでやってくれと指示したが、姉歯にはそうした設計をやるだけの技術力がなかったとみられる」というものだ。
この参考にすべき設計図というのがどこのものかは分からないが、姉歯への発注直前くらいまで中山構造に設計を発注していたのだから、中山構造の設計図である可能性は高い。

そう考えると、こうした構図が見えてくる。構造設計に明るくない施工業者(木村)が、参考見本があれば姉歯にも同様の経済設計できるだろうと勝手に思い込み、それを強要した。できなくても断れない姉歯は、適当に表面的数値だけ辻褄合わせ、検査に出したらなぜか通ってしまい、味をしめたというものだ。
ヒューザーは構造なんて気にも留めてなかったに違いない。ディベロッパーのコスト鉄筋代なんて微々たるものなのだ。
総研は、四カ所メモにもあるように鉄筋量削減にはこだわっていたようである。ただ、中山構造の技術が前提にあるのだとしたら、あの鉄筋量の強要は一概に法を犯すことを強要したとも言えない。もちろんその辺全て分かった上での確信犯という可能性がないわけではないが。

実はこうした見方は、月刊現代5月号(講談社)やサンデープロジェクト(テレビ朝日)でジャーナリストの魚住昭氏が自らの取材により発表している。
もやもやを抱えていた私は月刊現代で魚住氏の書いたルポを読み、やはりそうなのかとの思いを強くしたが、その他のメディアでこの説をとり上げたところはなかった。

その後、私自身も構造設計専門の事務所や構造設計が専門の大学教授などに取材した。
そして、耐震強度の計算方法、耐震基準1.0というのは、数種類ある計算方法どれをとるかで違ってくるということを理解。(ちなみに姉歯物件の計算は水平保有体力という方法で、その場所の地盤の強度の違い等は考慮しない。高度な方法というのはその辺も考慮する。つまり耐震強度1.0というのは万能ではないのだ。)
さらに、確信を強めた。

しかし、自分の考えが確信に変わってくるのに反して、耐震偽装に関する報道は少なくなって行った。
結局、当初のシナリオ通りの立件ができないという可能性が強まると、もうどうでもいいといわんばかりである。

当初のシナリオ・・・。その根拠はどこにあったのだろう。
『面白さ』『大衆受けする』。小嶋や内河の悪人顔とキャラ濃さがあだとなった。
何か見えないものに引きずられ、事件の解明に当たっていちいち疑問をもつことをマスコミは忘れていたと思う。

例えば鉄筋量が1?あたり60kg以下だとダメだというのはそもそも誰が言い始めたのだろう。
計算方法によっては、耐震基準を満たすこともありますということが、なぜ事件発覚した初期の頃に流布されなかったのだろう。

マスコミの勉強不足だけでなく、国交省がそういったレクチャーをしなかったことも大きな問題のひとつだろう。
意図的なのか、国交省もその辺の知識が不足していたのか?

最初の方で挙げた、木村建設の施行物件一覧の公開にしても、国交省の行動は不可解だ。
鉄筋量の少ない物件が他にもある事実を公表した真意はなんなのだろう?それが耐震強度を満たしているのなら、わざわざ発表することはないはずだ。その後これらの物件に偽装発覚という発表がないところを見ると、中山構造の主張は正しかったのだろう。
国交相になんらかの腹黒い意図が無いとしたら、この書類の公表の意味は、最先端の構造設計を今ひとつ理解していない国交省の担当者が、ほかにも危ない物件があると思い込み、これははやく世の中に知らせねば!とあわてて発表したとしか考えられない。

「国交省の役人さえ、構造設計というものには精通していない。ましてや地方の建築主事などひどいものだ。」
こうした話は構造の専門家の間では定説であるそうだ。ある取材の中で聞いたことだが、小さいが実力のある構造設計の事務所がある地方の物件の構造設計を請け負った時、確認検査で、こちらの高度な設計を、担当の役人が全く理解できず、そのせいで許可が降りない。で、業を煮やして、東京から大手ゼネコンの構造担当者をつれてきて説明をしてもらうと、すぐに許可のハンコをついてくれたそうだ。

結局ここら辺に、今回の問題の核心はあると思う。
上記の偽装に関わる一連の仮定が正しかったとしたら(姉歯の偽装をほかの3者は知らなかったとしたら)、検査機関が書類の偽造を見逃さなかったらこの問題は起こらなかったのだ。なのにただイーホームズだけが廃業したのみで、ほかの日本ERIなど偽装を見逃した検査機関は何の制裁も受けずのうのうと営業を続けている上に、その監督機関である国交省の責任もあいまいだ。
私が、古館伊知郎のコメントに憤りを憶えたのは、「業界と政界の関係」と「被害者保護」にしか触れず、諸悪の根源の行政の責任に言及しなかったからだ。それを言うなら「政官業の癒着」だ。

