ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

暴力脱獄

2024年08月06日 | 映画みたで

監督 スチュアート・ローゼンバーグ
出演 ポール・ニューマン、ジョージ・ケネディ

 もうちょっといい邦題はなかったものか。原題は「Cool Hando Luke」だ。直訳すればクールな手のルークというところか。「クール」いろんな意味を抱合しているのだろう。ルークはポール・ニューマン演じる主人公である。ルークは脱獄をするが暴力を使って脱獄はしていない。
 ルークは路上駐車の設備を酔って壊して実刑をくらった。懲役2年。軽微な犯罪と刑罰といえる。
 ルークは戦争で手柄を立てて、何個も勲章をもらっている英雄。でも、戦争が終わった時点の階級は2等兵。なぜ。ルークはいかなる人物かは具体的な描写はない。でも、映画が進むにしたがってルークの人物像があきらかになってくる。
 あきらめない。へこたれない。束縛されるのをなにより嫌う。戦争中にいた軍隊も、いまいる刑務所もルークにとって最もいたくない場所だ。2年しんぼうすれば出られるのに、その2年ががまんできない。
 ルークは負けることもがまんできない。牢名主のドラグラインとどつきあいをする。体格に勝るドラグラインに殴られて倒されても、何度でも起き上がる。卵50個食えるかといわれて、ゆで卵を50個食べてみせる。このくだりは落語の「蛇含草」だ。アメリカには「蛇含草」はないからルークは、蛇にはならず、机の上で大の字になる。
 ボスとどつきあいのケンカをするが、仲直りして親友になるのは、日本の番長マンガの定番だが、ルークとドラグラインは親友になる。
 軍隊、刑務所、そこを脱出したルークにとって、その外の世界も彼を満足させることはできない。この世も束縛の多く嫌な世界なら、行くところは・・・。