「13・67」 陳浩基 文藝春秋 2017.9.30
面白かった~。
香港が舞台ということで、登場人物の名前はカタカナ以外、漢字の塊で捉えたが (笑)
2013年から過去に遡っていく六つの中編が、巧みにリンクしている。
最後の最後に出て来た名前をみて、オーッ!
そうか、そうだったか。
最初のストーリーを読み返してしまった。
その最初の「黒と白の真実」を読みながら、
ジェフリー・ディーヴァーのリンカーン・ライムを連想。
こういう発想は、日本人には出てこないかも。
市民の側に立ち、偏向なく法を守る存在であるべき警察官だが
「手抜きは努力に勝る」つまり
「やればやるほど叩かれる。なにもしなければ損はない」
という風潮が蔓延しているなか、
ひたむきに「市民を守る」ため犯人逮捕に打ち込んでいる警官・ローと、
その上司であり教官であるクワン。
二人の姿勢にスーッとする。
1997年の祖国返還という大きな転換かあった香港。
表も裏も揺れ動いていたであろう社会のザワメキも感じた。