「椿ノ恋文」 小川糸 幻冬舎 2023.10.30
優しい気持ちになって、ほっこり。
そうか「キラキラ共和国」から6年経ったんだ。
QPちゃんは中三、年子は同時に小学校入学。
家事と育児に奮闘中の鳩子が、いよいよ代書屋を再開する。
可愛かったQPちゃんに反抗期が訪れたり、亡き先代の秘められた恋が発覚したり、新しく引っ越してきたお隣さんとの関係に悩まされたり……
とにかく、雨宮(守景)鳩子は今、育児や家事など目の前の雑事に追われ、髪を振り乱して一日一日を精一杯暮らしているのである。選択的夫婦別姓には大いに賛成だが、法律を変えるために裁判を起こしているような余裕はどこにもないのだ。
わたしたちは、とにかく前に進んでいくしかないんです。前に進み、そしていつか死を迎える。それが生きるということなのだと思います。
ーー先代が投函したけれど読まれなかった手紙ーー
「男はね、所詮嗜むものだなぁ、って(略)
必需品にしちゃ、ダメ。
だってその人がいなくなったら、自分も生きていけなくなるでしょ
消耗品にするのも、ルール違反ね」
ーーバーバラ婦人の言葉ーー