被害がこれだけ大きかったことに現れているように、この耐震偽装の根は深いはずなのだ。
これで終わっていいはずが無い。ここに書ききれなかった疑問点もある。
これはまた回を改めて書こうと思う。

横井調査設計は今後の裁判での暴露に期待と書いているが、闇はもっと深いかもしれない。
この横井さんは、マスコミと検察は信用するなと書いているが、この耐震偽装問題に関しては反論ができない。
とりあえず、このブログ読んだ方は、横井調査設計のページを見てみてください。

さいごに、今回の耐震偽装報道は「きっこの日記」のことを抜きには語れない。
今回はこのことに触れなかったが、これは別で書く。
これの功罪があまりに語られなさすぎな気がする。

長くなってしまったので、今回はこの辺で。
あーあサッカー負けちゃった。









0か1か。デジタルな世の中

2006-06-23 01:08:34 | Weblog
てっくさんという人のブログを読んでいたら、次のような記述に出会った。
『改革を止めるな?アホですか?あなたたちはなんですぐに0か1かのデジタルになる』

私が反応したのは、なんですぐに0か1のデジタルになるという部分。
ああ、デジタル社会ってこういうことかと、あらためてうなずいてしまった。

なんだか最近いろんなことが2者択一みたいなことになっていて、イライラすることが多いが、
身の回りのいろんな電気製品がデジタルに変わって行ったのに連れて、
実は人間の思考も0か1かの2者選択なデジタルと化していたのかもしれない。

てっくさんが指摘してたのは、最近の新人議員の傾向について。
いわゆる抵抗勢力が旧態依然とした公共事業バラマキを復活させようとしていることに対する反発が
「改革を止めるな!」の小泉節だけなのかよ、という突っ込みである。

5年が過ぎて、これだけ小泉改革に批判の声が上がっているのには、やはりどこかに不備があったからと考えるのが普通だろう。私だって行政改革はすべきだと思うし、悪しき利権構造はなくすべきだと思う。しかし、いくら公共事業バラマキに反対だからといって、これだけ四方八方から聞こえてくる小泉批判の声を検証もせず、ただ抵抗勢力と切り捨て、バカの一つ覚えのように「改革を止めるな!」と叫ぶのはホントのバカである。

このところずっと注目の、六本木ヒルズがらみ金融騒動、ライブドアとか村上ファンド騒動とかで起こってくる議論も、市場原理主義批判と、そうでなければ、昔ながらの談合資本主義かという思われるような主張だ。
なぜ、臨機応変、是々非々でこれからの日本に本当に必要な思想やシステムについて考えられないのかと歯がゆくなる。

そこにはメディアの責任もあるのかもしれない。メディアが「わかりやすく」とか「面白く」伝えるという名目で、とり上げようとする状況に対抗軸を作ることばかりに腐心してきた結果なのかも。
対立してぶつかって派手になればなるほど視聴者は関心を持ってくれる、そんな思いがこんなデジタルな世の中を作ってしまったのかもしれない。

世の中には、白と黒があれば赤も青もある。0か1のどちらかを選び続けてたら、永遠に進歩は無いということに気がつかないのだろうか。今ある選択肢を現状肯定して、「しょうがないよね」なんてどちらかを選んでたら、結局笑うのは既得権益だ。
0側の既得権益と1側の既得権益。いわゆる抵抗勢力が0側の既得権益だとすれば、ライブドアや村上ファンドはいってみれば1側の既得権益になりかけてた人たちかもしれない。彼らがつまづいたのは、彼らが真の挑戦者ではなく、旧既得権益を羨ましく思って、それ以上になるために、もっとエラいアメリカの既得権益様にすがっただけだったからではないかと思うのである。

ああ、日本はどうすればいいのかなあ。

そういう時、是々非々という言葉を多様していた田中康夫は、どんなに批判されてもやっぱり正しいのではないかと思うのである。そういえば、今日長野県知事選出馬表明したらしい。

駐車違反取り締まり凄いな

2006-06-14 01:29:15 | Weblog
今日、自転車で湯島から神田の方面に走っていたら、神田警察署がかなり厳しく駐車取り締まりをやっていた。何か事件が起こったのかと思えるほどの警官が動員され、物々しい感じが充満していた。特にスーツ姿で神田警察署の腕章をつけた私服警官が何人もいるのには物々しさ倍増。何事かと思った。あまりの警官の多さに、いつもは、歩道の数メートルの小さな横断歩道では信号無視してるおじさんも今日ばかりは躊躇してた(笑)。確かに駐車車両があんまりいなくて、自転車で車道のはじっこが走りやすかったけど、こんなに警官がうようよしてると、雰囲気悪いんだよねえ。なんかみんな街行く人もビクっちゃって。取り締まるっつったら急にぶわーっと極端に取り締まって、もっとこう自然な感じでやれないもんでしょうか。なんかテロでも起こったのかと思ってビックリしましたです。

ブログ休んでて思うこと。自分の話(恐縮っす)

