ごろりんブログ

雫石鉄也のブログ

白い恐怖

2021年03月29日 | 映画みたで

監督 アルフレッド・ヒッチコック
出演 イングリッド・バーグマン、グレゴリー・ペック

 この題名から、見る前は麻薬がらみのサスペンスかなと思ったが、まったく麻薬は関係のない映画であった。
 精神科のコンスタンス・ピーターソン医師が勤務している病院に新しい院長が来た。新院長エドワーズ博士は若く有能そう。そのエドワーズ初めてみんなと食事をしたとき不可思議な態度をする。白いテーブルクロスのフォークで引かれた線を見て怖がる。それからエドワーズは白と黒い線を見ると恐怖して、はなはだしい時は失神する。
 新院長はエドワーズ博士ではないとこが判明。では新院長と称する男は何者だ。
 白黒映画である。で、白に黒で恐怖するという話。なんせ画面は白と黒の2色しかないのに映像的にどう表現するのか?さすがヒッチコック。さまざまの演出をほどこして、天然色映画が当たり前の今の目で観ても違和感はなかった。ドアを通ると次のドア、また次のドアという映像で別の世界へ行くがごとき登場人物の心理を描写しているのは見事であった。なんかこのシーンは星新一のショートショート「鏡」を思い起こした。
 イングリッド・バーグマンとグレゴリー・ペックという典型的な美男美女の組み合わせ。「ナバロンの要塞」「ローマの休日」のようにペックはさっそうとした役が多いが、この映画のペックは怖がり気を失うあまりかっこ良くない。一方バーグマンはきれい。きれいだけではなくうまい。医師としての自分と偽エドワーズに魅かれる女性心理をうまく表現していた。メガネをかけたり外したりするので2種類のイングリッド・バーグマンの美貌を楽しめるお徳用な映画でもあある。