団塊太郎の徒然草

つれづれなるままに日ぐらし

首相の現地視察「パフォーマンス」ではごまかせないーー「朝霞住宅」に固執した財務省の「国有地利権」

2011-10-04 20:41:00 | 日記

事業仕分けで見直しとされた朝霞公務員宿舎が着工されたことが国会で論議となった。安住淳財務相は9月26日の衆議院予算院会で「全国の宿舎の廃止・集約で15%削減する。朝霞宿舎の着工だけを見て、公務員はぜいたくをしてけしからんという見方にはくみしない」と建設の正当性を主張。財務相時代に着工を指示した野田首相は、公務員宿舎の売却益を復興財源に充てるとして、着工計画を「特段変更するつもりはない」とした。

 また、財務省は埼玉県内の公務員宿舎1000戸分を廃止・売却して120~130億円の売却益になるので、朝霞宿舎に集約することで朝霞建設の費用が110億円としても10~20億円の利益が出て復興財源に回せると反論する。

 さらに、2009年11月の事業仕分けでは、「検討を踏まえ実施する」が、「それまでの間、凍結」されていたので、外部の有識者を入れて財務省内の「検討」によって2010年12月に「凍結」が「解除」され、2011年9月1日に着工したのだという。

 国会論戦で、被災者より公務員宿舎という議論が出てきて、民主党内からも反発が出てきた。野田佳彦総理は、30日の記者会見で「現場に行き考えをまとめ最終的な判断をしたい」と述べ建設計画を見直す考えを示した。

 財務省のいいなりとされた野田総理のいい意味でのサプライズだ。ただし、建設の再凍結や被災避難者の受け入れ程度でお茶を濁す問題ではない。

国有財産を手放す気がない財務省

 朝霞は便利なところだ。公務員宿舎は駅から10分くらいにある。近隣でも民間の高層マンションが建っている。東武東上線だけでなく、地下鉄有楽町線や副都心線も乗り入れており、霞ヶ関の桜田門駅や渋谷駅に40分程度で行ける。

トラックの出入りの際しか、中のようすはうかがえない 撮影:筆者

 実は朝霞宿舎の建設予定地は筆者の自宅からも近いので、久しぶりにいってみた。

 驚いたのは、公務員宿舎建設で多くの木が切られ、緑が少なくなったということだ。以前は金網で中が見えたが、今は高い塀で中が見えない。工事車両が出入りするが、素早くゲートの開閉をしていた。普通の工事現場では、中が見えるようにところどころに透明板があるが、朝霞公務員宿舎の場合、中を見ることができるのは工事車両のゲートが一瞬開くときだけだ(透明板は一カ所あるが、ついたてがあって中が見えないようになっていた)。

 建設の再凍結や被災避難者の受け入れは、それ自体は望ましい。しかし、「凍結解除」となった昨年の財務省内の「検討」にはなんら影響を与えるわけではない。建設の方向は正しく、実はタイミングが悪かっただけになる。しかし、国有財産政策に焦点をあてると、結論から言えば「検討」の結果が怪しいのである。こうした根っこの政策がおかしいと、間違いが何度も繰り返される。

 野田首相の豹変を引き出した29日の参院予算委員会で小野次郎議員(みんなの党)の「国家公務員宿舎の建設を進めるのなら、原発事故による福島県からの避難者を先に入居させてはどうか」との提案をさらに発展させればよい。

つまり、避難者だけでなく、通常の民間人も適正な家賃を払えば入居さればいいのだ。さらに、いっそのこと宿舎を民間に売却して、必要な数だけ公務員宿舎として借り上げてもいいだろう。

 財務省は、「検討」の結果として、2010年12月8日付け「国有財産行政におけるPRE戦略について」を公表している。PRE戦略とは、公的不動産について、民間の手法を活用して、適切で効率的な管理、運用しようとする考え方だ。この表題をみてもわかるが、財務省は国有財産を手放さずに、その活用を考えている。

すべて民間に売却し、必要なら借りたほうがコストが安い

 この点は重要だ。

 私は小泉政権の時に、経済財政諮問会議で国有財産の売却を担当し、中川秀直自民党政調会長(当時)らと国有財産売却のプランを作っていた。その時の基本思想は、国有財産はできる限り売却し、政府が必要であれば、それを借り上げるであった。不動産所有を民間のほうにしたほうが、その最大限の利用を考えるので、法人税収まで考えると、国が所有するよりも国全体のためになる。特に、その考え方は、庁舎や公務員宿舎に適応できる。

英国に行くと、中央省庁でも間借りしているところばかりだ。また、公務員宿舎は先進国ではまずない。その意味で、小泉政権の時の国有財産売却プランは先進国では当たり前の話だった。

