ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

三体

2020年05月05日 | 本を読んだで
 劉慈欣 大森望 光吉さくら ワン・チャイ訳 立原透耶監修
                              早川書房

 いま、世界で最も旬のSF生産国は中国である。その中国産SFのエースで4番バッターともいえるのがこの作品ではないか。アジア人作家の作品で初めてヒューゴー賞を受賞したのがこの作品だ。
  作品のコンセプトはクラークの「幼年期の終わり」と同じ。ただ、さすがに、現代21世紀2000年代の作品らしく「ゲーム」という形で、三体世界を暗示する。前半の主人公の一人汪淼の視野に入るカウンターの謎、それに冒頭の紅衛兵の乱暴狼藉のシーンなど前半のつかみは強烈。後半、どんどんスケールがでかくなる。巻を措く能わずとはこの作品のためにあるような言葉だ。この「三体」3部作の1巻目とか、こりゃあとの巻も読まねばならん。困ったもんだ。