「在宅ひとり死のススメ」 上野千鶴子 文藝春秋 2021.1.20
先ずは「おわりに」より
死亡率は100%です。認知症になるのは5人に1人だそうです。(略)要介護になつても安心できる社会、安心して認知症になれる社会、そして障害を持っても殺されない社会をつくるために、まだまだやらなければならないことはいっぱいありそうです。
ひとり老後の満足度はけっこう高く、ふたり老後の満足度が低いというデータがあるそうだ。
「相互不可侵条約」らしき感覚で互いに干渉しあわないと、ふたり老後も「幸せ」らしい。
臨終に立ち会いたいというのは死ぬ側ではなく、死なれる側のこだわり。
超高齢社会の死はゆっくり死。予期できる死です。別れと感謝は、機会あるごとに伝えておけばよい。
ほんとうに問題なのは、死後の発見よりも、生きているあいだの孤立化だ。
大量に発生が予想される認知症者を家庭でも施設でもケアできないとなると、てぐすねひいて待ち受けているのは、精神病院と製薬会社。
日本の精神病院の人口あたりの病床数が諸外国に比べてダントツに多く、また平均入院日数がすこぶる長い。
「ケモブレイン」ーー薬が原因で起きる脳障害。
認知症薬、降圧剤、コレステロール降下剤など、慢性病で飲み始めると止められない薬の多くが含まれる。
社会に貢献できなくなったら生きている価値はないのでしょうか?生きがい、やりがいがなくなったら、人生に生きる意味はないのでしょうか?
「人間、役に立たなきゃ、生きてちゃ、いかんか」
ひとり暮らしは「孤立」ではない、ひとりで死んでも「孤独死」ではない。