これに対し、当時の財務省はいろいろな実例で反論してきたが、どれも一部のコストを考慮しなかったので、庁舎や公務員宿舎の所有も「民でできることは民で」という大原則を破れなかった。

その結果、2005年11月29日「政府資産・債務改革の基本的な方針」として、

政府の資産・債務規模の縮減について
(1) 政府資産については、真に必要な部分のみを厳選して保有する。
(2) 政府の資産規模の対名目GDP比を、今後10 年間で概ね半減させるといったような長期的な目安を念頭におきながら資産のスリム化を進める。
注) 一定の政策目的のために保有している外為資金・年金寄託金等及び売却困難な道路・河川等の公共用財産はスリム化の対象としないが、それぞれの政策目的に照らして、資産を合理的に管理する必要がある。
(3) 売却可能な国有財産について一層の売却促進に努める。
(4) 明確な必要性がない剰余金・積立金については、国債残高の抑制等を図り国民負担の軽減につなげるために活用する。

と経済財政諮問会議で決まった。その際、まず「 時価に基づく売却収入、ならびに機会費用を考慮し、国有財産の売却可能性を検討する」とされた。

2006年7月7日に閣議決定された「基本方針2006」では、2015年度末に国の資産規模対GDP比の半減を目指し、国の資産を140兆円規模で圧縮することとし、国有財産については、10年間の売却収入の目安として12兆円を見込んでいた。

 現政権と小泉政権との発想の違いは大きい。現政権では、国が不動産をもつことが原則になっているが、小泉政権では民間が不動産を持つのが原則で、国が公共目的でやむを得ない場合には国が所有する。

 公務員宿舎を例にすると、国がわざわざ所有する必要はない。宿舎が必要なら民間から借りればいい。そうすると、公務員宿舎の空き部屋が多いかは気にする必要ない。また民間が宿舎を管理するので快適だ。さらに、公務員宿舎の家賃が格安、駐車場料金も格安という問題も解決される。民間並の家賃では公務員が大変というなら、家賃補助もしたらいい。それをしても不動産売却すれば、おつりが来る。

 民主党議員の中には、公務員宿舎に家賃補助すれば財政が大変になるという人もいるが、財務省のいいなりそのままだ。売却収入や法人税収アップと比較すればすぐわかることだ。

 もし国有のままのほうが国全体としていいなら、どうして資本主義では不動産の私有財産制になっているのだろうか。財務省の公務員宿舎は国有のままがいいというロジックは、資本主義の私有財産制を否定にもつながるものだ。

 朝霞宿舎も、わざわざ朝霞の森を切り倒して建設するのではなく、埼玉県の別の公務員宿舎を民間に売却したうえで民間建設の建物で公務員宿舎を借り上げればいい。そのほうがコストパフォーマンスはいいだろう。

国民の財産なんだから、ここまで財務省の恩をきせられなくても 撮影:筆者

 ここまで、財務省が国有財産を所有したがるのは、実は財務省の組織維持のためだ。
下の写真は、朝霞公務員宿舎のとなりの公園の看板であるが、財務省の地方組織である財務局(財務事務所)は国有財産を管理する仕事をしている(大蔵省と書いているのはご愛敬!)。

 財務局は5000名弱の職員がいるが、その半数くらいは国有財産の管理に従事している。管理というが、単純化すれば、不動産業のようなものだ。物納といって現金でなく不動産での税金納付もある。それを競売して現金化する仕事もしている。こうした部門は、国有財産を売却すれば不要になるし、少なくとも財産とともに地方に移管すべきだ。そうすれば、国の大きなスリム化になるし、地方分権の流れからもいい。

 この観点から見れば、朝霞は公務員住宅を建設するのではなく、財務局の管財部門とともに国有財産を地方に譲渡し、地方に管理をまかせるのがいい。

 増税前にやるべきことをやらないで、野田総理の視察、凍結などでお茶を濁してはいけない。

高橋洋一「ニュースの深層」


野田内閣発足から1ヵ月で浮き彫りになった懸念 --舛添要一

2011-10-04 20:35:12 | 日記

野田内閣が発足して1ヵ月が経った。この間、本格的な国会での議論は、衆参予算委員会の4日間だけ。これだけでは、野田内閣を正当に評価をするのは難しいが、しかし、懸念された点がやはり浮き彫りになった。

