ま、いいか

日々の徒然を思いつくままに。

「あきない世傳 金と銀 1~3」

2017-06-06 22:30:16 | 

 

「あきない世傳(せいでん)  金と銀  源流篇」

  高田郁   角川春樹事務所    2016.2.18

 

高田さんの「高」はハシゴダカ。

変換で出てこなくて、いつも困る。

 

物がさっぱり売れない享保期に、摂津の津門村に学者の子として生を受けた幸(さち)。

父から「商は詐なり」と教えられて育ったはずが、享保の大飢饉や家族との別離を経て、齢九つで大坂天満にある呉服商・五鈴屋に奉公へ出されることになる。

慣れない商家で「一生、鍋の底を磨いて過ごす」女衆でありながら、番頭・治兵衛に才を認められ、徐々に商いに心を惹かれていく。

果たして、商いは詐なのか。

あるいは、ひとが生涯を賭けて歩むべき道か……

 

金色も銀色も知らない幸に兄が教えてくれた。

夕陽の耀きが金、それを映す川面が銀だと。

どちらも天から与えられた美しい色だと。

 

その言葉を聞いた治兵衛は言う。

 

「天から与えられた美しい色を

  欲得づくで汚さんよう、

  精進してこその商人だすなぁ」

 

 

言いにくいことを笑いでくるんで伝える

大坂の洒落言葉が面白い。

『畑の羅漢さん』で、はたらかん。

つまりは働かん怠け者。

『袖口の火事』で『手が出せぬ』

『赤子の行水』で『盥で泣いてる』、

つまり「(銭が)足ら出で泣いてる」

『饂飩屋の釜』で『湯ぅばっかり』、

つまり「言うばっかり」

 

 

「あきない世傳 金と銀  二  早瀬篇」

  2016.8.18

 

14歳の幸に、店主徳兵衛の後添いにとの話が持ち上がった。

店主は放蕩三昧で、五鈴屋は危機に瀕している。

幸は「ご寮さん」となる決意をする。


番頭の治兵衛は言う。

「まずは知識をしっかりと身につけなはれ」

「知恵は、何もないところからは生まれしまへん。知識、いう蓄えがあってこそ、絞りだせるんが知恵だすのや。商いの知恵だけやない。生き抜くためのどんな知恵も、そないして生まれる、と私はここよ思うてます。せやさかい、盛大に知識を身につけなはれ」


「大坂には昔から『縁と月日』という言い回しがおます」

「物事が成るか成らんかは、ひとの想いや働きだけで決まるもんやない。ご神仏の手ぇが差し伸べられるかどうかだす。それに加えて、起こってそもた難事を解決するためには、短期はあかん。決して諦めんと、歳月をかけてゆっくりと時節を待て、いう意味やないか」

 

 

「あきない世傳  金と銀 三人  奔流篇」

 2017.2.18

 

カタチだけの夫・徳兵衛を不慮の事故で失い、

幸は5代目・惣次と連れ添う。

惣次は情にとらわれないやり方で

店の発展を目指すが……。

 

買うての幸い、売っての幸せ。

 

 

 

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