ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

兵庫県立芸術文化センターに落語を聞きに行った

2022年11月13日 | 上方落語楽しんだで

 ワシのオフィシャル寄席は神戸・新開地・喜楽館、サブオフィシャル寄席は大阪・天満天神・繁昌亭やけど、たまには浮気して、ほかの所に落語を聞きに行くこともある。きのうは兵庫県立芸術文化センターの「秋の特選落語競演会」に行って来た。この会場はちょいちょい来るけど、ええ会場やな。阪急西宮北口のすぐ近く。雨の日も濡れずに行ける。近い、便利、きれいな会場や。
 さて、ワシが行ったんは夜席やから3時半開場4時開演やった。開口一番は石段のお囃子で高座に上がった桂慶治朗さん。桂米團治師匠の3番目のお弟子さん。「いらち俥」をやらはった。前座でこの噺をやるのは珍しい。たいてい、「つる」「動物園」「時うどん」なんかやらはるのやけど。この「いらち俥」最初ののんびり俥屋と次のいらち俥屋の演じ分けがキモやけど、慶治朗さんは無難に演じはった。
 さて2番手は桂二葉さん。若手噺家グランプリ準優勝、NHK新人落語大賞受賞と、いま一番のってる噺家さんやろう。マクラはまず例によって高い声で、上方落語界の白木みのるです。白木みのるさんは2年前になくなっていたのですね。二葉さんもそのことに触れて、白木さんも亡くなったし、そのうち白木みのるさんを知ってる人もだんだん・・・。笑いをとる。わしも「てなもんや三度笠」を子供ころに観たクチやけど、「だんだん・・・」の中に入ってきたかな。
「金明竹」をやらはった。後半の中橋の加賀屋佐吉の使いが難しい骨董の名前を一気にしゃべるのが難しい。ちょっとでもここでカムとこの噺はぶち壊しになる。二葉さんは実にスムースでなめらか。それに二葉さん自身もかわいいけど二葉さんのやる丁稚の定吉がかわいい。
 次は桂吉弥さん。阪急で来たんですって。マクラで西宮北口の駅を出て、ここに来る途中ようけの人がガラスにむかって踊ったはったな。大笑い。みなあの陸橋を渡ってここへ来たのやろ。西宮北口から芸術文化サンタ―に来る途中コナミスポーツクラブがあんねん。こっちにむかってようけの人が動かん自転車こいでハツカネズミのマネしたはった。なんか知らんけどご苦労なこった。電気おこしてはんのかな。
 演目は新作落語「ないしょばなし」声の大きな頭でモノを考えへん友人と病気の先輩の見舞いに行く噺。このおっさんなんで声が大きいかというと、騒音の大きな工場が職場。ワシの職場も大きな音やけど。で、その工場で二人の男が話すシーンで下座のお囃子がなかったけど、大きな騒音をお囃子で表現できひんかったんやろか。
 仲入り前は桂南光師匠。マクラは八百長の話し。日曜午後にやってる大喜利番組に出はった。あれアドリブでやってるようやけど、台本がありまんねんで。あれも八百長でんな。で「佐野山」八百長相撲の噺。もともと江戸落語で弱い力士佐野山に負けてやる横綱は谷風やけど、南光師匠は小野川に替えてやらはった。
 仲入り後の最初は桂ざこば師匠のはずやけど、めくりが「桂吉弥」となっとる。お茶子さんが間違えてんのかなと思ったら、吉弥さんが出はった。ざこば師匠楽屋にいてはんのやけど体調不良で高座にあがれる状態やないんやて。吉弥さん、以前もだれかがコロナに感染して来られへん、吉弥さんが代理で出たことがあった。「隣の桜」をやらはった。後半に派手に下座が大きな音でお囃子をやるにぎやかな落語。吉弥さん午前は喜楽館に出てはったとか。今日は一日で3席もお仕事。ご苦労さまです。
 さてトリは桂雀三郎師匠。「二番煎じ」です。二組の火の用心の夜回りが出てくる噺です。最初の組は、浄瑠璃や謡い、いろんなメロディーで「火の用心」を叫び、後半は番小屋でないしょで酒盛りをやり、そこをお役人に見つかってお役人に酒をようけ飲まれてしまう。「軒づけ」「寄合酒」「禁酒関所」と三つの落語はいっぺんに楽しめる一粒で三度おいしい落語です。
 あんまり聞かへん落語をようけ聞けて満足した落語会やった。