 まずは、適材適所とは言いがたい閣僚たちである。国家公安委員長兼消費者担当相の山岡大臣は、「泥棒が泥棒の取り締まり」をするのかと揶揄されるような有様である。

 自民党の森まさこ議員が、予算委員会の質問で一覧表に掲げた問題点の一つが「論文の盗作」である。残念ながら、森さんはこの問題までは、質問時間の関係で辿り着かなかったが、盗作された論文の執筆者は私である。私が厚労大臣になる前に書いた医療関係の論文4本が盗作されて「山岡レポート」と姿を変え、これが病院などに売りつけられて、400万円の利益になったという。この件は、山岡氏の地元の病院から教えてもらったのであるが、私のホームページから盗んだことは明白である。私がパソコンで執筆したときのカナ→漢字変換の単純ミスまでも、そっくりそのままであることには失笑を禁じ得なかった。

 平岡法相もひどい。極左である。思想信条は自由だが、死刑執行に賛成でないならば、法相のポストを受けてはならない。また、日米安保に反対ならば、閣内不一致である。

 小宮山厚労相も、思いつき発言が多すぎる。タバコ増税の話もそうであるが、震災で被害を受けた私立病院への国庫補助などは、財務省、総務省との事前の打ち合わせが必要である。大臣が国会の場で述べることは、そのまま政府の政策となることをお忘れか。これまた、野党に追及材料を与えてしまう愚行である。

 一川防衛大臣も、素人であるのみならず、国会論戦を見ていると激しやすいようにも見える。普天間基地移設という問題を抱えて、いつまで大臣職を全うできるのであろうか。

 鉢呂経産相の後釜には枝野前官房長官をすえた。菅内閣の原発事故対応の失敗の責任の多くは、この人にある。福島県民が被曝してしまったのも、SPEEDIの情報を活用しなかったからである。そのような人が原子力政策の責任者に再度就くというのは、まともな神経では考えられない。

今後国会での審議が続けば、ぼろを出す閣僚が続出するであろう。このような内閣の姿が明らかになったせいか、野田内閣支持率は少し下がってきた。

 3日に発表された共同通信の世論調査では、支持が54.6%(前回62.8%)、不支持が27.8%(18.1%)となっている。まだ、50%を超えているものの、今後の政治運営では、この数字が急速に下がる可能性がある。

 しかし、自民党もまた、苦しい状態が続いている。政党支持率では、民主党27.1%(27.2%)、自民党23.2%(23.6%)と、民主党にリードされている。

 党役員人事も、ごたごた続きで、特に参議院自民党では、中曽根議員会長の提案した鴻池幹事長案が採決で否決されてしまった。かつて私も所属していた組織であるが、分裂含みである。政権党であれば、権力が接着剤となって、多少の内部対立も解消されるが、野党であれば、政権交代の可能性が高まりでもしないかぎり、団結するインセンティブがあまりない。党財政も逼迫し、明るい展望が見いだせないようである。

 逆に政権党の民主党は、党運営や官僚機構との関係で、旧来の自民党的手法を取り入れてきている。これは、権力のうまみを味わい尽くすための手であり、この2年間で、この点については学習したようである。衆議院の任期満了までこの調子で政権を運営していけば、政権党の風格が出てくるかもしれない。それに反して、自民党は惨めな万年野党と化していく可能性がある。

 野田首相の低姿勢が奏功して、政権が安定するかもしれない。しかし、地味であれば良いというものでもない。国難の時には、最高指導者にカリスマが要る。「どじょう」だけでは、発信能力に欠ける。国民が鼓舞激励されるようなリーダーシップがなければ、まずはマスコミがそっぽを向くであろう。それが現代民主主義である。


明治以来の官舎習慣は廃止せよ。

2011-10-04 07:58:59 | 日記

公務員宿舎 凍結でなく原則廃止に

野田佳彦首相が安住淳財務相に対し、埼玉県朝霞市の公務員宿舎建設を少なくとも五年間は凍結するよう指示した。一歩前進だが、建設再開の可能性が残る凍結ではなく、廃止を原則とすべきだ。

 東日本大震災の被災者向け住宅の整備が遅れる中、なぜ公務員だけが優遇されるのか。そんな国民の率直な気持ちを受け止めないわけにはいかなかったのだろう。

 国会などで建設再開が問題視された朝霞の公務員住宅は、米軍基地跡地に十三階建て二棟、計八百五十戸を建設する計画で、総工費は百五億円だ。

 二〇〇九年十一月、行政刷新会議の事業仕分けで公務員宿舎の在り方を検討する間、事業を凍結するとされたが、所管する財務省が昨年十二月に事業再開を決め、今年九月から工事が再開された。

 震災で財政状況はこれまで以上に厳しさが増し、震災復興のため国民に増税を強いなければならない状況だ。社会保障財源の確保や財政健全化のための消費税率引き上げの動きも加速している。

