「千年鬼」 西條奈加 徳間書店 2012.6.30
多分、再読。
小鬼は彼女を宿業から解き放つため、千年にわたる旅を始める。
小さな不満を糧にして何十年も育て上げられた憎しみが『鬼の芽』になることがあれば、
己の犯した罪を深く恥じ、それに耐えかねて、身内に『鬼の芽』を生じさせることもある。
天女が小鬼に教え、説く。
「罪とは、人の知恵がつくり出したものなのです。他人が、己が、罪と思えば、それは罪となってその者のこころを苛む」
「自業自得は人のためだけに在ると、おまえは知ってましたか?」
「地獄を欲したのは、人自身です。罪を得た者は罰を受ける。知恵を持った人間だけの決め事です」
罰を受けて罪をすすぐ。人にはいつからかその行為が必要になった。地獄がつくられたのも、それ故だ。
「地獄とは、希望の絶えた世界です。希望のないまま無為に時を過ごす。それこそが自身というものなのです」
「おまじない」 西加奈子 筑摩書房 2018.3.5
短編集。
これも……多分、再読 (^^;
会話文「 」内、最後に句読点がある。
『燃やす』ーー
「あなたは、悪くないんです。絶対に。」
『孫係』ーー
「大抵は徐々にその場に合った自分らしくなってゆくんです。」
「私たちは、この世界で役割を与えられた係なんだ。」
「得をしようと思って係につくのはいけません。あくまで思いやりの範囲でやるんです」
「悪態をつくのは限られた人にだけ、本当に信じられる人にだけです。インターネットに書きこむなんてもっての外、それは本当に卑怯なことです。」
『マタニティ』ーー
「弱いことってそんなにいけないんですか?」
「弱い人間でも生きていけるのが社会なんじゃないんですか?」
『ドラゴン・スープレックス』ーー
「お前がお前やと思うお前が、そのお前だけが、お前やねん。」