劉慈欣 大森望、光吉さくら、ワン・チャイ、泊功訳 早川書房
SFの本質はホラ話である。ホラをいかにもホラでございといったていで書いたんじゃ、ただのホラ話であって優れたSFとはいえない。そうはいいつつも、ホラをホラとして究極までいったラファティみたいな例もあるが。
筒井康隆師匠も同じようなことをおっしゃってる。「SFの本質はホラである。ハードSFなんてのは、まじめな顔してヨタ飛ばすのである」
というデンでいくと、この「三体」シリーズなどは大ボラの極致ともいえるSFだ。うるさい古狸SFもん(ワシもそのうちだが)の喝采をあびるのもむべなるかなだ。
第1巻、第2巻とホラは巻を追うごとにでかくなってきて、最終巻のこの3巻目で、とうとう行き着くとこまで行ってしもた。
太陽系だの三体艦隊など小さい小さい。最初はほんの小さな始まりやった。それがあれよあれよという間に、どんどんでかくなって、最後は全宇宙まで手のひらの上のごとくあつかって、この壮大なホラ話は幕を閉じる。