 民間では社有社宅を廃止したり、借り上げ社宅への転換を進める企業が多くなっている。そんな時代になぜ巨額の税金を使って公務員宿舎を自前で整備する必要があるのか。建設再開の背景に、国家公務員は別格だという特権意識があったのなら見過ごせない。

 財務省は、十二カ所の宿舎を廃止し、跡地売却収入から朝霞の宿舎建設費を差し引いた十億~二十億円の税外収入が確保できるとして理解を求めていたが、震災後のより厳しい財政状況は考慮されておらず、踏み込んで計画を見直すべきだった。

 安住氏は東京都中央、港、千代田三区の公務員宿舎は危機管理用を除き原則廃止することや幹部用宿舎は建設しないことも提案し、首相は了承した。当然の判断だ。

 ただ、朝霞宿舎の建設凍結が五年間とされたのは、震災の集中復興期間だからだという。これでは五年後に建設を再開すると言っているようなものだ。

 そもそも公務員宿舎が必要なのか、本質論から議論すべきだ。もちろん必要な宿舎もあろうから、朝霞を含め原則廃止とし、危機管理や勤務形態上どうしても必要な戸数だけ最小限整備すればよい。

 それ以外の宿舎用地は売却し、増税による国民負担を少しでも圧縮すべきだ。朝霞宿舎建設の五年間凍結を増税のためのアリバイにしてはならない。

中日新聞社説


債務超過を隠した東電経営報告書

2011-10-04 07:56:14 | 日記

東電経営報告 延命の数字合わせだ

政府の調査委員会が東京電力の経営報告書をまとめた。福島第一原発の廃炉費用を抑え、賠償に充てる政府からの資金支援も反映していない。東電を資産超過にして延命させる意図が透けてくる。

 報告書を作成したのは、弁護士ら第三者で構成する「東京電力に関する経営・財務調査委員会」。政府の指示で福島第一原発周辺から避難している人たちの就労不能や放射性物質による農林漁業の風評被害など、賠償額を四兆五千億円と積算した。

 この巨額の損害賠償を抱えながら、調査委は貸借対照表を基に二〇一一年三月の東電の財務状況を債務超過ではなく、資産超過との判断を導き出している。

 事故を起こした原発の廃炉費用として見込んだ額は一兆一千五百億円。原子炉建屋が水素爆発によって損壊し、燃料棒が溶けて圧力容器の底から外部に漏れ出すメルトスルーの疑いさえある事故の収束を一兆円で賄えるのか。

 加えて、純資産の積算では肝心の損害賠償を考慮していない。政府の資金交付で賠償負担は相殺されるとしたためだ。さらに、政府への資金返済に充てる特別負担金も計上していない。

 東電を資産超過にするために、あえて廃炉費用を低く抑え、国から借りた資金の返済も除外したのではないか、という疑いさえ生じる。資産超過だと、東電が四兆円の融資を受けている金融機関に債権放棄や債務の株式化などを要請しなくても済むからだ。

 債務超過に陥れば東電の法的整理が現実になる。最初から東電の延命ありきで財務状況の数字合わせをした感が否めない。

 一方で、報告書は同じ東電の柏崎刈羽原発の今後の再稼働状況や、電力料金の値上げ幅を組み合わせた九通りの東電の経営予測を示し、「再稼働しなければ四兆~八兆円の資金不足が生じる」「著しい値上げをしない限り事業は極めて困難になる」とまで言い切った。原発再稼働への環境を整える意図が潜んではいないか。

 国民負担の最小化をうたいながら、報告書通りならば、結局は消費者への負担が重くなる。原発は国策でもあった。国も東電と同様に身を削って賠償に努める覚悟が求められる。

 野田首相は原発依存度の引き下げを表明した。経済産業省などの官僚OBらが天下って役員を務める原発関連の独立行政法人向け予算を、賠償費用に振り向ける方策を検討してもいいのではないか。

中日新聞社説

 

電力会社の総原価方式を認めてきたのは経産省だ。

経産省から東電への天下り、東電からの経産省への天上がり。

互恵関係を築き上げて監督してこなかった経産省は

共同正犯どころか犯罪を主導していた諸悪の根源だ。

黙認してきた自民党も寄付、パーティー券、原発関連利権で貪っている。

電気料金、原発被害は全て国民へ付け回し、負の遺産を押し付けた。

経産省指導の弁護士グループの報告書は、

東電の債務超過、経産省の共同謀議を指摘していない、ただのガス抜きだ。

電気会社に競争原理を導入すれば、変な原価計算も排除される。

東電はじめ電力会社を送電会社と発電会社に分割して

発電に地熱、風力、バイオなど多くの企業に参加を促して、

電力に競争原理を導入させる政策が必要だ。