「あきない世傳 金と銀 五 転流篇」 高田郁 角川春樹事務所 2018.2.18
言うまでもないが、高田さんの『たか』は、ハシゴダカ。
上手く変換できないので、悪しからず。
大坂天満の呉服商、五十鈴屋の六代目店主の女房となった幸。
三兄弟に嫁す、という数奇な運命を受け容れた彼女に、お家さんの富久は五十鈴屋の将来を託して息を引き取った。
と、ここまでは前巻。
「女名前禁止」の掟のある大坂で、幸は、夫・智蔵の理解のもと、奉公人らと心をひとつにしめ商いを広げていく。
『買うての幸い、売っての幸せ』を大切に。
今回は帯の話があった。
「菰(こも)着ても帯」という言葉があるが、
この時代はまだ、着物がメインだったようだ。
しかも、嫁いだら前帯にした、とあった。
これは初耳!
いや、もしかして、四巻までにもあったかもしれないが……。
高田さんはきちんと時代考証していると思う。
江戸時代前期、少なくとも大坂ではそうだったのか!
それにしても、家事負担などが増えると思われる主婦が何故、作業しにくいと思われる前帯に?
嫁いだら、いつでも帯が解きやすいように、などとゲスな勘繰りをしてしまった (笑)
機会があったら、その辺を調べてみるのも一興かな。
智蔵が倒れたところで、この巻が終わる。
次回が楽しみだが、それとは別に
「みをつくし」の特別篇が9月3日に出るとのこと。
こっちが、もっと待ち遠しい。
「すみなれたからだで」 窪美澄 河出書房新社 2016.10.30
手探りで生きる人々の「生」に寄り添う8つの物語。
人生の半ばで、終末で、
それぞれの生活があり、想いがある。
心地好い読後感。