ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

折りたたみ北京

2021年09月17日 | 本を読んだで
ケン・リュウ編 中原尚哉・他訳       早川書房

 いま、最も元気なSF生産国は中国だ。その中国SFの短編を、デッド・チャンとならぶ中国系SF作家のトップランナーケン・リュウが厳選した短編集である。7人の作家、13の短編、それにエッセイが3本収録されている。収録されている作家と作品は以下のとおり。

陳楸帆
  鼠年
  麗江の魚
  沙嘴の花
夏笳
  百鬼夜行街
  童童の夏
  龍馬夜行
馬伯庸
  沈黙都市
郝景芳
  見えない惑星

  折りたたみ北京
糖匪
  コールガール
程婧波
  蛍火の墓
劉慈欣
 円
 神様の介護係

 あと、エッセイが3本収録されている。

 しかし、まあ、なんですな。少し前まで、海外のSFアンソロジーというと、ディックとかティプトリー、エリスン、などとカタカナが並んだもんやが、今はこうして漢字の名前が並ぶんですな。隔世の感がありまする。
 どれも面白かったが、三体の劉慈欣の2編が特に面白かった。
「円」王を暗殺に来た刺客は学者。刺客ではあるが王を尊敬する。王に命じられる。円周率を10万桁まで計算せよ。300万の兵士を与えられる。人間一人一人を素子とするコンピュータを創る。
「神様の介護係」宇宙から「神」がやって来る。各家庭で「神」をめんどうみることになった。
 あと、表題作の「折りたたみ北京」「沈黙都市」「コールガール」が面白かったな。