2006-06-12 17:29:32 | Weblog
ブログを始めたにもかかわらず、1ヶ月半ものブランク。その間に村上セショーも逮捕されてしまったし、ライブドアの裁判も始まった。上記のものに関しては検察の国策捜査だという声や、メディアは検察のリークのみで動いているという批判が聞かれる中、せっかく始めたブログの中で、そうしたおいしいネタ??について触れてこなかった。

この1ヶ月自分の知識の不足を実感していたのでした。
ちょっと自分のことを書くと、ほんの3、4年前まで、新聞も読まず、ファッションやなんやは詳しかったけど、政治についてはテレビに映る表面的なうわずみしか見てこなかったし、ロッキードもリクルートも佐川もイトマンも住専問題もその名前しか知らない程度の人間が、今、その裏側をも語ろう等と言う暴挙を犯しているのだなあと思ってきますた。
ここひと月、よそのブログを見ながらつくづくそう思う日々。いくらブログとはいえ、もちっと知識を得てからなどと思ってるうちにはや6月。実際の仕事の現場で、その都度資料を追うのに精一杯でございました。

参考にしたいとコメント寄せてくださった高校生の方には申し訳ない。
今からきちんと世の中の動きは押さえておいてくださいね。
という助言を自らの実感をもってさせていただくことがせめてもの・・・。
なんていい訳ばかりしててもしょうがない訳ですが、テレビの世界は、こうした人間が結構たくさんいて、
ニュースの現場に携わっているのが現実だったりするんです。いつ、ニュースでない番組に移動するかもしれないし、
本当はニュースよりやりたいものもあるけど・・・って人もいると思う。

そもそも私だって、最初は本気でニュースを扱う仕事がしたいから今のような仕事をしてるわけではなかったんです。
それまでは世の中のいろんな事象を紹介するのが楽しかっただけで、流行とかいろんな世の中のトピックを
採取していたのです。しかし、田中康夫が長野知事選に出馬するというころから、
「そうだ、政治もこういう若い人にもアピールする人間がやるべきだ」なんて思い始めて
政治関係のニュースに興味を持ち始めたのですねえ。
そしたら、小泉さんが出てきてメディアを席巻、ミーハーとしては政治に興味をシフトさせるのは必然だったわけです。
そしたら今度は911という世界を揺るがす大事件。インターネットの普及で世界からの情報を見るに付け、
ああきちんと世の中の流れを知っておかないと騙されるなあと実感。
眠っていた、政治に対する興味のようなものがむくむくを頭をもたげてきた訳です。そんで今に至る。
テレビ界には、そんな人にちょうどいい政治も経済も社会もそしてほのぼのトピックも扱う番組があるもので、
なんだかニュース専門でない私は、そういうところになんとなーく生息することになったのです。

とはいえ、私はジャーナリストになりたいわけではないというなんだかわけのわかんないこだわりもあり
なんかマージナルに過ごしてきてしまった。それが先の反省に繋がるのですが。

じゃあ何になりたいのかといえば、あらためて考えてみると、世の中のことを知識の無い人にも
分かりやすく紹介して行くことなんだろうなあと思います。
事件の前線で何かを暴くことではなく、先端の難しい状況をわかりやすく解説すること。

そんな私はどんな仕事の仕方をすればいいのか?
ある意味、それがテレビの役割だろうと、いやテレビで記者クラブにも入れず(入りたくはないけど)、
なんか回りでたむろってるしかない人間のやるべきことだろうと思ったりもするのです。

それに、政治経済ジャーナリスト的なものに躊躇する理由のひとつに、
楽しい暮らしのすばらしさというか、いろんな工芸とか食とか、人間が作るもののすばらしさに対する興味も常にあるということもあります。
それらの生活文化を潰さないためには、さらに広めて住み良い世の中にするためには行政のチェックも必要だというところに私の思いはある。
ロハスとか、すてきな温泉旅館とか、日本のすばらしい生活文化は、今や単なるセレブのお遊びみたいな感じ。
そうした自然な日本の文化や生活のすばらしさが今や失われ、お金持ちだけのものとなろうとしているのは
私たちの政治的無関心が生んでいるものなのだということを自覚するために、なんとか情報を発信したい。
本当にすばらしいもの、いいものを見分ける目をもってこそ、政治のウソも分かるのだと、
言えるのかどうかは分からないけど、また、そういう考え方は往々にして選民意識みたいなものになる可能性を秘めてもいるけど、あまりにも今、物の本当の価値と実際の値段が乖離しすぎていろんな問題も起こっているし(エレベーター問題も耐震偽装も株の時価総額も)ちょっと、この自分の考えを信じて進んでみたい。

やりたいことに気づくのが遅すぎたが、しょうがない。

なんかよくわかんない文章の垂れ流し申し訳ない。
ブログをもっと気軽に更新しようと思い、ダダ書きしてしまいました。
語尾がぐちゃぐちゃ、てにをは変なのはゆるしてちょ。